反体制デモが3月以降初めてダマスカス県にも波及(2011年4月15日)

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国内の暴力

各地で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、3月以降初めてダマスカス県にもデモが波及、「国民は体制打倒を望む」といったシュプレヒコールが連呼された。

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al-Hayat, April 16, 2011

ダマスカス県では、AFP(4月15日付)が人権活動家の話として報じたところによると、「治安部隊はドゥーマー市、アルバイン市、ハラスター市からダマスカス県入り口のジャウバル区に入ろうとしていたデモ参加者約2,000人に対して…放水車や催涙弾を用いて…強制排除した」。

目撃者の一人によると、「治安要員を載せたムハーバラートの車両は15台にのぼった。これらの車両は(ダマスカス県)北部の路地に広場から直接入り、抗議行動をする人々を追跡した」という。

またハラスター市からデモ参加者に同行した別の目撃者によると、数千人が「国民は体制打倒を望む」とシュプレヒコールをあげ、街道に貼ってあるアサド大統領が映ったポスターを次々と破っていった」。

一方、シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長はAFP(4月15日付)に対して「礼拝が終わる頃に数十人が(ダマスカス県)バルザ区にあるモスクの前で集会を行った」と述べ、「デモ参加者が警察に投石し、両者が衝突した」と指摘した。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家がユーチューブにアップした映像などによると、ダーライヤー市で数百人がデモに参加し、反体制スローガンを叫んだ。

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ダルアー県では、AFP(4月15日付)が人権活動家の話として伝えたところによると、ダルアー市で「2,500人から3,000人が市内中心のサラーヤー広場でデモを行い、反体制スローガンを連呼した」。

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ハサカ県では、人権活動家のハサン・バッルー氏がAFP(4月15日付)に明らかにしたところによると、「5,000人以上がカーミシュリー市でのデモに参加するため街頭に出て、『クルド人でもない、アラブ人でもない、我々は挙国一致を望む』と書かれたプラカードなどを掲げた」。

またラアス・アイン市では「約300人がデモを行い、アサド・モスクからダルバースィーヤ市に向かって行進した」。

バッルー氏によると、治安部隊がデモ排除のために介入することはなかった。

さらに『クッルナー・シュラカー』(4月15日付)も、クルド革命青年、クルド民主青年革命連立のフェイスブックでの呼びかけに応じるかたちで、ハサカ県カーミシュリー市、ラアス・アイン市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市で反体制デモが発生し、クルド人青年らが参加したと報じた。

デモでは「自由」が求められる一方、ダルアー市との連帯、クルド人とアラブ人の連帯などが叫ばれた。

同報道によると、カーミシュリー市では約5,000人が参加した、という。

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ヒムス県では、人権活動家のナジャーティー・タイヤーラ氏がAFP(4月15日付)に明らかにしたところによると、ヒムス市で「約4000人が礼拝後にデモに参加し」、「治安部隊はデモが始まってから約1時間後に介入し、放水車でデモ参加者を排除した」。

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Kull-na Shurakaʼ, April 16, 2011

タルトゥース県では、人権活動家の一人によると、バーニヤース市で「約1,500人がアブー・バクル・モスク前に集まった」。

また「アフバール・シャルク」(4月15日付)によると、同市では、治安維持のために市内に入った軍を市民が歓迎した。

SANA(4月15日付)によると、バーニヤース市で武装集団が兵士1人を殺害、1人を負傷させた。

これに関して、反体制活動家は、軍兵士への襲撃がシャッビーハによって行われたと断じ、政権が武装集団への恐怖を煽り、軍の駐留を認めさせようとしていると非難した。

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ラタキア県では、人権活動家の一人によると、ラタキア市で「約1,000人が市内中心のオガレット広場に集まり、自由を求めた」。

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イドリブ県では、人権活動家の一人によると、ジスル・シュグール市で「約500人がデモを行い…、治安当局は複数名を逮捕したが、家族の釈放要求に応じてまもなく釈放した」。

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スワイダー県では、「アフバール・シャルク」(4月15日付)によると、スワイダー市でアサド政権の打倒を求める反体制デモが発生し、約150人が参加した。

