ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は記者会見で、ダイル・ザウル県サルダ山のシリア軍拠点に対して17日に米軍が行った空爆に関して、9日に米国・ロシアで交わした新停戦合意への違反だと非難した。
「根本的な質問として、ワシントンで決定を下しているのは誰だ、ホワイトハウスなのか、それともペンタゴンなのか?」としたうえで、米国・ロシアによる9日の新停戦合意の一部を開示、米国主導の有志連合はシリア軍への空爆を実施しないことを誓約していたと暴露した。
チュルキン国連大使が開示した合意文書の一部は以下の通り:
「米国が(有志連合の)作戦開始時にシリア政府に対して行った誓約において、シリア政府に対して、空爆がシリア軍に影響を及ぼすことはないと確約している」。
「合同実施センター(JIC)の目的はロシアと米国の協力拡大強化であり…、ロシアと米国はJICに貢献し、シャームの民のヌスラ戦線、ダーイシュ(イスラーム国)を殲滅するための共同行動が行われ、国連安保理決議第2254号に定められている政治プロセスを支援する」。
「ロシアと米国はシリアの安定を拡大するためにともに行動し、アレッポ一帯については個別に調整を行う…。ダーイシュ、ヌスラ戦線、穏健な反体制派の支配地域の確定を、穏健な反体制派とヌスラ戦線の峻別とともに最優先事項とする」。
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ロシア外務省は、ダイル・ザウル県サルダ山のシリア軍拠点に対して17日に米軍が行った空爆に「深い懸念」を表明した。
ロシア外務省によると、米軍戦闘機はイラク領内からダイル・ザウル県上空に進入し、シリア軍拠点を爆弾、ミサイルで攻撃し、多数のシリア軍兵士が死傷したとしたうえで、「我々は今回の事件が、ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、そしてそのほかのテロ組織との戦いにおいてロシアとの信頼にたる協力関係を気づくことを米国が拒否し続けてきたことの結果とみなしている」、「米国は、シリアの反体制派に属する武装部隊とテロリストを峻別するという約束を履行しようとしていない」と非難した。
AFP, September 18, 2016、AP, September 18, 2016、ARA News, September 18, 2016、Champress, September 18, 2016、al-Hayat, September 19, 2016、Iraqi News, September 18, 2016、Kull-na Shuraka’, September 18, 2016、al-Mada Press, September 18, 2016、Naharnet, September 18, 2016、NNA, September 18, 2016、Reuters, September 18, 2016、SANA, September 18, 2016、UPI, September 18, 2016などをもとに作成。
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