国連西アジア経済社会委員会(ESCWA、本部ベイルート)は、「シリアの未来のための国民アジェンダ」(National Agenda for the
Future of Syria, NAFS)の第1段階の終了と第2段階の開始を発表した。
ベイルートのESCWA本部で開催された会合では、第1段階の最終報告書「戦略的政策オルターネティブの枠組み:紛争後のシリア」(Strategic
Policy Alternatives Framework: Post Conflict Syria)と第2段階のヴィジョンが示された。
会合では、1月末に世界銀行に異動する予定のアブドゥッラー・ダルダリー事業推進担当事務次長、ハウラ・マタル事業支援担当事務次長、バースィル・カグドゥーNAFS調整官らが報告を行い、各国外交官、国連各機関の代表、国際NGOの代表らが出席した。
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会合では、ダルダリー事業推進担当事務次長が第1段階の最終報告書「戦略的政策オルターネティブの枠組み:紛争後のシリア」に従って、これまでの成果と提言を報告した。
報告のなかで、ダルダリー氏は、紛争後のシリアのヴィジョンを以下の通り列挙した:
ダルダリー氏はそのうえで、第1段階を振り返り、NAFSが三つの原則に依拠してきたことを強調した。
第1の原則は「国民的財産」という発想で、この原則ゆえに、多くのシリア人が参加し、シリア社会に対して結果を示すことができたと自賛した。
第2の原則は「包括性を参加の基礎」とすることで、この原則ゆえに、NAFS参加者がシリアの社会的な構成を代表するさまざまな階層を代表していると強調しつつ、第2段階の運営には、より多くの技術者、専門家の参加が求められると述べた。
なお、ダルダリー氏によると、これまでにNAFSには関係者170人、50以上にわたる開発分野の専門家165人、市民団体約200人が参加してきたという。
第3の原則は、「客観的で自由な対話を活動の基礎」とすることで、この原則のもと、社会分野、経済分野、ガヴァナンス分野という三つの分野に力点を置いた柔軟な対話が保障されたと述べた。
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ダルダリー氏の報告に続いて、マタル事業支援担当事務次長から第2段階のヴィジョンについての説明を行った。
第2段階の目的は主に以下の2点からなるという。
マタル女史はこのなかで、第2段階において4つの成果が見込まれるだろうと述べた。
期待される第1の成果とは、第1段階において達成された問題にかかわる様々な利害関係者の対話に基づく協力関係の構築、紛争の平和的解決策の導出、第2の成果とは、第1段階において達成された作業の妥当性の保障、第3の成果とは、理論の実践へ転換、そして第4の成果とは、紛争の政治的解決に向けた交渉やシリアにかかわる国内外のプロジェクト策定プロセスなどにおける意思決定を行うための情報の拡充、だという。
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なお、NAFTは2013年1月に始動したUNESCWAのプロジェクトで、シリア人の専門家や利害関係者が、紛争後の移行プロセスを見据えて、復興や和解に際して戦略的、論理的に何が必要かを特定し、その実施に必要な条件を作り出すこと。
そのために国民レベルでの対話のプラットフォームを立ち上げ、そこでの専門家と利害関係者が議論を通じて、衡平で持続的な開発、国民統合、主権などといった概念への知識を拡充し、長期的な開発政策を策定することをめざす。
具体的には、現下のシリアの人的、財政面での制約を踏まえつつ、①復興と経済再建、②社会的和解と結束の実現、③制度構築、ガヴァナンスの実現、民主化に向けた移行プロセスの先導することをめざす。
工程は3段階からなり、第1段階(当初終了予定は2013年4月)は、現状評価、NAFSのアウトラインの最終確定、第2段階(当初終了予定は2013年8月)は、具体的な政策報告書の作成と政策実施に向けた準備、第3段階(終了予定は2015年8月)は、政策実施の支援、を骨子とするという。
UNESCWA, January 27, 2017などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
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