Contents
『ハヤート』(4月8日付)によると、ダルアー市(ダルアー県)、カーミシュリー市、ハサカ市(以上ハサカ県)、ドゥーマー市、ハラスター市、タッル市(以上ダマスカス郊外県)、バーニヤース市(ラタキア県)、ヒムス市(ヒムス県)、ハマー市(ハマー県)などで広範なデモが発生した。
複数の人権団体によると、デモ弾圧で22人が死亡した。
**
ダルアー県では、複数の目撃者と医療筋などによると、ダルアー市で治安部隊が数千人のデモ参加者に発砲、市民17人が殺害された。
活動家の一人によると、「約6,000人が三つのモスクを街頭に出て、市内の裁判所前でデモを行った」。
また「治安部隊が催涙ガスやゴム弾などで彼らを排除した」のに対し、「デモ参加者は投石で応戦した」と述べた。
また「携帯電話回線がダルアーでは一昨日朝から途絶えている」と指摘した。
デモ弾圧で死者が発生すると、暴徒と化した市民は、市内のバアス党ダルアー支部の本部に放火した。
一方、別の活動家は、負傷した市民の多くは家に隠れたが「治安部隊は彼らを追跡し、家から連れ去った」と述べた。
ある看護師によると、ダルアー市内の病院は負傷者で溢れており、居場所や家族のない負傷者は治療のため病院近くのモスクに搬送された、という。
これに対して、シリア・アラブ・テレビ(4月7日付)によると、19人の「武装集団」が「ダルアーで警察・治安部隊に発砲し、75人がその直後に死傷した」。
また「市民と治安維持部隊に発砲する破壊分子・潜入者」の映像を、実況を交えて「生中継」し、「シリアが危機に瀕しているが、この危機が横行し、国民の正当な要求を、その声明や祖国の安全を標的とした治安危機に変えようとしている者がいる」と非難した。
またSANA(4月8日付)によると、複数の武装した男がダルアー市で市民と治安部隊に発砲し、治安要員1人、救急車運転手1人を死亡、数十人の市民を負傷させた。
**
ハサカ県では、シリア・クルド人権委員会のラディーフ・ムスタファー所長によると、カーミシュリー市で3,000人以上がデモに参加した。
ムスタファー所長によると、参加者は、アラブ人、クルド人、アッシリア人などカーミシュリー市のあらゆる社会集団を構成する人々で、逮捕者釈放、非常事態令解除、国民統合の確認を求めていた、という。
同所長によると、カーミシュリー市以外でも、アームーダー市、ダルバースィーヤ市、ハサカ市でもデモが行われた。
人権活動家のハサン・バッルー氏によると、数百人がラアス・アイン市で街頭に繰り出し、ダルアー市での弾圧に抗議した。
『クッルナー・シュラカー』(4月8日付)によると、ハサカ県の各地で発生したデモに、治安部隊は介入せず、「遠方から監視していた」だけだった。
**
ダマスカス郊外県では、人権活動家の一人によると、ドゥーマー市で住民が市の周辺に検問所を設けて、カビール・モスクに入ろうとする者の身元と武器を持っていないかを確認し、デモの暴徒化に細心の注意を払った、という。
そのうえで、住民は、治安部隊がデモ参加者の排除を行なわないことを当局と合意したうえで、街頭でデモを行ったという。
**
フェイスブックの「バッシャール・アサドに反対するシリア革命2011」ページなどでは、「抵抗の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。
内務省がシリア・アラブ通信(SANA)を通じて声明を出し、市民に発砲した武装集団をかくまわないようダルアー市民に呼びかけた。
シリア人権擁護連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長は、「政府は、宗教勢力への開放政策、クルド問題への対処、デモへの非介入などを支持することで危機を収拾しようとしているが、我々は実際のところこれとはまったく異なった事態を目にしている」と述べ、市民によるデモが依然として行われていると強調した。
またリーハーウィー所長はシリア当局が7日にヨルダンから帰国しようしていた宗教関係者のイマードッディーン・ムハンマド・マフムード・ラシード氏をシリア・ヨルダン国境で逮捕したことを明らかにした。
「アフバール・シャルク」(4月8日付)によると、ラシード氏が反体制デモをめぐってアサド政権を非難したことが逮捕の理由、だという。
**
シリア人権委員会は声明を出し、治安部隊がデモ弾圧に際して実弾を使用したことを非難した。
アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領はブリュッセルで記者会見を開き、アサド大統領は退任し、国民は自らの目的を達成し、専制支配を打倒するだろう、との希望を述べた。
AFP, April 8, 2011、Akhbar al-Sharq, April 8, 2011、AP, April 8, 2011、al-Hayat, April 9, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 8, 2011、Reuters, April 8, 2011などをもとに筆者作成。
(C)青山弘之All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…