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アサド大統領は、イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記を団長とする使節団と会談した。
会談では、シリアとイランの戦略的関係、一部域内諸国などのシリアへの介入への対応などが協議された。
ジャリーリー書記は、シリア情勢に関して、単なる国内問題ではなく、レジスタンス陣営とその敵との紛争だとの見方を示し、同陣営のいかなる崩壊も許されるべきでないと強調した。
一方、アサド大統領は、シリア国民および政府が国内からのテロリストの浄化とテロとの戦いを徹底するとの意思を示す一方、シリアが国民対話の途上にあり、外国の計略を挫折させる能力があると強調した。
イランの使節団は会談後、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。
SANA(8月7日付)が報じた。
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SANA(8月7日付)が配信した写真に関して、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリアの国家安全保障担当者が出席していないのはおかしい、と報じた。
しかし、シリアの国家安全保障担当者が公の場に姿を現すことはほぼ皆無である。
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ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー暫定内閣が同首相を議長として定例閣議を開催し、国内の学校、公共施設などに非難している市民への支援対策などを審議した。
『ハヤート』(8月8日付)は複数のヨルダン消息筋の話として、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相がヨルダンへの政治亡命を申請した、と報じた。
しかし同消息筋によると、ヨルダンは前首相クラスのシリア元高官の残留を望んでいない、という。
アレッポ県では、SANA(8月7日付)によると、アレッポ市アスィーラ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員約155人を殺傷した。
またサラーフッディーン地区、マサーキン・ハナーヌー地区でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。
このほか、アレッポ市郊外のアフタリーン市一帯でも戦闘があり、反体制武装勢力8人が死亡、複数が負傷した、という。
一方、アレッポ市に配置されていたUNSMIS隊員が同市から撤退した。国連が発表した。
アッシリア人権ネットワークなる組織は、アレッポ市スィルヤーン地区が早朝から砲撃に曝されている、と発表した。
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ダマスカス郊外県では、映画監督バッサーム・ムフイーッディーン氏がジュダイダト・アルトゥーズ町で「何者かに暗殺」された。映画公社が発表した。
『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で陸運組合のザカリヤー・ヤーギー総裁の息子が暗殺された。
同報道は、シャッビーハと治安当局の犯行と断じている。
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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、ルクンッディーン区で第4師団が反体制活動家の青年の家を焼き討ちにした、と報じた。
一方、SANA(8月7日付)によると、旧市街で治安当局が反体制武装勢力のアジトに突入、戦闘員3人を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍がドゥワイル地方にある油田を襲撃し、同油田を警備する軍・治安部隊兵士少なくとも6人を殺害し、多数を拉致した。
地元調整諸委員会によると、捕捉した兵士の数は大尉1人を含め9人にのぼる、という。
なお、この戦闘では反体制勢力を支援するの戦闘員4人も死亡した。
一方、SANA(8月7日付)によると、マヤーディーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員全員を殺害した。
またダイル・ザウル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。
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ヒムス県では、SANA(8月7日付)が、反体制武装勢力が占拠していたヒムス市郊外のジャンダル・リゾートで虐殺された市民の遺体多数が発見されたと報じた。
また同通信社によると、ヒムス市各地区、ザアフラーナ地方、サルターニーヤ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器弾薬を押収した。
さらにタッル・カラフ地方では、レバノン領内から潜入しようとした反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、甚大な被害を与えた、という。
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ハサカ県では、SANA(8月7日付)によると、シダーディー市東方の油田近くで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、乗っていた2台の車を破壊したが、1台は逃走した。
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ハマー県では、SANA(8月7日付)によると、サラミーヤ市で反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、戦闘員1人が死亡した。
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イドリブ県では、SANA(8月7日付)によると、サラーキブ・アレッポ街道、ジスル・シュグール市郊外、対トルコ国境地帯(ヒルバト・ジューズ)で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。
