アサド大統領はシリアの民間日刊紙『ワタン』(12月8日付)のインタビューに応じた。
大統領が国内メディアのインタビューに応じるのは異例で、インタビューは全文掲載ではなく、発言の要旨を解説するかたち(http://alwatan.sy/archives/82034)で掲載された。
インタビュー記事の要旨は以下の通り:
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アサド大統領は、国家の最優先課題が「テロとの戦い」と市民生活の充実にあるとする一方、これまでの政治プロセスが、愛国的なシリア人どうしの対話だけでなく、愛国的なシリア人と外国の手先となっているシリア人の対話で、初めから死産の状態にあったと指摘、シリアがこうしたプロセスに参加してきたのが「政治的解決について発言する国、とりわけ西側諸国が信用できないということをみなに知らしめるため」だったと述べた。
アサド大統領は「すべての反体制派が(外国の)手先ではない」と強調した。だが、大統領は「シリアとの対話に応じるよう指示された反体制派とは(外国の)手先であり。我々としては、これに関して議論の余地などない」と述べた。そのうえで、「シリア人どうしのあらゆる対話…、外国のアジェンダに与さず、テロリストを支援していないシリア人どうしの対話」であれば、ダマスカスで行われようと、それ以外の場所で行われようと支持すると明言した。
アサド大統領は、湾岸諸国、とりわけサウジアラビアとカタールがシリアに対する敵対的な姿勢をとっており、歴史を通じてイスラエル存続と中東地域における同国の優位の主因をなしているとの見方を示した。しかし、このことは、サウジアラビア、カタールといった国々の国民が敵国民であることを意味しないと念を押した。
また、アサド大統領は、ロシアが約1年半前からシリアとサウジアラビアの関係改善の仲介を行ってきたが、「サウジアラビアには、シリアをイランと敵対させようと目的しかない」ゆえにこの仲介は失敗したことを明らかにしたうえで、「なぜ我々がサウジアラビアを満足させるため、あるいはサウジアラビアの遅れた知能を満足させるためにイランと敵対しなければならないのかが分からない」と述べた。
エジプトとの関係について、「ゆっくりではあるが改善している。しかし、両国関係は依然として安全保障分野に限定されている」と述べたとした。アサド大統領は、両国関係がムスリム同胞団のムハンマド・ムルスィー前政権の間に低迷したにもかかわらず、国交が断絶しなかったのは「ムルスィー、同胞団が望まなかったからではなく、軍治安機関が望んでいなかったからだ」と述べた。
アレッポ市東部の解放作戦に関して、アサド大統領はそれが政治的枠組みではなく、軍事的な行動の一環として実現したと強調、「我々がリアリストであるなら、これ(アレッポ市解放)はシリアをめぐる戦争の終わりを意味するのではなく、終わりに向けた大いなる足がかりとなる…。テロリストを完全の殲滅しなければ戦争は終わらない…。我々は彼らへの戦争を続行する」と述べた。
アサド大統領は、国民和解プロセスについて、ジュネーブ・プロセスとは異なった道筋を辿るだろうとしたうえで、「テロリストの打倒と平行して」進められるべきとの見方を示した。
アサド大統領は、シリア経済を支えるものとして、「シリア国民の生活を営もうとする意志」、「契約に基づく経済制度」、「国家による長期戦への構え」、「イラン、ロシアといった友好国の支援」の四つをあげた。
復興をめぐって、アサド大統領は「安全が確保されたときに…着工されるだろう…。友好国がこの分野における第一の貢献者となるだろう」としたうえで、「敵対的姿勢をとってきた国の企業が復興に携わることをシリア国民は許さないと思う」と述べた。
一方、汚職問題をめぐっては「汚職が処罰なしには続けられてはならない」と強調した。
最後に、シリア軍を支援する「人民防衛諸部隊」については「国家が採用した選択肢ではなく、愛国主義に基づくすべての戦争のなかで生じる経験だ…。こうした経験には良い面と悪い面がある。我々の場合、領内で多くの戦果を挙げるという良い面があった。だが、悪い面は、汚職がそうであるように、つねに個人が置かれた状況と結びついて発生する…。私はすでに検挙された事案を詳しく承知している。また検挙されていない事案もある」と述べた。
AFP, December 8, 2016、AP, December 8, 2016、ARA News, December 8, 2016、Champress, December 8, 2016、al-Hayat, December 8, 2016、Iraqi News, December 8, 2016、Kull-na Shuraka’, December 8, 2016、al-Mada Press, December 8, 2016、Naharnet, December 8, 2016、NNA, December 8, 2016、Reuters, December 8, 2016、SANA, December 8, 2016、UPI, December 8, 2016などをもとに作成。
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