Contents
ダルアー県では、SANA(4月25日付)などによると、軍・治安部隊が「市民の救援要請に応えるかたちで、テロリスト掃討のため」、ダルアー市に突入した。
軍消息筋が発表したところによると、軍の複数の部隊が「ダルアー市民の救援要請」に応えるかたちで、「安定、治安、日常生活を回復するために」ダルアー市に早朝進入した。
また「治安部隊の参加のもとでのテロ集団の追跡も行われており、多くのメンバーを逮捕、大量の武器弾薬を押収した」という。
さらに「テロ集団との対決により、軍・治安部隊の側に多くの戦死者、負傷者が出たが、過激テロ集団側にも多くの死傷者が出た」と伝えた。
これに関連して、アラビーヤ(4月25日付)は、シリアの複数の消息筋の話と、ダルアー市への攻撃が「市内にあるウマリー・モスクでサラフィー主義的イスラーム国建設とアミール就任を宣言しようとする計画を阻止することを目的としていた」と報じた。
また、目撃者の証言として、第4機甲師団と、市民への発砲を拒否した正規軍の間で衝突が発生した、と報じた。
一方、AFP(4月25日付)、ロイター通信(4月25日付)が、複数の目撃者や人権活動家から得た情報によると、現地では「軍と治安部隊が早朝の礼拝の後、戦車でダルアー市に突入し、狙撃手が政府の建物の屋上に登り、住宅や貯水タンクなどに無差別に集中発砲を開始した。また電気と電話回線はほぼ完全に不通となった」という。
活動家のアブドゥッラー・アバー・ズィードはAPF(4月25日付)に対して、「少なくとも25人が集中砲火で死亡した…。病院がないことを踏まえると、出血多量で死亡する負傷者もいるだろう」と述べた。
また軍・治安部隊と突入に際して、アバー・ザイドは「彼らは撃ち合っていた」とも述べ、離反が生じたことを示唆した。
『ハヤート』(4月26日付)によると、またナワー市に治安部隊が突入、逮捕を行った。
**
ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(4月26日付)によると、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市に治安部隊が突入、逮捕を行った。
現地の目撃者によると、治安部隊がドゥーマー市に展開し、「多くの人が同市で逮捕された」という。
また複数の目撃者によると、首都近くの「ホット・スポット」へと通じる道が夜間閉鎖され、身元検査を行うための検問所が設置され、住民以外入ることが許されなかった、という。
**
シリア人権監視団は、「治安部隊が今日(月曜日)と昨日、サラーキブ市(イドリブ県)、ダイル・ザウル市、ラッカ市、ドゥーマー市(ダマスカス郊外県)、バーニヤース市(タルトゥース県)で数十人を逮捕した」とAPF(4月25日付)に述べ、逮捕者の氏名を示した。
SANA(4月25日付)は、ダマスカス県のジャズィーラの事務所前で市民が放送内容に抗議する座り込みを行い、事務所を閉鎖するかシリア国民に謝罪するよう求めた。
**
シャイフ・ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティーはテレビ説教で、デモが破壊分子の潜入を許すと述べ、街頭行動を自制するよう市民に呼びかけた。
クッルナー・シュラカー(4月26日付)は、ダマスカス県の裁判所前で、弁護士50人以上が治安当局によるデモ弾圧に抗議する座り込みを行ったと報じた。
**
スハイル・アタースィーは声明を出し、アサド政権が民主的デモ要求運動への戦争をしかけていると批判した。
**
ラッザーン・ザイトゥーナ女史は、AKI(4月25日付)に対して、「政府は自由をもとめるシリア革命を、どんな代償を払おうと終わらせることを決定した」と非難した。
米国家安全保障会議(NSC)のトミー・ビーター報道官は『ハヤート』(2012年4月26日付)に対して、「シリア政府が国民に対して行使する野蛮な暴力は決して受け入れられない。我々はもっとも厳しくそれを非難する」と述べた。
またバラク・オバマ政権が「様々な政治的選択肢を検討しており、そのなかには弾圧に対する限定的制裁も含まれている」と付け加え、「こうした行為は受け入れられない」と強調した。
さらに「シリア国民による表現、集会、平和的自由の要求、自由に指導者を選ぶ能力は耳を傾けられねばならない」と続けた。
**
ナビ・ピレイ国連人権高等弁務官は、シリア国内での治安当局によるデモ弾圧、参加者逮捕を非難、殺戮行為の停止と政治犯の釈放を求めた。
**
ヨルダンのターヒル・アドワーン内閣報道官は、シリア側で国境が閉鎖されたと述べた。
しかしシリア当局はこの発表を否定した。
**
『ヤウム・サービウ』紙(4月26日付)はカイロのシリア大使館前で在外シリア人数百人が治安当局によるデモ弾圧に抗議するデモを行ったと報じた。
AFP, April 25, 2011、Akhbar al-Sharq, April 25, 2011、AKI, April 25, 2011、Alarabia.net, April 25, 2012、al-Hayat, April 26, 2011、Kull-na Shuraka’, April 25, 2011, April 26, 2011、Reuters, April 25, 2011、SANA, April 25, 2011、al-Yawm al-Sabi‘, April 26, 2011などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…