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複数の都市で数千人が参加してデモが行われたのを受け、シリア治安部隊が大規模な逮捕を行った。
また、人権活動家によると、少なくとも9人が死亡した。
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複数の人権筋によると、治安部隊はダマスカス郊外県のドゥーマー市、ヒムス県のヒムス市、ダルアー県ダルアー市などで40人以上(「アフバール・シャルク」(4月3日付)によると60人以上)を逮捕した。
活動家が電話で語ったところによると、ドゥーマー市では治安部隊は依然として4人の遺体が家族に引き渡しされておらず、別の複数の人権筋がAFP(4月2日付)に語ったところによると、治安機関が同市で12人を逮捕した。
人権活動家がAFP(4月2日付)に述べたところによると、「治安部隊は今日(土曜日)、ダルアー市の裁判所前で数日前から続けられてきた座り込みを排除し、デモ参加者約10人を逮捕し、彼らをバスに載せて連行した」。
また人権活動家によると、サナマイン市でのデモ参加中に死亡した青年の葬儀がインヒル市で行われ、その際に治安部隊が参列者を逮捕した。
また別の活動家によると、逮捕者のなかには、建設技師のハーリド・ハサン氏、弁護士のハッサーン・アスワド氏、教師のイサーム・マハーミード氏が含まれている。
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「アフバール・シャルク」(4月3日付)は、ドゥーマー市庁前の広場に数百人が集まり、3日間のストライキを行うと宣言した。
シリア人権国民機構、シリア・クルド人権委員会(監視団)、シリア民主的自由人権擁護諸委員会、シリア人権機構(Maf)、シリア・クルド人権基本的自由擁護機構(DAD)、シリア・アラブ人権機構が共同声明を出し、デモ参加者への治安部隊による過剰な暴力行使を非難し、各地での犠牲者の氏名を公表した。
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タルトゥース県バーニヤース市のシャイフ、イマーム18人が共同声明を出し、自由を求める抗議行動を支持すると発表した。
Youtubeは人民議会議員の一人が国会での答弁中、ダルアー市のデモ参加者に対して治安部隊が「容赦なく」発砲していると疑義を呈しているビデオを公開した。
ビデオには、ユースフ・アブー・ルーミーヤ・サアディー議員が映っており、彼は「ハウラーン地方で起きていることはバッシャール・アサド大統領への異議申し立てではなく、ダルアーの政治治安部高官の軽率さへの異議申し立てである。この軽率さによって、治安部隊がヘリコプターから降りるや否やダルアー市の市民に発砲し、複数の死者と負傷者をもたらした」と答弁した。
サアディー議員はまた「ハウラーン地方住民は忠誠心、愛国心、献身さを特徴としているが、残念なことに、国全体から治安部隊がダルアーに動員され、それによって容赦なく次から次へと殺戮が行われた」と述べた。
さらに「ハウラーン住民は、大統領が実際に来て、住民に謝罪し、弔意を示すことを待っている」と述べ、「このことがなされていれば、ハウラーンでは多数の死傷が出ただけで、何も起きなかったはずだ」と付け加えた。
サアディー議員(75歳)はダルアー県ダイル・アダス村出身で、1991年に人民議会初当選し、以降再選を繰り返している。
Youtubeにビデオを掲載したユーザーによると、このビデオは3月27日に招集された人民議会の様子だという。
http://www.youtube.com/watch?v=LccRKthrfF0
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ムハンマド・ハバシュ人民議会議員(無所属)はDP-News(4月2日付)に対して、「改革の遅れが現下の危機をもたらした」としたうえで、「近い将来実現されるであろう戒厳令解除により、国民のデモ実施は文民支配のもと合法的な権利となるだろう」と述べた。
『イディオト・アハロノト』インターネット版(4月2日付)は、ゴラン高原出身の約2,000人のドゥルーズ派宗徒が、反体制デモに直面するバッシャール・アサド大統領を支持するデモを実施したと報じた。
デモ参加者は、シリア国旗とアサド大統領の写真を掲げてバカアーター村でデモ行進を行った。
デモ参加者の一人、ユースフ・サファディー氏は同紙に対して、「我々は、自分たちの国の大統領への支持を表明するためにここに来た。彼の支配のありように干渉しようとする者がいるなかで…」と述べた。
イスラエル警察は、通行する車をデモから遠ざけただけで、デモに介入しなかった。
なおシリアで暮らすゴラン高原の住民は、3月31日の声明で、シリア国民への支持を表明し、改革を求めていた。
住民47人が署名した声明では、「我々の国民的、人道的、道徳的義務により、我々は処刑者に対する国民と完全に同盟しなければならず、国民の声に共鳴せねばならない」との姿勢が明示されていた。
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パレスチナのハマースは声明を出し、「シリアの指導部と国民が暗い状況下にあってもパレスチナのレジスタンスを護ってきた」点に着目し、「同胞であるシリア」の側を支持することを確認した。
また「レジスタンスへの確固たる支援に対するあらゆる圧力に」ダマスカスが立ち向かっているとの見解を示した。
