アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市北部のカースティールー街道一帯の制圧に向けて攻撃を続けるシリア軍に対して、シャームの民のヌスラ戦線をはじめとする反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)が、アルド・マッラーフ地区農場地帯のシリア軍拠点などに対して一大反撃を試みたが、シリア軍が空爆、砲撃などで反撃し、シャーム軍団やヌスラ戦線のメンバーら29人が死亡した。
死亡した戦闘員のうち14人は、トルコが積極支援するシリア・ムスリム同胞団系のシャーム軍団で、そのうちの2人(ムハンマド・バッカール大佐、ズハイル・ハルバー少佐)は司令官(離反士官)だった。
この戦闘では、シリア軍側にも複数の戦死者が出たという。
ARA News(7月10日付)によると、シリア軍は10日早朝にカースティールー街道の制圧を完了したという。
なお、『ハヤート』(7月11日付)によると、シリア軍の作戦を指揮しているのは「虎」の愛称で知られるスハイル・ハサン大佐で、また親政権の複数のサイトでは、アサド大統領の弟マーヒル・アサド准将が事実上の司令官を務める第4師団の兵士が参加、アレッポ市ライラムーン地区、バニー・ザイド地区などでの戦闘に参加しているという。
一方、クッルナー・シュラカー(7月10日付)によると、県西部のシャンタラ村、イッビーン村をロシア軍戦闘機が空爆し、女性と子供を含む民間人23人が死亡した。
他方、SANA(7月10日付)によると、アレッポ市スィルヤーン地区、県庁舎一帯、アシュラフィーヤ地区、ジュマイリーヤ地区をシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動が砲撃し、11人が負傷した。
また、SANA(7月10日付)によると、反体制武装集団がアレッポ市中心部に位置するアレッポ城内に侵入を試みたが、シリア軍が応戦し、武装集団全員を殲滅したという。
しかし、ARA News(7月11日付)によると、シャーム戦線はシリア軍が拠点を配置しているアレッポ城に潜入し、兵士多数を殺害したという。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、トゥーバール砦一帯、シャラフ村、ワーディー・バースールなどトルコ国境一帯で、「ヤルムークの戦い」作戦司令室とシリア軍、シリア人・外国人民兵が交戦し、戦闘機(所属不明)がクルド山一帯を空爆した。
ヒズブッラーの広報局によると、この戦いでシリア軍側はサラフ村に近い砦を制圧したというが、シャーム自由人イスラーム運動はこれを否定している。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ザーラ村一帯でシリア軍とジハード主義武装集団が交戦、後者の戦闘員10人以上が死亡した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯、マイダアー町一帯を戦闘機(所属明示せず)が空爆、またダイル・ハビーヤ村一帯、ハラスター市郊外、ダーライヤー市ではシリア軍とジハード主義武装集団が交戦した。
クッルナー・シュラカー(7月10日付)によると、シリア軍はダーライヤー市郊外の農場地帯に進軍したという。
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ヒムス県では、クッルナー・シュラカー(7月10日付)によると、シリア軍とロシア軍の戦闘機がブルジュ・カーイー村を空爆し、子供を含む10人が死亡した。
一方、SANA(7月10日付)によると、シリア軍がガジャル村・ザーラ村間で特殊作戦を行い、ラスタン市一帯で活動するシャームの民のヌスラ戦線のアミール(司令官)を含む11人を殲滅した。
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ダルアー県では、SANA(7月10日付)によると、シリア軍がダルアー市電力会社一帯などでシャームの民のヌスラ戦線と交戦した。
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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、7月9日に2件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。
停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、イスラーム軍などが砲撃を行ったという。
米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は764件。
AFP, July 10, 2016、AP, July 10, 2016、ARA News, July 10, 2016、July 11, 2016、Champress, July 10, 2016、al-Hayat, July 11, 2016、Iraqi News, July 10, 2016、Kull-na Shuraka’, July 10, 2016、al-Mada Press, July 10, 2016、Naharnet, July 10, 2016、NNA, July 10, 2016、Reuters, July 10, 2016、SANA, July 10, 2016、UPI, July 10, 2016などをもとに作成。
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