シリア国内での化学兵器(塩素ガスを含む)の使用実態に関する国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構(Joint Investigation
Mechanism、JIM)は、任期終了(2016年10月31日)に先立ち、国連安保理に対して4度目となる報告書(最終報告書)を提出した。
『ハヤート』(10月23日付)によると、報告書は調査対象となっている2015年3月16日のイドリブ県クマイナース村での事件に関して、目撃者と搬送された患者の証言などをもとに、改めてシリア軍が有毒ガスを使用したと結論づけた。
また、攻撃を行ったヘリコプターに関して、ハマー航空基地とフマイミーム航空基地からタフタナーズ航空基地に配備されていた第63大隊第253戦隊および第255戦隊、そしてフマイミーム航空基地配備の第618戦隊に所属するヘリコプターだと断定した。
しかし、これらのヘリコプターが誰からの命令を受けて攻撃を行ったかについては言及しなかった。
合同査察機構が調査対象としているのは、①2014年4月11日、カフルズィーター市(ハマー県)、②2014年4月18日、カフルズィーター市、③2014年4月21日、タッル・マンス村(イドリブ県)、④2014年4月29~30日、タマーニア町(イドリブ県)、⑤2014年5月25~26日、タマーニア町、⑥2015年3月16日、クマイナース村(イドリブ県)、⑦2015年3月16日、サムリーン市(イドリブ県)、⑧2015年3月24日、ビンニシュ市(イドリブ県)、⑨2015年8月21日、マーリア市(アレッポ県)の9件。
JIMはこれまで、国連事務総長に対して3度報告書を提出している。1度目は2016年2月12日(http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/2016/142)、2度目は6月10日(http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/2016/530)で、3度目が8月24日(http://www.securitycouncilreport.org/atf/cf/%7B65BFCF9B-6D27-4E9C-8CD3-CF6E4FF96FF9%7D/s_2016_738.pdf)。
このうち、8月24日に発表された報告書では、③2014年4月21日、タッル・マンス村(イドリブ県)、⑦2015年3月16日、サムリーン市(イドリブ県)がシリア軍ヘリコプターの爆撃によるもの、そして⑨2015年8月21日、マーリア市(アレッポ県)がダーイシュ(イスラーム国)による可能性が強いとしていた。
AFP, October 22, 2016、AP, October 22, 2016、ARA News, October 22, 2016、Champress, October 22, 2016、al-Hayat, October 23, 2016、Iraqi News, October 22, 2016、Kull-na Shuraka’, October 22, 2016、al-Mada Press, October 22, 2016、Naharnet, October 22, 2016、NNA, October 22, 2016、Reuters, October 22, 2016、SANA, October 22, 2016、UPI, October 22, 2016などをもとに作成。
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