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離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使がアラビーヤ(7月12日付)に出演し、自身が「当初からシリア革命を支持していた」と述べた。
ファーリス大使の発言の概要は以下の通り:
「我々は変革しなければならなかった。しかし体制の方法は何ら変化しなかった。すべては大統領の手に握られており、(バアス)党は完全に独裁者の指導を隠蔽する組織に過ぎなかった。憲法第8条の廃止は何の前進も後退ももたらさないだろう…。新憲法は何の役にも立たない…。複数政党制は幻想で形式的だ。なぜなら政党を認可するか拒否するかは内務省の手に握られているからだ」。
「イランで離反宣言することでイラク当局を当惑させたくなかった。なぜならイラク政府はシリア政府と関係がよいからだ…。だから、イラクから出て、離反を宣言することにした。もちろん反体制勢力との調整はあった」。
「私はシリア国民の革命への参加を宣言する。第一に、自由シリア軍、調整組織、そして革命かといった国内の反体制勢力への参加を…」。
「国外の反体制勢力は努力しているが、国内との間に亀裂があり、彼らへの憤りは大きい。私は、シリア国民が国外の反体制勢力についてどのような話をしているのかを知っている」。
「軍・治安機関がシリア政府の持つ権力基盤である。しかしいずれの宗派においても大衆基盤を持っていない…。軍はいつまで結束を保つことができるだろうか?軍と治安部隊において離反が起きている」。
http://www.youtube.com/watch?v=c_pMVkikPmU
http://www.youtube.com/watch?v=SRyktaK4XHk&feature=relmfu
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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使が職務に反する声明を発表し、その行為は法的責任を追及されるものだと非難した。
同声明によると、ファーリス大使はバグダートのシリア大使館での執務を無断で放棄、これを受け外務在外居住者省は懲戒免職とした、という。
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ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使の出身地であるダイル・ザウル県では、ブーカマール市のアカイダート部族のカマール・ナージー・ファーリス・ジャッラーフ師がシリア・アラブ・テレビ(7月12日付)に対して、同大使の離反を確認したとしたうえで、アカイダート部族が開き、その離反を私的な見解を表明するための個人的行動に過ぎないとみなしたと述べた。
ヒムス県では、SANA(7月12日付)によると、クサイル市郊外のクタイナ湖で治安維持部隊と2隻のボートに乗っていた武装テロ集団が交戦、ボートを破壊した。
またヒムス市のクスール地区でも治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、アンマール・ハマーディー、ウマル・ガムターウィー、ムハンナド・ハティーブらテロリスト多数を殺害した。
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ダルアー県では、SANA(7月12日付)によると、ハバブ氏で公共道路センターの要員が武装テロ集団と交戦し、ムハンマド・フアード・トゥルクマーニーらテロリスト3人を殺害した。
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イドリブ県では、SANA(7月12日付)によると、アリーハー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリストに損害を与えた。
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SANA(7月12日付)によると、パレスチナ解放軍のムハンマド・ターリク・ハドラー少将が声明を出し、武装テロ集団がアレッポ県で同軍兵士17人を誘拐・殺害したと発表した。
遺体には拷問の跡が残っていた、という。
ダマスカス県では、複数の反体制活動家によると、治安部隊がカフル・スーサー区に対して迫撃砲で「初めて」攻撃を加えた。ロイター通信(7月12日付)が伝えた。
迫撃砲による攻撃が「初めて」だとすると、これまで砲撃を受けてきたとの反体制活動家の発言がウソであったことになる。
またシリア革命総合委員会によると、バサーティーン地区、カダム区も軍・治安部隊の砲撃に曝された。
一方、シリア人権監視団によると、ルワーン地区に治安部隊が突入し、逮捕・捜索活動を行った。
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『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)によると、ダマスカス郊外県南西部での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘がクナイトラ県に飛び火した。
またシリア人権監視団によると、ダーライヤー市で治安部隊の発砲により1人が死亡し、ザバダーニー市での砲撃でも1人が死亡した。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、親政府の武装集団がハーン・ジャウズ村近郊の街道で複数の車に発砲し、23人を殺害した、という。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トゥライムサ村が軍・治安部隊の砲撃に曝された。その後、軍・治安部隊は同市に突入し、反体制武装集団との戦闘で7人が死亡した。
またカルナーズ町、ラターミナ町も軍・治安部隊の砲撃に曝された。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区周辺に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。
また同地区周辺での戦闘で、反体制武装集団の戦闘員2人、民間人3人が殺害された。
