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自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は、シリア革命家戦線のジャマール・マアルーフ司令官が提唱した「国民自由軍」の創設に関して、滞在先のトルコから『シャルク・アウサト』(1月16日付)の取材に応え、「国内で戦うすべての武装集団からなる国民自由軍発足の発表は時期尚早」と批判し、「現時点で結成の可能性は資金面でのロジ面でもない」と述べた。
またイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団の対立については「戦闘がすぐに終わることはない…。政府軍は両者の交戦を利用し、北部戦線において進軍している」と警鐘を鳴らした。
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シリア人権監視団は、1月3日から15日までのアレッポ県、イドリブ県、ハマー県、ダイル・ザウル県、ヒムス県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の武装集団との戦闘での死者数が1,069人に達したと発表した。
うちイスラーム戦線、ムジャーヒディーン軍、シリア革命家戦線の戦闘員は608人(うち113人が処刑)、ダーイシュ戦闘員は312人(うち56人が処刑)、民間人は130人(うち21人がダーイシュによって処刑)だという。
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国内で活動する野党のシリア民主党は声明を出し、ジュネーブ2会議を「世界のカメラの前での見せ物的祭典になるだろう」と批判、出席を拒否すると発表した。
ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣とともにロシアを訪問し、モスクワでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談、ジュネーブ2会議、イランの核開発問題などへの対応を協議した。
会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、ムアッリム外務大臣、ザリーフ外務大臣が時を同じくしてモスクワを訪問したことに関して「モスクワに秘密の計画はない…。三国合同の計画が割るわけでもなければ、3カ国が個別の姿勢をとるわけでもない…。我々には隠す者はないし、秘密の議題もない」と述べた。
ラブロフ外務大臣はシリア情勢について「我々は、シリア、イラン両国民とともに、シリア国内のテロを根絶することに関心がある…。これは我々共通の姿勢で、国際社会全体が我々が実現をめざす目的に向かって我々に協力している…。この目的を実現する方法については、シリアの当事者以外の誰も決定することはできない」と述べた。
またジュネーブ2会議に関しては、イランとサウジアラビアの両国が参加することが望ましいとの見解を改めて示した。
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アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、ダマスカス県内の国立アサド図書館でのフォーラムで講演し、ジュネーブ2会議の開催に疑義を呈し、紛争解決をもたらす可能性を否定した。
ハイダル大臣は国際社会、とりわけ西側諸国の対応に関して、「ジュネーブ2に何も期待しないでください。ジュネーブ2はシリアの危機を解決しない。ジュネーブ3、ジュネーブ10が開かれてもだ。問題解決はシリア人どうしによるものでなければならない…。問題解決はすでに始まっており、軍事的な現象に対する国家の勝利は続いている…。この勝利を前に、シリアに敵対する国々は国際社会と称して、シリアの現実と折り合いをつけようとしている…。我々はシリア危機を解決するあらゆるイニシアチブや国際社会の承認も支持すると行ってきた。しかし、国際社会がシリアで起きていることに責任を追ったことなど一度たりともない…。(国際社会は)シリアから手を引くべきだ…。資金援助、武器援助、破壊をやめるべきだ…。シリア人には自分たちの危機を解決する能力がある…」と述べた。
またジュネーブ2会議に参加が見込まれている反体制勢力に関して「ジュネーブ2において真の反体制勢力はどこにいるのか?反体制勢力を代表するよう任されたと言っている者たちが真の反体制勢力なのか?彼らは…外国の介入、資金援助、シリア人どうしの殺し合いを受け入れ…、愛国心という概念に背いた者だ」と批判した。
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バフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使は、15日のヨルダンのアブドゥッラー・ウバイダード議員の発言に関して「無名の議員であり、シオニズム・ワッハーブ主義同盟に従属している」と批判、抗議した。
UPI(1月16日付)が伝えた。
ダマスカス郊外県では、イスラーム軍が声明を出し、ダーライヤー市近郊でシリア軍のヘリコプターが墜落する様子が複数の住民らによって目撃されたと発表した。
一方、SANA(1月16日付)によると、アドラー市ウンマーリーヤ地区、同旧市街、アッブ農場、アーリヤ農場、ムライハ市、ザバディーン市、ダイル・アサーフィール市、ダーライヤー市、ザバダーニー市、ヤブルード市郊外、リーマー農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
またハラスター市の街道で、反対武装集団が車を狙撃し、乗っていた市民2人を殺害した。
他方、シリア革命総合委員会によると、軍が、バイト・サフム市に食糧(1日分相当)の搬入を許可した。