シリア国民評議会のアフマド・ラマダーン氏はロイター通信(8月7日付)に対して、現在15人のシリア政府高官・外交官が離反を望んでおり、彼らの脱出経路、身の安全を保証する準備を行っている、と語った。
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アレッポ市サラーフッディーン地区で反体制武装闘争を行っているというアブー・フラート・ジャバラーブルスィー大佐なる活動家は、ロイター通信(8月7日付)に対して、妻子を外国に出国させようとすることは、当局にとって、離反を計画していることを意味する、と語った。
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フサーム・ハーフィズ氏(元駐アルメニア・シリア領事)は、離反した外交官らとともに「民主的市民国家のための外交官グループ」を発足した、と発表した。
同グループは6~7人の元外交官からなる、という。
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『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリア・アラブ航空の複数のパイロットの話として、7月30日のフィラース・サーフィー氏暗殺が軍・治安部隊の犯行だったと報じた。
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医師組合アレッポ支部のムハンマド・ワジーフ・ジュムア支部長が離反を宣言する映像をフェイスブック(8月7日付)に公開した。
ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣はイラン国営通信(8月7日付)に対して、「米国がシリアのテロ集団に行ってきた武器供与といったあからさまな支援を踏まえると、ダマスカス(郊外)でのイラン人巡礼者48人の誘拐の生命は米国がその責任を負っている」と述べた。
また「我々は(シリアの反体制勢力を支援する)国がシリアで起きたことのある種の責任をとってイラン人巡礼者の安全とイランへの帰国を保証するための措置を講じることを期待していた」と付言し、トルコとカタールに人質釈放のために介入するよう求めてきたことを示唆した。
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イランのアリー・ラリージャーニー国会議長は、イラン学生通信(8月7日付)に対して、「米国および一部の国がイラン人巡礼者殺害の責任を負っている…。適切な時期に適切な報復を行う」と述べた。
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イラン外務省はアーラム・チャンネル(8月7日付)に対して、シリア軍・治安部隊の砲撃によって拉致されたイラン人巡礼者のうち3人が死亡した、とのバッラー大隊の発表を拒否し、「シリアの武装テロ集団の主な支援者である米国が巡礼者の生命に関して責任を負っている」と主張した。
LBC(8月7日付)は、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)の一人アッバース・シュアイブ氏とのインタビューを行った。
インタビューでシュアイブ氏は、レバノン政府が人質釈放のために充分な対応をしていないと批判、「サウジ、カタール、エルドアンにシリアの革命を支持するようアピールしている…。そうすることで我々は家族のもとに帰れる」と述べた。
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ベイルート国際空港への街道で抗議の座り込みを行っていた拉致レバノン人巡礼者の家族は道路封鎖を解除した。
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NNA(8月7日付)によると、シリア軍の迫撃砲が北部県アッカール軍ワーディー・ハーリド地方に着弾、複数の家屋が被害を受けた。
WHOは、シリア国内での暴力により、医薬品の不足が深刻化していると警鐘を鳴らした。
同機構報道官によると、アレッポ、ヒムス、ダマスカスの郊外に集中する医薬品製造工場は、暴力の激化や燃料費高騰(西側の制裁)によりそのほとんどが閉鎖、操業停止を余儀なくされている、という。
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『ハヤート』(8月8日付)は信頼できる複数の消息筋の話として、サウジアラビアが来週メッカで開催を予定しているイスラーム諸国会議機構(OIC)の首脳会議にシリア首脳を招待しなかったと報じた。
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ヨルダン通信(8月7日付)は、シリア人避難民への救援物資を積んだサウジアラビアの輸送団の第1陣(貨物車輌43輌)がヨルダンに到着した、と報じた。
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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先の南アフリカで「(シリアの)体制崩壊後に起こることに関して、私たちはこれまで以上に話し、準備し始め得る…。こうしたこと(体制崩壊)が起きるだろうということが私には分かる」と述べた。
AFP, August 7, 2012、Akhbar al-Sharq, August 7, 2012、Facebook, August 7, 2012、al-Hayat, August 8, 2012, August 9, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 7, 2012、LBC,
August 7, 2012、Naharnet.com, August 7, 2012、NNA, August 7, 2012、Reuters,
August 7, 2012、SANA, August 7, 2012などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
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