クサイル市でも砲撃により2人、ガルナータ村でも2人(女性)が死亡した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ブスラー・シャーム市に軍・治安部隊が突入した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市、マーイル町が軍・治安部隊の砲撃に曝された。
またアレッポ市マイダーン地区で反体制武装集団戦闘員2人が殺害された。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で1人が死亡した。
『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、ファールーク・シャルア副大統領が7月2日以来、執務室を訪れておらず公務に就いていないと報じた。
シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はダマスカスで記者会見を開き、「シリア祖国救済」と銘打った大会をダマスカスで7月28日に開催すると宣言、「政府が主唱する改革に満足せず、また暴力的手段に依らない平和的方法での体制転換」のため、すべての反体制勢力に参加するよう呼びかけた。
フサイン代表は大会の目的に関して、「国の危機を回避し、暴力を停止し、専制を終わらせ、平和的政権交替を行うこと」と述べたうえで、「(大会は)対話ではなく、国内に愛国的運動を創出し、任務を遂行し、危機を回避することだ」と強調した。
アサド政権の改革プログラムに関しては、「政権に改革や国家運営の能力があるとは考えていない」と非難した。
在外の反体制勢力、とりわけシリア国民評議会に関しては、「我々は国外ではなく、国内で活動しており、彼らもここに来ればいい…。我々はこの土地にしがみつき、体制との戦いを国内で、シリア国民の間で行っている」と述べ、暗に批判した。
なお大会の呼びかけは、シリア国家建設潮流と国民潮流(バースィル・タキーッディーン代表)の相互理解覚書締結を受けて行われ、国民潮流も大会に参加する。
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法律研究調査センターのアンワル・ブンニー弁護士は、ダマスカス商業会議所のバッサーム・マリク氏(ビジネスマン)が、ダマスカス県内で5月と6月にゼネストを支援したために10日に逮捕され、アドラー刑務所に送還された、と発表した。
マリク氏は国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会の執行委員会メンバー。
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Elaph.com(7月12日付)は、シリア国民評議会執行委員会のサミール・ナッシャール財務局長が、在外反体制勢力の活動資金横領疑惑に関して、「同評議会は発足以来、アラブ諸国から2500万ドルしか受け取っていない…。うち95%は国内で暮らす市民のために支出され、それ以外は近隣諸国の避難民のために支出された」と述べた。
またリビアの資金援助に関して、申し出があったもの資金は受け取っていないと述べる一方、3月に発足したシリア・ビジネスマン評議会から3億ドルを受け取っているとの情報に関してはこれを否定した。
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シリア国民変革潮流は声明を出し、改めて外交官に離反を呼びかけた。
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「包囲下の女性」を名のる人権団体は2011年3月以来、ヒムス市などでの軍・治安部隊による婦女暴行81件の証言を得たと発表した。
http://womengaza.maktoobblog.com/
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AFP(7月12日付)は、反体制政治同盟のシリア・クルド国民評議会と親体制でPKK系の民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会がクルド最高委員会の名のもとに統合することを決定した、と報じた。
この決定は、イラクのクルディスタン自治区のマスウード・バールザーニー大統領がエルビルで主催した仲介を受けたもの。
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シリア国民評議会は声明を出し、パレスチナ解放軍兵士の誘拐・殺害を強く非難し、アサド政権がシリア国民とパレスチナ人の対立を助長しようとしていると断じた。
『サフィール』(7月12日付)は、ナジーブ・ミーカーティー首相に近い消息筋の話として、レバノン政府がシリア人避難民への医療支援を中心したと報じた。
同紙によると、政府の負担軽減への国際機関の支援がなかったのがその理由だという。
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ナハールネット(7月12日付)によると、シリア軍が北部県アッカール郡、ベカーア県バアルベック郡の国境地帯で、反体制勢力掃討のため越境砲撃を行い、子供3人を含む4人が負傷した。
フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「反体制勢力が(マナーフ・トゥラース)准将が接近していることを認知している…。この方向で連絡がなされている」と述べた。
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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ハマー県北部のシャフシャブー山でソ連製のクラスター爆弾の残骸が発見され、軍・治安部隊が反体制武装集団掃討のために使用した可能性があると指摘した。
AFP, July 12, 2012、Akhbar al-Sharq, July 12, 2012、AKI, July 12, 2012、Aljazeera.net, July 12, 2012、Elaph.com, July 12, 2012、al-Hayat, July 13, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012、Naharnet.com, July 12,
2012、Reuters, July 12, 2012、al-Safir, July 12, 2012、SANA, July 12, 2012などをもとに作成。
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