アレッポ市東部でシリア・ロシア両軍による人道停戦が発効するも、人道回廊一帯に対する反体制武装集団の攻撃で、ロシア軍兵士が負傷、住民・戦闘員の退去見られず(2016年10月20日)

アレッポ県では、アレッポ市東部でシリア・ロシア両軍による人道停戦が20日午前8時に発効した。

しかし、シリア人権監視団によると、シリア・ロシア両軍が設置した通行所を経由してアレッポ市東部から避難・退去した住民・戦闘員は皆無だったという。

また、クッルナー・シュラカー(10月20日付)によると、シリア政府当局はアレッポ市東部に避難・退去用の大型バス複数輌を派遣したが、市民・戦闘員を一人も乗せずに同地を去ったという。

一方、シリア人権監視団によると、ブスターン・バーシャー地区とマシャーリカ地区の通行所一帯では、シリア軍、親政権武装勢力と反体制武装集団が交戦した。

これに関して、SANA(10月20日付)は、シリア政府支配下のアレッポ市ハムダーニーヤ地区に、反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)が撃った迫撃砲複数発が着弾し、女児1人が死亡、女性1人が負傷したと伝えた。

またシリア・ロシア両軍が、包囲下のアレッポ市東部と外界との境界に設置した8カ所の通行所(人道回廊)に対して、反体制武装集団が砲撃・銃撃を行い、うちブスターン・カスル地区の通行所一帯に迫撃砲弾が着弾した。

さらにロシア国防省によると、マシャーリカ通行所への反体制武装集団の砲撃により、駐留ロシア軍兵士3人が負傷し、ラタキア県のフマイミーム航空基地に搬送された。

SANA, October 20, 2016

このほか、シリア空軍所属のヘリコプターがアレッポ市東部各所に、通行所を知らせるためのビラ数十万枚を空中散布した。

SANA, October 20, 2016

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AFP, October 20, 2016、AP, October 20, 2016、ARA News, October 20, 2016、Champress, October 20, 2016、al-Hayat, October 21, 2016、Iraqi News, October 20, 2016、Kull-na Shuraka’, October 20, 2016、al-Mada Press, October 20, 2016、Naharnet, October 20, 2016、NNA, October 20, 2016、Reuters, October 20, 2016、SANA, October 20, 2016、UPI, October 20, 2016などをもとに作成。

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