声明によると、「シリアは指導部、国民ともに、パレスチナ人民のレジスタンスとその合法的な権利を支持してきた。パレスチナのレジスタンス勢力、とりわけハマースを護り、暗く困難な状況下にあっても支えになってくれた。大いなる危険や挑戦に対処し、地域において異議申し立てとレジスタンスへの確固たる支援を行い、パレスチナ、その人民、そしてとくにレジスタンスを支え、民族とその利益を守るべく、あらゆる圧力に立ち向かってくれた」との意思を明らかにした。
またシリアが「国民の希望を実現し、シリアの安定と国内の結束を維持し、抵抗の隊列におけるその役割を強化すべく、現状を」克服することへの期待を表明し、「我々は同胞であるシリアの指導者、国民の側に立つ」ことを確認した。
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トルコの外務省報道官は、シリアの安定に抵触する「いかなる行動、振る舞い」も拒否することを確認するとともに、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相が「バッシャール・アサド大統領が指導する改革への完全なる支持」を改めて表明した。
トルコの複数の日刊紙が伝えたところによると、首相はロンドンからの帰路、同行する記者団に対してアサド大統領と電話会談を行い、シリア国民が要求している改革実施を通じて混乱収束をめざすよう求めたと述べた。
また「内閣交代の他にも、戒厳令廃止、政治犯釈放、新憲法(準備)といった期待がある」と述べるとともに、「これらの期待が実現しなければ、我々はそのことをアサド大統領に月曜日に伝えるだろう」と付け加えた。
さらに混乱を回避してシリア国境から避難民が押し寄せる危険にトルコが直面しているかとの問いに対して、「そうなることを望んでいない…。しかし望み通りにならなければ、我々にとって問題が発生することになる」と答えた。
一方、トルコ外務省のセルチュク・オナル報道官は、トルコがシリアの安定に抵触したり、改革の意思を害するようないかなる行動も拒否すると述べた。
そのうえで、シリアの政権が変革と改革を自ら主導することに信頼を寄せた。
この発言は、シリア・ムスリム同胞団のリヤード・シャファカ最高監督者が金曜日にイスタンブールで行った記者会見に関する質問への答えとしてなされた。
記者会見でシャファカ最高監督者は、シリア国民がアサド体制に対し蜂起するだろうと発言していた。
ムスリム同胞団の指導者たちは最近、シリア人、エジプト人を含め、イスタンブールの記者会見に姿を見せるようになっているが、これは与党の公正発展党に近いトルコのイスラーム組織の招待によるもので、トルコの一部の政治・メディア筋は、アンカラが各国で起きている革命でこれらの政党を間接的に支援しているとみなすようになっている。
こうした事情を踏まえて、外務省報道官は祝日にもかかわらず、シリア・ムスリム同胞団の声明に対してコメントを行い、アンカラが国内メディアという狭い枠内でこうした訪問が報じられることに慣れ、これらの指導者の視点を取り入れることはないとの立場を示しつつも、声明に当惑しているとの姿勢を示そうとしたと思われる。
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レバノンのミシェル・スライマーン大統領は、レバノン・シリア最高会議のナスリー・フーリー議長と会談し、アサド政権の危機克服能力を信頼していると述べた。
ベカーア県ヘルメル郡のシリア国境沿いに位置するカスル村、フーシュ・サイイド村でアサド大統領を支持するデモが行われ、数百人が参加した。
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事務総長報道官によると、潘基文国連事務総長は、「シリアの状況に深い懸念」を表明し、「平和的にデモを行う人々への暴力」の行使を非難、「その即時停止を呼びかける」とともに、「政府に対して人権に関する国際的な義務を尊重するよう」求めた。
また事務総長報道官は、潘事務総長が改革実施へのシリアの意思を認知しているとしつつ、「シリア国民の合法的な希望に沿う包括的改革には即時対話以外にないと考えている」と述べた。
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AFP(4月2日付)によると、3月29日に失踪したロイター通信のヨルダン人記者ハーリド・ハリーリー氏(写真家)が釈放された。
またロイター通信(4月2日付)は、シリア当局が5日前に逮捕したロイター通信記者のハーリド・ハリーリー氏の安否に関して懸念を表明し、「我々は彼を無事帰宅させるようシリア当局に緊急の援助を求め続けている」と述べたと報じた。
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SANA(4月2日付)によると、カタールのハマド・ビン・ジャースィム首相兼外務大臣は、ハマド・ビン・ハリーファ首長の書簡をアサド大統領に送付した。
同書簡は、シリアに対する陰謀に対してカタール政府がシリア支持の立場をとることが記されていた、という。
AFP, April 2, 2011、Akhbar al-Sharq, April 2, 2011, April 3, 2011、DP-News, April 2, 2011、al-Hayat, April 3, 2011, April 4, 2011、Kull-na Shuraka‘, April 2, 2011、Naharnet,
April 2, 2011、Reuters, April 2, 2011、SANA, April 2, 2011などをもとに作成。
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