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シリアの複数の都市で、モスクでの午後の礼拝後にデモが発生し、自由と腐敗撤廃が要求された。
デモ参加者は治安当局と衝突し、ダルアー県では複数が殺害された。
治安当局は強制排除に際して、放水車、催涙ガス、棍棒などを使用したほか、実弾を発射した。
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もっとも激しい衝突はダルアー県で発生した。
これに関して、SANA(3月19日付)は以下の通り伝えた。
金曜日午後にダルアー県にあるウマリー・モスクの近くに多くの市民が集まっているなかで、潜入者がそれを利用し、無秩序と暴動を発生させた…。
公共財産や私有財産が被害を受け、多くの自動車、店舗が破壊・焼き討ちに遭ったことを受け、治安維持部隊が市民とその財産を保護すべく介入した。暴動の扇動者たちは治安維持部隊に攻撃を加えたが、排除された…。
時を同じくして、(地中海岸の)バーニヤース市でも多くの人々が集まったが、上述のような事件もなく収束した…。
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複数の住民らによると、デモには200人以上が参加し、治安当局は、消防車が放水し強制排除を試み、汚職撲滅を叫ぶデモ参加者と治安当局が衝突した。
ダルアー市の人権活動家の1人はAP(3月18日付)に対して電話で、シリアの治安部隊によるデモ排除で4人が殺され、数百人が負傷したと述べた。
この活動家によると、治安部隊が「デモ参加者に実弾を発砲し」、「現在までのところ、アクラム・ジャワービラ氏、フサーム・アブドゥルワーリー・アイヤーシュ氏、アイハム・ハリーリー氏、アブー・アウン家の若者1人が死亡したとの確かな情報を得ている」と付言した。
また「数百人の負傷者がおり、(治安機関は)ダルアー国立病院に搬送された負傷者の多くを摘発し、ヘリコプターでどこかへ連れ去った」と続けた。
なおこれに先立ち、デモに参加していたフサーム・アブドゥルワーリー・アイヤーシュ氏とアクラム・ジャワービラ氏の2人が殺されたことと住民が明らかにしていた。
デモ参加者はいずれも「アッラー、シリア、自由」や腐敗撤廃を求めるスローガンを叫んでいたという。この住民によると、重武装の治安部隊が複数のヘリコプターで派遣され、ダルアー市のサッカー場に着陸した。
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同様の反体制デモは、ヒムス県ヒムス市のハーリド・ブン・ワリード・モスク前でも発生した。
『ハヤート』(3月19日付)によると、デモには数十人が参加し(「アフバール・シャルク」[3月19日付]によると約2,000人)、「アッラー、シリア、自由のみ」と連呼したが、治安当局によって強制排除された。
「アフバール・シャルク」(3月19日付)によると、その際約70人が逮捕された。
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ラタキア県では、複数の人権活動家筋がAPニコシア支局の電話取材に対して「約5,000人がそれ(バーニヤース市でのデモ)に参加し」、市内にあるラフマーン・モスク前では、「著名なシャイフ・アブドゥッラフマーン・アイルートの子息のアナス・アイルート氏がデモを指導した」と語った。
なお『ハヤート』(3月19日付)は「数百人」が自由と改革を要求するデモを行ったと報じた。
またダマス・ポスト(3月20日付)によると、3月18日のバーニヤース市でのデモは約50人が行い、反体制的なシュプレヒコールも行っていなかったが、やがて市街地で数百人に拡大し、公共物、私有財産などを破壊する暴動に発展した。
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ダマスカス県では、旧市街中心にあるウマイヤ・モスクの中庭でデモが発生し、APの記者が伝えたところによると、「民間人の衣服を着た複数の治安要員が中庭やモスク周辺(ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)やマサキーヤ広場)に多数展開し、デモ参加者は暴行を受け、排除され、約30人が逮捕された。
反体制デモに対抗すべく、マサキーヤ広場では、政府支持者約200人がシリア国旗とバッシャール・アサド大統領の写真を掲げて、カウンターデモを行った。
一方、アフバール・シャルク(3月18日付)によると、治安当局は、ムルーワ・ハッサーン・グムヤーン氏(17歳)、ラーマー・ハッサーン・グムヤーン氏を拘束した。
両名はダマスカス県での3月15日のデモに参加していた。
また、同デモに参加した別のグループ(アラー・キヤーリー女史ら)も拘束され、ムハンマド・アッルーシュ氏もインターネット・カフェで治安当局によって連行された。
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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市で治安当局が予定されていたサッカーの試合を延期。
なおフェイスブックの「シリア革命2011」が「尊厳の金曜日」と銘打って、ダマスカス県、ヒムス市、カーミシュリー市、ハサカ市、ブーカマール市、ハマー市、ラッカ市、アレッポ市、ダイル・ザウル市、イドリブ市内の主なモスクでの反体制デモの実施を呼びかけていた。
『クッルナー・シュラカー』(3月18日付)は、シリア各地で「バッシャールよ去れ」というスプレーでの落書きが発見されたと報じた。
またクルド消息筋の話として、ハサカ県デイリーク市で16歳の青年4人がアサド政権打倒を求める落書きを書き、当局に身柄拘束された。
4人の氏名はディヤール・アリー・アリー、ムハンマド・アリー・アリー、シールワーン・アドナーン、タイリージュ・ハーシム。
ダイル・ザウル県ムーハサン市では、シャイフ、ファフド・ファイサル・ナジュラス(ファイサル・ナジュラス元人民議会議員の子息でシリア最大の部族出身)が逮捕された。
シャーム・ニュース・ネットワークを通じてアサド政権の打倒を主唱したことが原因。
これを受け、「アラブ・シリア部族連合」が声明を出し、ナジュラス氏に身体的、精神的な危害が加えられたら政権トップの責任と警告、同氏を含むすべての政治犯、言論犯の釈放を求めた。
米国家安全保障会議のトミー・ビーター報道官は、シリアでの反体制デモに対する暴力行使を強く非難、シリア政府に平和的デモを認めるよう求めた。
AFP, March 18, 2011、Akhbar al-Sharq, March 18, 2011, March 19, 2011、Damas Post, March 20, 2011、al-Hayat, March 19, 2011、Reuters, March 18, 2011、SANA, March19, 2011などをもとに作成。
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