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欧米諸国は国連安保理で、アレッポ市東部の人道状況、シリア・ロシア両軍の爆撃、イラン、ヒズブッラーの「宗派主義」を引き合いに出し、アレッポ市でのアル=カーイダの勢力伸長を黙認(2016年8月7日)

『ハヤート』(8月9日付)などによると、国連安保理でシリアのアレッポ市の人道状況をめぐる会合が開かれ、米国が招聘した民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット)の幹部や野戦病院で医療活動を続ける医師がロシア代表と非難を応酬するなか、シリア軍やロシア軍の空爆批判とアレッポ市東部(反体制武装集団支配地域)の人道状況改善に固執する欧米諸国からは、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍によるアレッポ市南西部での攻勢の黙認ともとれる発言が相次いだ。

会合に招聘されたのは、ホワイト・ヘルメットのハーリド・ジャッラーフ氏、アレッポ市内の野戦病院で活動しているという医師のザーヒル・サフルール氏、サーミル・アッタール氏。

ロシアのヴラジミール・サフロンコヴ国連副大使は、アレッポ市をめぐる情勢に関して、シリア政府と西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるアレッポ市東部がファトフ軍の攻撃によって封鎖の脅威に曝されていると主張するとともに、「人道問題を政治化し、アレッポ市東部の住民を人間の盾として使用することを拒否する」と述べた。

サフルール医師は「スターリングラードの住民は第2次大戦中ナチスから同じ批判を受けた」と反論した。

またサマンサ・パワー米国連大使は、現下のアレッポ市の状況が「シリア政府とロシアによる民間人への空爆とカースティールー街道封鎖」の結果だと批判する一方、ファトフ軍によるアレッポ市西部(シリア政府支配地域)への攻勢に関しては「アレッポ市西部の住民に今、支援物資を搬入することは極めて困難」と述べた。

フランス、英国、ニュージーランド、スペイン、ウクライナの国連代表は、シリア軍やロシア軍による民間人への空爆停止とアレッポ市への人道支援物資搬入を主唱した。

また、イラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラーなどの宗派主義的民兵が、シリア政府軍による民間人への攻撃を後押ししていると批判した。

サウジアラビアの国連代表は、「シリアの子供たちの苦しみをなくすための取り組み」を求めるとともに、「アレッポ市がシリア政府とその同盟者による虐殺と民族浄化に脅かされている」と警鐘を鳴らした。

AFP, August 8, 2016、AP, August 8, 2016、ARA News, August 8, 2016、Champress, August 8, 2016、al-Hayat, August 9, 2016、Iraqi News, August 8, 2016、Kull-na Shuraka’, August 8, 2016、al-Mada Press, August 8, 2016、Naharnet, August 8, 2016、NNA, August 8, 2016、Reuters, August 8, 2016、SANA, August 8, 2016、UPI, August 8, 2016などをもとに作成。

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