アル=カーイダ系組織のシャーム・ファトフ戦線の主導のもと、反体制派がシリア政府支配下のアレッポ市西部への一大攻勢を開始、その砲撃で民間人6人が死亡(2016年10月28日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アル=カーイダ系組織のシャーム・ファトフ戦線が主導する反体制派の武装連合体のファトフ軍が、シリア軍の包囲下にある反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)支配下のアレッポ市東部解囲に向け、アレッポ市西部のザフラー協会地区から、ダンボール工場、ファミリー・ハウス、科学技術センター、ダーヒヤト・アサド地区、第1070集合住宅建設地区を経由してアレッポ市南部郊外に至る全長15キロの地域で一大攻勢(アレッポ大血戦)を開始し、同地に迫撃砲弾数百発を撃ち込む一方、シリア軍、親政権の武装勢力(ヒズブッラー、ヌジャバー運動など)と交戦した。

Kull-na Shuraka’, October 28, 2016

Kull-na Shuraka’, October 28, 2016

Kull-na Shuraka’, October 28, 2016

Kull-na Shuraka’, October 28, 2016

ファトフ軍とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室の双方に参加するシャーム自由人イスラーム運動の前線司令官兼報道官のアブー・フースフ・ムハージル氏は、これに関して、ファトフ軍とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室の双方が、アレッポ市東部解囲のための「アレッポ大血戦」を開始したことを明らかにした。

また、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室に参加する「穏健な反体制派」のヌールッディーン・ザンキー運動の政治局メンバーのヤースィル・ユースフ氏は、AFP(10月28日付)に対して、「ロシア軍の攻撃から民間人、学校、病院を守る」と述べ、アレッポ市西部の市街地への砲撃を自己正当化した。

シリア人権監視団によると、ファトフ軍とアレッポ・ファトフ軍作戦司令室の砲撃により、子供2人を含む民間人15人が死亡した。

クッルナー・シュラカー(10月28日付)などによると、戦闘は、シャーム・ファトフ戦線、トルキスターン・イスラーム党、シャーム自由人イスラーム運動、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、イスラーム戦線などが主導、ダーヒヤト・アサド地区などで、トルキスターン・イスラーム党のフランス人戦闘員らが自爆攻撃を敢行し、ダーヒヤト・アサド地区内のマンヤーン製材所、スーラ検問所などを制圧したという。

これに対して、シリア人権監視団によると、戦闘機(所属明示せず)がアレッポ市西部郊外一帯を空爆するなどして応戦したという。

また、ARA News(10月28日付)によると、ファトフ軍はまたアレッポ市南部郊外のハーン・トゥーマーン村一帯のシリア軍拠点を攻撃したという。

しかし、シリア・アラブ・テレビ(10月28日付)は、「テロ組織は(アレッポ市西部および南部の)どの回廊地域でも何らの進軍も記録していない」と伝えた。

一方、SANA(10月28日付)によると、反体制武装集団(ファトフ軍、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)がアレッポ市西部のザフラー協会地区、ラーシディーン地区(シリア政府支配地域)および東部地区(反体制武装集団支配地域)を砲撃し、民間人6人が死亡、36人が負傷した。

SANA, October 28, 2016

また、シリア軍は、アレッポ市南部の航空技術科方面に侵攻したシャーム・ファトフ戦線主導のファトフ軍と交戦、これに対して、シリア軍はマンスーラ村、アブー・シャイラム村、ハーン・トゥーマーン村、バーズー丘一帯の反体制武装集団拠点を空爆したという。

AFP, October 28, 2016、AP, October 28, 2016、ARA News, October 28, 2016、Champress, October 28, 2016、al-Hayat, October 29, 2016、Iraqi News, October 28, 2016、Kull-na Shuraka’, October 28, 2016、al-Mada Press, October 28, 2016、Naharnet, October 28, 2016、NNA, October 28, 2016、Reuters, October 28, 2016、SANA, October 28, 2016、UPI, October 28, 2016などをもとに作成。

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