アサド大統領は、フランスのメディア各社のインタビューに応じ、シリアをめぐって世界のすべてがあらゆるレベルで変化しつつあると述べるとともに、シリア全土解放が任務だと強調した。
インタビューは、シリア訪問中のフランスの国会議員使節団(共和党のティエリー・マリアニ議員が団長)に同行した記者団の取材に答えるかたちで行われ、アサド大統領は英語で質問に答えた。
インタビューはSANAが全文(http://sana.sy/en/?p=97969)を配信、また大統領府がユーチューブを通じて映像(https://youtu.be/oAXRbM63mcw)を公開した。
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インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
「我々はここを訪れるすべての使節団に、シリアで過去数年間に何が起きてきたのか、真実について見て欲しいと願っている…。フランスに関して言うと、(シリアに)大使館はなく、シリアと関係をもたずにいる。つまり、盲目のような状態だと言える。何も見ず、盲目状態で、どのように特定の地域の政策を打つことができるというのか? 見る必要がある。これらの使節団が重要なのは、彼らが国家に依存せず、国家の目となるということだ…。なぜなら、シリアをめぐって、世界のすべてが変化しつつある。地元レベル、地域レベル、そして国際社会において変化しつつある。今のところ、フランス政府は姿勢を変えておらず、我々の現実と無関係な昔ながらの言葉で話している」。
「もちろん、自分たちの国が破壊され、血が流されているのを見るのはシリア人として痛ましく感じる…。しかし、これは感情的な問題であり、大統領としては…私が何をするのかが問題となる。それは感情だけの問題ではない…。どのように我々は都市を再建するかが問題だ」。
「(アレッポ市東部を空爆したことに関して)あなた方は、静かな戦争、破壊のない戦争を望んでいるのか? 良い戦争などというものを私は耳にしたことはない。すべての戦争は悪しきものだ…。なぜなら戦争とは、破壊、殺戮だからだ…。正しい理由によるものであっても、「これは良い戦争だ」などとは言えない…。だから戦争は解決策ではない…。しかし、どのようにテロリストからあれらの地域(アレッポ市東部)の民間人を解決できるというのか? 静観するのが国家の役割だというのか…? 解放しなければならないし、時にそれは代償を伴う」。
「停戦とはすべての当時者が戦闘や発砲を停止することだが…、シリアの多くの地域ではそれは当てはまらない…。ダマスカスなどで連日停戦が違反されている。ダマスカスでは、テロリストがその水源(アイン・フィージャ水源)を占拠し、500万人以上から過去3週間、水を奪っている。シリア軍はこれらのテロリストが水を利用して首都を締め付けようとするのを阻止するため、この地域(バラダー渓谷)を解放するのが役目だ…。首都ダマスカスの水源はヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)が占拠している。ヌスラは同地を占領していると正式に発表した。だから停戦には含まれない」。
「ラッカに関して言うと、憲法そして法に則って、それを解放するのが我々の任務だ。我々はシリア全土を解放しなければならない…。問題はいつ行うか、何が我々の優先課題かだ。だが、それは軍事的な優先事項に関わる問題で、国レベルでの優先事項ではない」。
「我々は、その会議(アスタナ会議)に使節団が向かう用意ができていると発表した…。我々はすべてと交渉する用意がある。シリアの紛争を終わらせるためか、シリアの未来を話合うためかについてだが、すべてが完全にオープンであり、こうした交渉に制限はない。しかし、あちら側からは誰が来るのか? 我々はまだそれを知らない。真の反体制派が交渉に来るのか? 「真の」という場合、それはサウジアラビア、フランス、英国ではなく、シリアに根ざしているという意味だ。シリアの問題を議論するのはシリアの反体制派であるべきだ」。
「一部のシリア人ではなく、シリア国民が大統領を選ぶべきだ」。
「シリア政府は武器を棄てたすべての戦闘員に恩赦を与えてきた。彼らが日常生活に戻りたいというのなら、今もこれと同じ選択肢がある」。
「我々は常に、(フランスの)次期政権、政府、大統領が現実に対処しようとし、我々の現実と無縁の政策との結びつきを絶つことを願っている…。そうすれば、彼らはフランス国民の利益のために行動できる。なぜなら、6年経った今、フランスの市民として、あなた(記者)は安全だと感じていますか? 答えが「はい」だとは私は思わない。移民問題があなたの国の状況を良くしましたか? 答えは「いいえ」だと思います…。何が理由なのでしょう? それは次期政権、政府、大統領が我々の現実に対処するために取り組むべき議論だ」。
「(フランスの)政治家にメッセージを送るのなら、自明のことを言うだろう。シリアの市民のために行動しなければならない、と…。しかし、事態は別の方向に向かっている。なぜなら、フランスの政策はフランスの国益に反しているからだ…。真実に目を向けなければならない。真実こそがシリアを含む中東における最大の犠牲者だ。私はフランスの市民に、現実を追求し、代替メディアを通じて真の情報を探すよう求めたい」。
「シリアの問題は孤立して存在していない。それはシリア人どうしの問題ではなく、より大きな部分がある…。シリアの紛争の主要な部分とは、地域的、国際的な問題だ…。地域的、国際的な部分は主に米国とロシアの関係に左右される…。だから(ドナルド・トランプ米新政権の成立は米国のシリアへの姿勢に変化をもたらすことを期待するかとの問いに対する)答えは「はい」で、我々はシリア紛争においてそれが前向きに作用すると考えている…。米国とロシアの関係改善は、シリア紛争に前向きな影響を与えるだろう」。
SANA, January 9, 2017をもとに作成。
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