シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーウィー所長によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が早朝から治安回復作戦を開始、市内に戦車などを進入させ、42人の民間人が殺害、100人以上が負傷。多数の市民が逮捕され、ダイル・ザウル市からは数千人がハサカ県方面へと避難した。リーハーウィー所長によると、軍治安部隊はジャウラ地区に展開し、ハウィーカ地区で14人を殺害したという。
シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ダイル・ザウル市を約250輌の戦車が包囲。複数の地区が砲撃を受けている。
シリア地元調整諸委員会によると、軍はすべての地区を包囲していると述べた一方で、ジャウラ地区包囲に際して、軍内部に「大規模な離反」の動きがあったことを明らかにした。
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またリーハーウィー所長によると、ヒムス市郊外のハウラ地域(タッルドゥー、カフルラーハー、タッル・ザバブ村)にも軍・治安部隊の戦車などが進入、民間人が少なくとも10人殺害された。
シリア人権監視団によると、ハウラ地方には戦車約25輌が日曜日の早朝に進入。シリア革命調整連合によると、ハウラで殺害された13人のなかには、10歳の少年、16歳の少女もそれぞれ1人ずつ含まれている。
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シリア人権監視団によると、イドリブ市でも日曜日早朝の犠牲者葬儀の参列者に治安部隊が発砲し、2人が死亡。また夜の礼拝後に数千人が反体制デモに参加、治安部隊の弾圧によって25人が負傷。シリア人権監視団は活動家の証言として、約20000人がこのデモに参加したと述べる。
シリア人権監視団によると、サラーキブ市(イドリブ県)でも、電気が遮断されるなか、約1500人が夜の礼拝後にデモに参加。またビンニシュ市(イドリブ県)でも電気が遮断されるなか、約1500人が夜の礼拝後にデモに参加。
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シリア人権監視団によると、アレッポ市のアアザミーヤ地区で反体制デモが発生。
またKull-na Shuraka’によると、アレッポ大学病院で、医師数十人が、弾圧に曝される都市との連帯、逮捕された医師の釈放を求める抗議行動。
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シリア人権監視団によると、上記の都市以外でも、ダマスカス県およびダマスカス郊外県のカダム区、マイダーン地区、ドゥーマー市、ハラスター市、タッル市、キスワ市、ランクース市、カーラ市、ダーライヤー市でデモが発生したが、デモは治安部隊によって排除された。
シリア人権連盟によると、ドゥーマー市のデモには約10000人が参加した。
ラタキア市、ジャブラ市、バーニヤース市、ハサカ市、ラアス・アイン市、カーミシュリー市、ラッカ市、ダルアー市、イドリブ市郊外の村々などでも、反体制、ダイル・ザウル県やハマー県との連帯を求めるデモが発生した。
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『シャルク・アウサト』によると、ハイサム・マーリフ弁護士はオランダのメディアに対して、「革命は平和的であるべき」と述べ、リビアのような軍事介入に反対の意思を示した。また「我々は対話のために、シリア政府に各都市からの戦車、治安要員の撤退を要求してきたが、政府は我々の要求に応えなかった」、「条件付きの対話を求めるシリア政府の姿勢は、反体制派の条件や要求を考慮するものでなく」「すべての反体制勢力が拒否するものである」と述べた。
アレッポのムフティー、イブラーヒーム・サルキーニー、マフムード・アッカームら12人のウラマーが連盟で声明を発表し、国内での流血事件への非難の意を表明。
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シリア外務省は声明を発表し、「暴力の過度の行使」を非難したGCCの声明に関して、「GCCが発した声明をシリアは遺憾に思う」と反論し、シリアで暴力を収束させるには、「アラブ諸国そしてGCCが、シリアに善をもたらそうと考えていない集団による破壊行為の停止を呼びかけ、彼らによる武器を用いた暴力を避難することが求められている」と述べた。
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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官は、トルコのエルドアン首相の発言(後述)を受け、「トルコ外務大臣が断固たるメッセージを伝えるためシリアに来るなら、トルコの態度に関するより断固たる言葉を聞くことになろう」と反論。
レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣がダマスカスを訪問し、バッシャール・アサド大統領と会談。マンスール外務大臣は、シリアの内政干渉に対する試みをもレバノンは拒否する、レバノンの安定はシリアの安定とリンクしている、と述べた。これに対してアサド大統領は「道路を封鎖し、都市を閉鎖し、人々に恐怖をもたらす無法者から市民の生活と安全を守ることが国家の義務」と述べ、デモを徹底的に弾圧する意思を改めて示した。
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SANAによると、武装集団がラスタン市東部で軍を要撃。これにより兵士2人が殺害され2人が負傷。
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シリア軍消息筋によると、一部の衛星放送による、「軍がダイル・ザウル市を戦車で砲撃している」との報道は根拠がない煽動と非難。
SANAによると、シリア軍部隊はハマー市内の武装テロ集団が設置したバリゲードをすべて撤去。またハマー市奪還での警官17人が殺害され、アースィー川に遺棄された。一昨日にも13人の警官の遺体(アースィー川に遺棄)が発見。
SANAが地元筋の話として伝えたところによると、ヒムス市郊外のハウラ地域で武装テロ集団が道路を封鎖。
SANAによると、トルコに避難していたジスル・シュグール住民125人がシリアに帰国。
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サウジアラビアのアブドゥッラー国王は声明を発表し、シリアでのデモ参加者への弾圧に関して「サウジアラビアは受け入れない」、「様々な理由によって正当化され得ないほど深刻」だと述べ、「殺戮と流血の停止」を求めた。また対応を協議するため、「駐ダマスカス・サウジ大使を召還する」と宣言した。さらにサウジアラビアは「同胞(シリア人)には歴史的責任があり、時間を浪費する前に、殺戮と流血の停止、知性に基づく自制を求めた」。
サウジアラビアは、大使召還に先立って、バッシャール・アサド政権に連絡し、抗議行動への弾圧停止を促していたが、この試みは失敗した。シリア・サウジ関係は、2006年のレバノン紛争時に悪化したのち、サアド・ハリーリー前内閣発足を契機に改善、「SS均衡」などと評された。だがレバノン独別法廷をめぐるレバノン国内の対立解消の仲介に失敗して以降、再び関係が冷却。バーレーンの反体制運動をめぐっては「アラブの春」の波及を回避するという観点から利害の一致を見ていたが、シリア情勢への西側諸国の圧力強化を受け、今回のような事態となった。
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国連事務総長報道官によると、潘事務総長はバッシャール・アサド大統領と電話会談。即時暴力停止を求める。
アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長が声明を出し、アサド政権に暴力の即時停止を求める。
ローマ法皇ベネディクト16世は、シリア政府に対して、国民、国際社会の「政党な要求に応える」よう呼びかける。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、イフタールの祝祭で、「我々の忍耐は尽きた。それゆえ、外務大臣を火曜日にシリアに派遣する…。対話が行われ、その際、我々のメッセージが断固たるかたちで伝えられるだろう」と述べる。
ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、シリア情勢に関して「懸念であり、遺憾で、悲しいこと」と述べ「対話と改革」を通じて事態を打開するよう求める。
クウェートの外務大臣代理は記者団に対し、同国が駐ダマスカス大使を召還しない、と述べる。クウェート市にあるシリア大使館前でアサド政権の弾圧に抗議するデモが発生したことを受けた発言。
AFP, August 7, 2011、Akhbar al-Sharq, August 7, 2011、al-Hayat, August 8, 2011, August 9, 2011、Kull-na Shuraka’, August 7, 2011,
August 8, 2011、Naharnet.com, August 7, 2011、SANA, August 7, 2011, August
8, 2011、al-Sharq al-Awsat, August 7, 2011をもとに作成。
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