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このほか、ユーチューブではアレッポ市、ダイル・ザウル市、ハマー市、ダマスカス郊外県の複数の村でのデモの画像がアップされた。

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Facebook

フェイスブックなどでは、「貫徹の金曜日」と銘打って反体制デモが呼びかけられていた。

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これに対して、SANA(4月15日付)は、「金曜日の礼拝後、国民が各県内にある複数の地区の街頭に散発的に出て、「シリア、自由、殉教者」といったシュプレヒコールを繰り返したが、治安部隊は介入しなかった」と報じた。

また「ダルバースィーヤ市、カーミシュリー市、ダイル・ザウル市、バーニヤース市、ジャブラ市、ハッファ市、ハマー市、ダマスカス郊外県の一部の地区」などがある複数の県でも「集会」が行われた、としたうえで、これらの集会が「限定的で、そのほとんどが治安部隊との衝突に発展しなかった」と指摘した。

アサド政権の動き

シリア外務省は、イランがシリアのデモ弾圧を支援しているとの『ウォール・ストリート・ジャーナル』(4月14日付)の報道を否定した。

反体制運動の動き

「3月15日革命殉教者委員会」(http://syrianmartyr.com/ar)が軍人、民間人の犠牲者232人の氏名をホームページで公開した。

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シリア人権監視団によると、治安当局は、3月23日にダマスカスで逮捕されていたブロガーのアフマド・フダイファ氏を釈放した。

また3月19日にバーニヤース市でデモを指導していた詩人のムハンマド・マフムード・ディーブー氏も合わせて釈放された。

Kull-na Shurakaʼ, April 16, 2011

レバノンの動き

シリア・ムスリム同胞団とレバノンのジャマール・ジャッラーフ国民議会議員(ムスタクバル潮流)と関係があるとの「テロ細胞」メンバー3人のシリア・アラブ・テレビ(4月12日付)での証言に関して、フアード・スィニューラ元首相(ムスタクバル潮流)は自身の広報事務所を通じて、「シリアでの出来事にムスタクバル潮流を巻き込もうとするキャンペーン」と反論した。

またジャッラーフ議員がナビーフ・ビッリー国民議会議長に「自身の権利と安全を保護するための必要な措置を講じる」よう公式に約束するよう求めたことを明らかにした。

そのうえで「ムスタクバル潮流のいかなる議員、機関も、親愛なる姉妹国であるシリアで起きていることに関与していない」と繰り返した。

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ミシェル・スライマーン大統領はレバノン・シリア最高会議のナスリー・フーリー書記長と会談し、「両国の同胞関係強化をめざすべく、姉妹国シリアでの事態の推移に伴って両国間で生じている問題と、両国の安全・治安に抵触する問題をめぐって、司法協力を行うために両国の関係機関の調整を指示した」と発表した。

大統領広報事務所が発表した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は滞在中のベルリンで記者団に対し、「我々はシリア当局に改めて、国民に対するいかなる暴力の行使も行わないよう呼びかける」と述べた。

また「シリア政府は、国民の正当な要求に応じていない。シリア政府は国民抑圧から手を引き、彼らの要求を実現する時が来た」と付け加えた。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル首相はアラブ人記者団に対して「危機脱出の手段としては改革以外ない」と述べ、「シリアで起きていることにみなが沈黙するなか、トルコはダマスカスと対話し、改革実施と暴力停止の必要を議論してきた唯一の国だった」と付け加えた。

そのうえで「トルコの政策は、アラブ世界で進行中の民主的変化を支えることを基礎としているが、その変化は平和的手段によらねばならない」とした。

また「我々はこれ以上の殺戮、破壊を望んでいない。なぜなら、分断や内戦の危険が地域の国々を脅かしているからである。我々はこれ以上戦争が起きることを望んでいない。イスラエルとイランの戦争を起こそうとする試みが失敗するなか、宗派主義戦争、スンナ派とシーア派の戦争、アラブとイランの戦争などを起こそうとするような者がいるなかで…」と付言した。

AFP, April 15, 2011、Akhbar al-Sharq, April 15, 2011、al-Hayat, April 16, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 15, 2011, April 16, 2011、Reuters, April 15, 2011、SANA, April 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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