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フェイスブックなどで「怒りの金曜日」と銘打って抗議行動が呼びかけられたのに呼応するかたちで、各地で反体制デモが発生し、『ハヤート』(4月30日付)によると「数万人」が参加した。
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『ハヤート』(4月30日付)によると、デモが発生したのは、ダマスカス県マイダーン地区など、ダルアー県ダルアー市、タルトゥース県バーニヤース市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、ヒムス県ヒムス市、ハサカ県カーミシュリー市などで発生した。
デモに対して軍・治安部隊は実弾を使用して強制排除を試み、少なくとも50人が死亡、数百人が負傷した。
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ダルアー県では、『ハヤート』(4月30日付)によると、軍・治安部隊によって包囲されたダルアー市に隣接する村・町で、封鎖解除をめざして住民ら「数千人」(AFP)がデモ行進を行った。
だが、食糧と水を市民に届けようとしたデモ参加者は軍の発砲を受け、少なくとも35人が死亡し、数十人が負傷した。
医療筋によると、ダルアー市近くの病院だけで、銃弾を浴びた16人の遺体が収容されたという。
またロイター通信(4月29日付)は、タファス市の病院筋の話として、同病院が負傷した村人38人を受け入れたと報じた。
なお『ハヤート』(4月30日付)は、ダルアー市の活動家の話として、同市の臨時遺体安置所には83体の遺体が安置されており、そのなかには軍によって銃殺された子供や女性も含まれていると報じた。
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ダマスカス県では、『ハヤート』(4月30日付)が人権活動家の話として、約1万人が旧市街のマイダーン地区でダルアーとの連帯を訴えてデモ行進を行ったと報じた。
このデモはマイダーン地区周辺へと拡大したが、治安部隊が催涙弾などを発射し強制排除された。
またAFP(4月29日付)によると、カダム区などでもデモが発生した。
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ダマスカス郊外県では、AFP(4月29日付)によると、サクバー市などで反体制デモが発生した。
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ヒムス県では、『ハヤート』(4月30日付)が人権活動家の話として、ヒムス市およびその周辺で9人が殺害されたと報じた。
これに対して、SANA(4月29日付)は、内務省筋の話として、ヒムス市で警部1人を含む警察官3人が「過激テロ集団」によって銃殺されたと報じた。
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タルトゥース県では、AFP(4月29日付)によると、バーニヤース市で反体制デモが発生し、体制打倒が訴えられた。
デモは金曜礼拝後にファールーク・モスク前で始まり、約1万人が参加したが、治安部隊によって強制排除された。
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ダイル・ザウル県では、AFP(4月29日付)が、活動家のナイワーフ・バシールの話として、ダイル・ザウル市で反体制デモが発生した。
デモは金曜礼拝後にウスマーン・モスクで始まり、約1万人が参加したが、治安部隊によって強制排除されたと報じた。
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ハサカ県では、クルド人権委員会のラディーフ・ムスタファー代表と活動家のハアサン・バッルー氏によると、クルド人が多数派を占めるカーミシュリー市および周辺の3村で、反体制デモが発生し、約15,000人が参加した。
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ラッカ県では、AFP(4月29日付)によると、ラッカ市で反体制デモが発生し、300人から400人の住民が参加、ダルアー市に対する軍の包囲解除を訴えた。
SANA(4月29日付)は、バアス党筋の話として、バーニヤース市とダルアー市のバアス党員が集団離反したとの報道を否定した。
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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、フィリピン外相と会談、そのなかで、シリア政府は国民の要請に応え、治安と安定回復のために尽力していると述べた。SANA(4月29日付)が報じた。
クッルナー・シュラカー(4月29日付)は、ハサカ県各都市での反体制デモは、フェイスブックなどでの「怒りの金曜日」という呼称ではなく、「自由の金曜日」と銘打たれていた、と報じた。
レバノン北部県アッカール郡、ワーディー・ハーリド地区でも、シリア領内での弾圧に巻き込まれるのを避け、多数のシリア人家族がレバノン領内に越境入国した。
米ホワイトハウスは、シリア国内でのデモに対処するため、バラク・オバマ米大統領が、マーヒル・アサド軍第4師団(の実質的)司令官、アリー・マムルーク総合情報部長、アーティフ・ナジーブ前ダルアー県政治治安部、総合情報部、イスラーム・クドゥス(エルサレム)軍団の3人、5機関に対して、米国内の口座凍結、米国の銀行および米国人との取引の禁止などを含む制裁発動を指示したと発表した。
またこれと合わせて、シリアへの航空機の部品の販売も禁止された。
制裁に関して、ホワイトハウス高官は、アサド大統領が制裁の対象に含まれていないとしつつ、「弾圧が続けば、随時対象に加える」と付言した。
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ジュネーブでは、国連人権委員会が、シリア政府によるデモ参加者への過度に暴力行使を非難する一方、殺戮事件に関する調査を求める決議を採択した。
採択は米国が提案し、26カ国が賛成、9カ国が反対、7カ国が棄権した。
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AFP(4月29日付)は、米国務省高官が28日にシリア国内で米大使官職員1人が一時身柄を拘束されたことを認めた、と報じた。
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ピエール・ヴィモン欧州対外行動局事務総長は、「行動する必要がある点で加盟国の間にコンセンサスがあると思う」と述べ、EUが制裁を視野に入れたかたちでシリア情勢に対処する意思があることを明示した。
その後、EU加盟諸国の大使がブリュッセルで会合を開き、シリアへの武器および武器関連機器の輸出禁止の輸出規制を行うことで原則合意した。
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アナトリア通信(4月29日付)によると、トルコ治安部隊は、シリア領内での弾圧に巻き込まれるのを避け、トルコ領内に入ろうとしたシリア人約250人の入国を阻止した。
AFP, April 29, 2011、Akhbar al-Sharq, April 29, 2011、al-Hayat, April 30, 2011, May 1, 2011、Kull-na Shuraka’, April 29, 2011、Reuters, April 29, 2011、SANA, April 29, 2011などをもとに作成。
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