シリア政府は反体制武装集団の支配下にあったアレッポ市東部の60%を解放(2016年12月3日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍、親政権武装勢力がアレッポ市南東部の東端に位置するバーブ街道地区一帯などを制圧、11月下旬まで反体制武装集団(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室)の支配下にあったアレッポ市東部の60%を奪還した。

シリア軍と反体制武装集団の戦闘は、アレッポ市南東部のほぼ中心に位置するジャズマーティー地区、カルム・タッラーブ地区、フィルドゥース地区、マガーイル地区、スッカリー地区、ブスターン・カスル地区で激しく行われたほか、シリア軍がシャッアール地区などを空爆し、少なくとも3人が死亡、10人以上が負傷した(クッルナー・シュラカー(12月3日付)によると、アレッポ市南東部各所に対する空爆・砲撃で、6人が死亡、12人が負傷)。

これに対して、反体制武装集団は、アレッポ市南東部に対して空爆を実施していたシリア軍戦闘機1機を攻撃し、墜落させた。

SANA, December 3, 2016

Qasioun, December 2, 2016

戦闘機はアレッポ国際空港上空近くで被弾し、墜落、パイロット2人が死亡した。

また、反体制武装集団はシリア政府支配下のザフラー協会地区、ダフラト・アブドゥラッブフ地区一帯、サイフ・ダウラ地区、シャフバー地区を砲撃、またシリア軍によって制圧された南部のシャイフ・サイード地区を奪還した模様。

これに関して、SANA(12月3日付)は、アレッポ市南東部で籠城を続ける反体制武装集団がシリア政府支配下の同市ハラブ・ジャディーダ地区、ハムダーニーヤ地区、イザーア地区、ナイル通り地区、アレッポ大学キャンパス、アシュラフィーヤ地区、サイフ・ダウラ地区を砲撃し、5人が死亡、数十人が負傷したと伝えた。

このほか、ARA News(12月3日付)によると、反体制武装集団は、アレッポ市北西部のヌッブル市、ザフラー町を砲撃した。

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なお、シリア人権監視団によると、アレッポ市東部各所での戦闘激化、砲撃を受けて、同地を脱出し、シリア政府支配地域に避難した住民の数は5万人以上にのぼっているという。

また、シリア軍のバーブ街道地区制圧を受けて、同地区の住民が反体制武装集団支配下のシャッアール地区方面に避難したという。

さらに、同監視団によると、シリア軍がアレッポ市東部に攻勢を強めた11月下旬以降、同地で子供42人を含む310人が死亡、また反体制武装集団の砲撃に晒されているシリア政府支配下のアレッポ市西部でも64人が死亡しているという。

AFP, December 3, 2016、AP, December 3, 2016、ARA News, December 3, 2016、Champress, December 3, 2016、al-Hayat, December 4, 2016、Iraqi News, December 3, 2016、Kull-na Shuraka’, December 3, 2016、al-Mada Press, December 3, 2016、Naharnet, December 3, 2016、NNA, December 3, 2016、Reuters, December 3, 2016、SANA, December 3, 2016、UPI, December 3, 2016などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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