ダルアー市で激しいデモが続くなか、アサド大統領が閣議を主催し改革実施のための日程を明示する(2011年4月16日)

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アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は、アーディル・サファル新内閣の任命式の後、第1回閣議を主催し、政治・経済改革や内閣の執務に関する施政方針を示し、改革実施のための日程を明示し、国民に対する透明性を確保する必要があると述べた。

SANA, April 16, 2011

非常事態令解除に関わる特別司法委員会による一連の法案に関して、アサド大統領は「これらの法律の実施期限は来週中である。我々が今週に実施できれば、よいことである。そうでなければ、最低でも来週までに実施されねばならない」と述べた。

そのうえで「非常事態令解除が治安の麻痺をもたらすと考える一部の人が見ているのとは対象的に、私はそれがシリアの治安強化につながると考えている。治安は国民の尊厳維持と両立する」と付け加えた。

さらに平和的デモに関する新法についても言及し、「デモ参加者を保護することは、破壊や治安混乱の試みから人々(の生命)、私有財産、公的財産を保護することと並んで、警察の任務である」と述べ、「この法律によって、我々は改革と破壊を峻別することになろう」との見解を示した。

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SANA, April 16, 2011

一方、制定に向けた準備が進められている政党法に関して、「とくにセンスィティブである。なぜならそれ(政党法)はシリアの将来に根本から影響を及ぼすからである。それはさらなる国民統合につながるかもしれないし、社会の解体をもたらすかもしれない…。それゆえ、この問題はシリアの将来に関わっており、内閣のレベルにとどまるものではなく、組織や政党のレベルにとどまる問題でもない。それはシリアでの国民対話のために提起されるものであり、それによって我々はシリア社会にふさわしい最善のモデルを見出すことになる」と述べた。

そして、改革に関連する一連の法が「シリアにおける自由の増加とともに参加拡大」をもたらすだろうと指摘したうえで、「この改革に成功すれば、我々は祖国を護ることができ、国際社会、地域社会における強風に立つ向かうことができるようになる」と述べた。

一方、反体制デモで命を落とした警官、軍人、市民全員に対しては、「殉教者」とみなし哀悼の意を示すとともに、「国内に存在する免疫力は、我々が実施するであろう改革と国民のニーズ(に応えること)と結びついている」と述べ、改革への意思を示した。

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SANA(4月16日付)は、ダマスカスのジャズィーラ・チャンネル事務所前で数百人のシリア人が座り込みを行い、「事実をねつ造し、シリア人の間に対立を助長しようとしたことに謝罪する」よう求めた、と報じた。

国内の暴力

ダルアー県では、ロイター通信(4月16日付)によると、ダルアー市で数千人が街頭で抗議行動を行い、「国民は体制打倒を望む」と連呼した。

al-Hayat, April 17, 2011

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タルトゥース県では、複数の目撃者や人権活動家によると、数千人がバーニヤース市でウサーマ・シーハ氏(40歳、10日早朝、市内のアブー・バクル・スィッディーク・モスクに対する武装集団の発砲で負傷し、死亡)の葬儀に参列し、自由、体制打倒を求めるシュプレヒコールを連呼した。

葬儀の直後、1,000人以上の女性が民主主義を求めて行進を行った。

女性人権擁護活動家の一人によると、彼女らは、自由を要求するとともに、多数派を占めるスンナ派とアラウィー派住民の間の宗派主義的緊張が高まる市内で抗議行動に宗派主義的な色を与えることを拒否した。

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ヒムス県では、SANA(4月16日付)によると、警官1人がヒムス市でデモ参加者の攻撃を受け、死亡した。

また同市のキリスト教会の指導者たちが復活祭の祝祭に関して「シリアの現状を鑑みて、今年は教会内での礼拝、宗教儀礼に限定し、殉教者と犠牲者の魂に哀悼の意を捧げ、既存の国民統合強化を求める」と発表した。

反体制勢力の動き

タルトゥース県バイダー町住民ら活動家はフェイスブックで、市民に対する侮辱、殴打、拷問など、治安機関、シャッビーハの法律違反への処罰を求めるよう訴えた。

Facebook

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シリア人権擁護連盟は声明を出し、治安当局による市民・活動家の逮捕が継続されている現状に「激しい懸念」を表明、アサド大統領の恩赦の決定に従って早急に逮捕者を釈放するよう求めた。

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ヒムス・ウラマー協会のタルハ・ハウジャ会長および同協会メンバーが共同声明を出し、アサド政権に16項目からなる改革の実施を要求した。

16項目のなかには、非常事態令解除、治安機関による弾圧停止、すべての逮捕者の釈放、平和的デモの是認、汚職撲滅、憲法第8条の修正、自由で公正な人民議会選挙の実施などからなる。

AFP, April 16, 2011、Akhbar al-Sharq, April 16, 2011、al-Hayat, April 17, 2011、Kull-na Shurkaʼ, April 16, 2011、Reuters, April 16, 2011、SANA, April 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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