Contents
ダルアー県では、SANA(4月29日付)が内務省高官の話として、ダルアー市で、「過激なテロ集団」が治安部隊を襲撃、2人の隊員が負傷した、と報じた。
またSANA(4月28日付)は、ダルアー市および郊外で、街道を封鎖しようとした過激派武装集団と軍が交戦、武装集団の戦闘員複数を殺傷、撃退した、と報じた。
さらに軍消息筋の話として「ダルアーに展開する軍の複数部隊が武装集団の逃走を追跡中である」と報じた。
一方、AFP(4月28日付)は、活動家のアブドゥッラー・アバー・ズィードの話として、ダルアー市の「状況はますます悪化している。もはや我々には薬も食糧も、そして子供に与えるミルクも、水もなく、電気は途絶えている」と報じた。
**
ヒムス県では、AFP(4月28日付)が、県タッルカラフ市(人口約25,000人)の住民数百人が越境し、レバノン領内に避難したと報じた。
住民の避難は、27日に反体制デモが発生した同市を軍が包囲したことを受けた動き。
Damas Post(4月28日付)は、アサド大統領がアレッポ県部族長の使節団(35人)と会談したと報道した。
同報道によると、会談で使節団はアサド政権による改革プログラムへの支持を表明した、という。
**
トルコ外交筋はAFP(4月29日付)に対して、トルコのハカン・フィダン国家情報機構(MIT)長官を団長とするトルコの使節団(3人)がシリアを訪問し、アサド大統領と会談、改革実施を求めた、と報じた。
また同使節団は、アーディル・サファル首相とも会談し、トルコの政治、経済、行政改革の経験をいかに活用するかを協議した。
**
アドナーン・マフムード情報大臣は「シリア当局はアサド大統領が内閣に命じた包括的改革プロセスの継続を立案中であり、それが治安や安定と不可分だと考える」と述べ、「国民の安定、治安、安心を回復する」必要を強調した。
**
『ハヤート』(4月29日付)は、信頼できる外交筋の話として、軍内部で弾圧への不満の兆候が表れており、兵士が秘密警察に反抗し、デモ参加者への発砲命令に背いている、と報じた。
同報道によると「現在までシリアで行われた葬儀者のなかでもっとも多いのは、デモ参加者への発砲を拒否し、処刑された兵士たち」だという。
しかし、SANA(4月28日付)は、軍消息筋の話としてこうした報道が事実に反すると否定した。
**
内務省は国民に「いかなる名を冠した行進、デモも行わない」よう呼びかけた。
**
シリア・アラブ・テレビ(4月28日付)は、ダルアー市で逮捕された「過激テロ集団」メンバーの証言を放映した。
シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、国内での抗議デモに伴う暴力は、軍、治安部隊、シャッビーハが一方的に行っており、デモ参加者は暴力に訴えていないと断じた。
**
ダマスカス宣言事務局のサミール・ナッシャール事務局長は、AKI(4月28日付)に対して、国内で自由を求めるデモに対して、国連安保理は積極的な姿勢をとることは見込めないとしつつ、アサド政権による弾圧が、中東地域および国際社会におけるシリアの地位を奪うことになるだろう、と述べた。
**
シリア・アラブ人権機構のマフムード・マルイー代表は、同機構前代表で活動家のラースィム・サイイド・スライマーン・アタースィーがヒムス市で逮捕されたと発表した。
逮捕は、アタースィーから武器と金銭を与えられ、ヒムス市でデモを行うよう依頼されたとの男性2人の証言を受けたものだが、マルイーによるとこの証言は根拠がない、という。
米共和党のジョン・マケイン上院議員、リンジー・グラハム上院議員、そして無所属のジョゼフ・リーバーマン上院議員は共同声明で「アサドとその支持者たちは政権にとどまる正統性を失った…。我々はオバマ大統領に、カッザーフィーやムバーラクの場合と同様、アサドが去る時が来たと明言することを求める」と発表した。
また3人は「深刻な人権侵害を犯すアサド自身と体制高官への制裁を通じて、体制を孤立させるための外交的・経済的ステップ」をとるよう改めて呼びかけた。
同声明は「アサドは過去に何度も真摯な対話と改革の機会を与えられたが、すべて無に帰した」と指摘、「アサド(の改心)に賭けたり、体制に言い訳させるのでなく、合衆国は欧州と世界の同盟国とともに、民主的政府樹立を平和的に求めるシリア国民を明確に支持する時が来た」と締めくくった。
**
ロシアのアレクサンドル・パンキン国連代表大使代理は、安保理会合でシリア国内の「内戦」をもたらすような「外国の干渉」に警鐘を鳴らした。
ロシア外務省のアレクスィー・サゾノフ副報道官は「我々は、犠牲者が出たすべての事件への効果的かつ透明な調査の実施と犯罪者の司法での処罰をダマスカスに求めている」と述べた。
**
英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア政府によるデモ弾圧に抗議するかたちで、ヘンリー王子の婚礼に駐英シリア大使を招待しないことを決定したと発表した。
AFP, April 28, 2011、Akhbar al-Sharq, April 28, 2011, April 29, 2011、AKI, April 28, 2011、DamasPost, April 28, 2011、al-Hayat, April 29, 2011, April 30, 2011、Kull-na Shuraka’, April 28, 2011、Reuters, April 28, 2011、SANA, April 28, 2011, April 29, 2011などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…