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ダマスカス県では、SANA(1月16日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(1月16日付)によると、ダルアー市各所、アトマーン村、ジャムラ村、フウィーヤ村、ラスーム・マズナ村、サナア・ハマーム村、イービル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(1月16日付)によると、ワーディー・ダイフ村一帯、ジャーヌーディーヤ町、ハーッジ・ハンムード農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(1月16日付)によると、アクラブ町、ムーリク市、ジャルマムラ、ジナーンムラ、フマイリー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(1月16日付)によると、ヒムス市ワアル地区、ジャウラト・シヤーフ地区、バーブ・フード地区、クスール地区、ラスタン市、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハーリディーヤ村、ダール・カビーラ村、タラス村、サアン村、カフルラーハー市、タドムル市東部、ザーラ村、ガジャル村郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
ナハールネット(1月16日付)などによると、ベカーア県ヘルメル市の市庁舎前で爆弾が仕掛けられた車が自爆し、少なくとも3人が死亡、26人以上が負傷した。
この自爆テロに関して、シャームの民のヌスラ戦線がツイッターで犯行を認める声明を出した。
ヌスラ戦線は声明で「アッラーのおかげにより、レバノンにおけるヌスラ戦線の獅子の一人が殉教作戦を行いヘルメルにおけるイランの党(ヒズブッラー)の拠点を震撼させた。これはこの党がシリアのスンナ派住民の女性・子供に対しておこなった犯罪への報復である」と発表した。
イラキー・ニュース(1月16日付)によると、アンバール県のラマーディー市南部で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の司令官1人を捕捉したと報じた。
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イラク軍・治安部隊合同司令部は声明を出し、イラク軍第2歩兵師団がモスル県でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員複数を逮捕したと発表した。
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国防省は声明を出し、アンバール県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦に関して、これまでの235回の爆撃を実施し、拠点30カ所を破壊したと発表した。
国連のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官は声明を出し、「アレッポ県、イドリブ県、ラッカ県での戦闘に参加していない民間人や戦闘員が、イラク・シャーム・イスラーム国など武装した過激集団に集団処刑されたとの複数の報告を得た」と指摘、「戦争犯罪」にあたると非難した。
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国連のファルハーン・ハック事務総長付報道官は、ジュネーブ2会議への招待状に対するシリア政府の正式な回答を文書で受け取ったことを明らかにした。
『ハヤート』(1月17日付)が入手した文書によると、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣の名で提出されたこの文書において、シリア政府は「我々は招待状におけるいくつかの点に同意しない。なぜなら、これらの点がシリア国家の法的政治的な姿勢に合致しておらず、シリア国民の至上の国益にふさわしくないからだ…。シリア国民の最優先事項はテロとの戦いである…。テロ集団への資金援助、武器援助、教練、保護などを停止させることで、テロと支援国家の要求を軽減する」と主張しているという。
この主張に対して、ハック副報道官は、ジュネーブ2会議の目的がジュネーブ合意の実現、とりわけ移行期統治機関の設置である点を改めて強調した。
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国連のハーリド・ミスリー報道官は、ダマスカス郊外県のダマスカス国際空港に近いガズラーニーヤ町一帯に、シリア赤新月社が国連の人道支援物資(食糧、医薬品など)を搬入したと発表した。
ロイター通信(1月16日付)が伝えた。
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ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、モスクワでの駐ロシア大使4人の認証式で、ジュネーブ2会議を成功させるため、可能なことを行うとの意思を示した。
『ハヤート』(1月17日付)などが伝えた。
AFP, January 16, 2014、AP, January 16, 2014、Champress, January 16, 2014、al-Hayat, January 17, 2014、Iraqinews.com, January 16, 2014、Kull-na Shuraka’, January 16, 2014, January 17, 2014、Naharnet, January 16, 2014、NNA, January 16, 2014、Reuters, January 16, 2014、Rihab News, January 16, 2014、SANA, January 16, 2014、al-Sharq al-Awsat, January 16, 2014、UPI, January 16, 2014などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…