アサド大統領はベラルーシのONTチャンネルのインタビューに応じた。
インタビューは通訳を通じてロシア語とアラビア語で行われ、SANAが映像(https://youtu.be/U2MAGTta_rc)、アラビア語全文(http://www.sana.sy/?p=553650)を公開した。
インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:
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「愛国心…は困難な環境で暮らす国民に耐久力を与えるうえでもっとも重要な要素だ…。だがテロの危険という新たな危険について言うと、より重要なのはテロを支えるメンタリティが何かを考察することだ…。背景は(ナチズム台頭)と同じだ…。なぜナチズムは台頭し、何をしたのか。ナチズムは世界を支配し、他者を排除しようとした。今日我が国民が戦っている戦争はテロリストだけではなく、テロを支援する者たちとの戦いだ。テロとは、ナチズムと同じメンタリティを採用し他者を支配し、諸外国を奴隷にしようとしている西側諸国によって利用されている道具に過ぎない」。
「シリアは太古からある国で…、何千年という歴史的蓄積がある…。シリアはさまざまなかたちの占領、植民地支配のもとに置かれてきた。侵略を受けては破壊されてきた。つまり、シリア国民は歴史上に行われてきたさまざまな戦いにどう対処するかという経験を積み重ねてきた…。また、シリア国民は愛国的な国民だ…。西側は何世紀にもわたって宗派主義とは無縁のシリア国民のなかに問題を作り出そうとしてきた。しかし、西側がこの馬鹿げた策を講じた結果として、シリア国民はより強く統合されていった」。
「西側は、ダーイシュ(イスラーム国)やヌスラ戦線(シャーム解放機構)に対する直接間接の支援策…を売り込むことに失敗すると、この問題から手を拭い、シリアの問題がダーイシュやヌスラではなく、有毒ガスを使って無垢の市民を殺す国家にあると見せようとした…。こうした主張は米国のシリアへの干渉を隠蔽するものでもあった…。ドナルド・トランプ大統領は、国内の他の勢力やロビー、メディア、大企業との対立しており…、これらのグループに自分の資質を占めそうとしたかったのだ」。
「ダーイシュとヌスラは、ワッハーブ主義イデオロギーというテロの教義を共有している。ダーイシュ、ヌスラ、ムスリム同胞団に所属する(トルコのレジェップ・タイイップ・)エルドアン大統領、サウード家、カタールのサーニー家は同じ教義を持っている…。これらすべてが米国の道具なのだ」。
「(西側によるネガティヴ・キャンペーンに)憔悴しているかどうかというと、私は彼ら(西側)の方が憔悴していると思う。幾つもの嘘をつき続け、なお何の成果も出していないからだ」。
「ジュネーブ会議は今のところは、メディアのための会合に過ぎない。これまでのジュネーブでの会合において実質的なものは皆無だ…。このプロセスは原則として、我々を譲歩させることが目的だった…。しかし、私はたった一つの理由で決して譲歩はしない。なぜなら、この国は私の持ち物ではないからだ。国レベルでの譲歩はいかなるものであれ大統領の権限ではできない。それは国民レベルでの決定…国民投票が必要だからだ。主権、国益、憲法、独立にかかわるすべての問題は大統領の権限で決めることはできない」。
「アスタナ会議では、状況は違う。アスタナでの協議は、武装してテロリストとのもので、ロシアのイニシアチブのもと、ロシア、そしてその後、イランとトルコが保証国として加わるかたちで行われている。トルコはテロリストの保証国、ロシアとイランは合法的なシリアの国家の保証人というわけだ。これによって停戦だけでなく…いわゆる「緊張緩和地帯」の設置という成果がもたらされるようになった」。
「これらの地域(緊張緩和地帯)には民間人とテロリストが混在している…。その第1の目的はこれらの地域の民間人を守ることであり、そのうえで第2に国家との和解に関心のあるテロリストにチャンスを与えることが目的だ」。
「シリアで人口動態に変化が生じているとの主張は、一部のうぶなシリア人を煽動しようとする試みに過ぎない。こうした主張は本当ではなく、ほとんどのシリア人はそのことを知っている…。和解(停戦)はその地域の人々に去るか留まるかの選択肢を与えている。また反乱分子にも武器を置き、法的地位を回復させるのか、それを望まずに去るのかの選択肢を与えている…。去った反乱分子のほとんどは和解を拒否した。また彼らと去った市民とは彼らの家族だ…。国家は彼らに去ることを強要はしていない」。
「難民の帰還は必要だ…。そのタイミングについては…、難民の帰還を妨げる障害はなく、いつでもよい…。国家は国内避難民に必要な福祉を提供すべく最善を尽くしている」。
「世界の政治は原理原則や道徳によって律せられているのではない。それは、価値観…、原理原則、そして国際法を犠牲にしようとも、利害によって支配されている…。しかし、真実を語り、原理原則に基づく道徳的な立場をとる国もいくつかある。ベラルーシ、ロシア、イラン、北朝鮮といった国だ。これらの国は西側の指示に従わないがゆえに、「非民主的」、「悪の枢軸」などと呼ばれている…。しかしこれらの国こそが本当のことを語る…西側高官のほとんどは真実を知っているが、嘘をつき続けてきた。彼らは世論を巻き込んできたがゆえに、Uターンすることは難しい。なぜなら、Uターンすれば、自分たちが嘘をついてきたことを世論に対して認めてしまうからだ」。
「いかなる問題解決も多くの要素を必要とするが、もっとも重要な要素とは信用だ…。明確なヴィジョンと変わることのない原理原則をもった安定的な政策が、いかなる危機においても役割を果たすうえで本質的に重要だ」。
AFP, May 11, 2017、AP, May 11, 2017、ARA News, May 11, 2017、Champress, May 11, 2017、al-Hayat, May 12, 2017、Kull-na Shuraka’, May 11, 2017、al-Mada Press, May 11, 2017、Naharnet, May 11, 2017、NNA, May 11, 2017、OHT, May 11, 2017、Reuters, May 11, 2017、SANA, May 11, 2017、UPI, May 11, 2017などをもとに作成。
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