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SANA(5月6日付)は、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣が声明を出し、第10期人民議会における投票の安全と透明性を保障するために必要なすべての措置を講じたと発表した、と報じた。
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シリアのアドナーン・マフムード情報大臣は、「シリア国民はこの選挙への参加を通じて、諸外国がシリアに対して行うテロ攻撃や敵対行為に抵抗する…。この選挙はシリア国民が信任した新憲法のもと…、政治的多元主義と政党制のもとでの初の選挙である」と述べた。
ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、タッル市では、治安部隊の発砲で市民1人が死亡した。
UNSMISの使節団がザバダーニー市を訪問、市民の歓迎を受ける一方、同市では夜間に反体制デモが発生した。
一方、SANA(5月6日付)によると、ザバダイン地方にある民間旅客バス会社(ハサン・ハリール社)の駐車場を武装テロ集団が攻撃し、32台のバスが炎上した。
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ダマスカス県では、アブー・ムハンナド・マッズィーを名のる活動家によると、マッザ区で治安部隊が発砲した。
シリア・アラブ人権機構など人権団体6団体が共同声明を出し、民主的変革諸勢力国民調整委員会のメンバー3人がダマスカス県庁前で抗議行動を行った後に逮捕されたと発表した。
逮捕されたのは、マイス・クライディー女史、アフマド・アスラーウィー氏、イブラーヒーム・バッシュ氏。
またシリア人権監視団によると、ダッフ・シューク地区で未明、爆弾が爆発し、複数が死傷した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タッルカラフ市に近いアリーダ村やラスタン市を軍・治安部隊が砲撃し、複数名が負傷、家屋が破壊された。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊と離反兵が交戦、クーリーヤ市では軍・治安部隊による大規模逮捕・摘発が行われた。
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ハマー県では、ハマー市でのデモの映像などがインターネットを通じて配信された。
またハマー革命報道局なる組織によると、フワイズ市、カフルヌブーダ町、ヒヤーリーン町、カフル・トゥーン市などで、軍・治安部隊が砲撃、逮捕・摘発を行った。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジャルジャナーズ町、カンスフラ村、カフル・ウワイド市、ジスル・シュグール市周辺の村などで、反体制デモが発生した。
SANA(5月6日付)は、アサド大統領が殉教者記念日(6日)に合わせて、ダマスカス県カシオン山の殉教者廟を訪問したと報じた。
国内で反体制活動を行う活動家は、シリア暫定議会(国会)の発足を宣言したと『クッルナー・シュラカー』(5月6日付)が報じた。
同議会は、1943年の国会に準じるかたちで各県を代表する120人の議員からなり、国内で活動する調整(タンスィーク)、政治組織、大衆組織を通じて立候補、在外の活動家は含まれていない、という。
5月6日に招集されたとされる議会においては主に以下の事柄が承認された。
1. 現行憲法の廃止と1950年憲法の復活。
2. 大統領および首相の権限の一時停止とシリア暫定議会による暫定統治。
3. バアス党解体。
4. シリア国内の士官からなる参謀指導部の設立と同指導部による国防。
5. 外交政策委員会、法務委員会などの執行機関の設置(なお両機関は在外活動家7:国内の活動家3の割合で構成)。
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地元調整諸委員会は、5日にダマスカスとアレッポで発生した爆弾テロに関して「革命活動家に何らの利するところがない」と述べ、アサド政権の自作自演を疑った。
また地元調整諸委員会のウマル・イドリビー報道官(在外)は、AFP(5月6日付)に対して、「発砲下での選挙実施は、政府が危機の政治的解決に真剣でないことを示している」と非難した。
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シリア国民評議会のバスマ・カドマーン報道官はUPI(5月6日付)に対して、「我々は(人民議会)選挙がまったく信用を欠いていると考える。この選挙は政府が住民を殺戮するなかで実施されている。民主化プロセスへの侮辱だ」と述べた。
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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア氏はUPI(5月6日付)に対して、「我々はこの選挙に反対だ。なぜなら自由選挙の要件がまったくないからだ」と述べた。
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『クッルナー・シュラカー』(5月7日付)は、民主的変革諸勢力国民調整委員会の使節団がトルコのイスタンブールを訪問し、トルコ外務副大臣、在ダマスカス・トルコ大使らトルコ政府高官と会談したと報じた。
同報道によると、この会談で、両者はPKK系のクルド民族主義政党である民主統一党の国民調整委員会への参加の是非、シリア国民評議会への国民調整委員会の合流の是非、トルコのシリア国民評議会への対応、西側の経済制裁の影響などについて意見が交わされた。
調整委員会はこの会談で、民主統一党の参加を認めるべきでないとする一方で、シリア国民評議会への合流を求めるトルコ側に対して消極的な回答を行った、という。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、キリスのシリア人避難民キャンプを訪問し、避難民数百人を前に、「あなたたちの力は日に日に増している…。あなたたちの勝利は遠くない」と常軌を逸した発言をした。
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米国家安全保障局のデニス・マクドノー副補佐官は、ワシントン近東政策研究所で、シリアへの軍事的介入が「アサドの退任を早めることはないだろう」との見方を示した。
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サウジアラビア外務省は、シリアに滞在するサウジアラビア人に改めて避難勧告を行った。
AFP, May 6, 2012、Akhbar al-Sharq, May 6, 2012、al-Hayat, May 7, 2012、Kull-na Shuraka’, May 6, 2012, May 7, 2012、Reuters, May 6, 2012、SANA, May 6, 2012、UPI, May 6, 2012などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
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