「血のラマダーン」の始まりを受けて、ハマー市が制圧されたのを受け、シリア軍はダイル・ザウル市、ヒムス市に対して戦車、装甲車など数十輌が新たに派遣された。これにより両市は、『ハヤート』によると、ハマー市全域制圧後の「新たな戦線」と化しつつある。
シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、約260台の戦車・装甲車がダイル・ザウル市を包囲。活動家によると、軍・治安部隊は「ポール・サイード地区、フライカ地区、政治治安部本部脇、空港地区に配置されている」という。
**
ヒムス市も軍・治安部隊がバーブ・スィバーア地区などに大規模に展開。バーブ・ドゥライブ地区、ファーフーラ地区、インシャーアート地区、グータ地区、カラービース地区、バーブ・アムル地区などヒムス各地では銃声が絶えないという。
**
地元調整諸委員会など活動家らがハマー市からの避難民の話として伝えたところによると、ハマー市での掃討作戦によって少なくとも民間人300人が殺害されたという。
『シャルク・アウサト』が目撃者の話として伝えたところによると、「300人以上が3日前の市での侵攻以来殺害された。そのうちの120人は初日に殺害された。彼らのなかには近くの公園に埋葬され、病院の霊安室に遺体が安置されたままの犠牲者もいる」。
「ジャマール」を名乗る住民がロイター通信の取材に対して、戦車、装甲車などによるハマー市内各地への攻撃は約1週間続き、体制打倒を求めて2ヶ月にわたって続いていたデモに対する弾圧が行われたと語った。ジャマール氏は衛星電話で、「攻撃がすさまじかった」と述べ、水道、通信はいまもなお不通であることを明らかにした。しかし、電気は一昨日4時間だけ復旧したという。人口約70万人のハマー市の街はもぬけの殻だという。
**
反体制活動家のワリード・ブンニー弁護士と、息子2人がダマスカス郊外県タッル市で逮捕されたことが明らかになった。
**
シリア人権監視団によると、土曜日の晩、イドリブ市北部で銃声。
シリア人権委員会は声明を発表し、「我々はアッラーとともにある」金曜日の犠牲者23人の氏名を公開。
シリア軍特殊部隊のアフマド・ハルフ少尉は、ダルアーでの作戦について証言。ダルアーでの集団虐殺の支持を上層部から受けたが、部下に発砲しないよう命じた。これによって彼を抹殺する命令が下され、外国への逃走を余儀なくされた。
シリア・アッシリア民主機構中央委員会メンバーのバシール・サアディー氏がアサド政権によるデモ弾圧を非難。
シリア救済大会メンバーでクリントン米国務長官と米国で会談した反体制活動家の一人、マラフ・ビカーイー女史は、AKIの取材に対して、「シリア人は復讐を望んでいるのではない。デモ参加者や民間人の殺害・拷問に荷担した者の公正な裁判を望んでいる」。
**
ワリード・ムアッリム外務大臣は、シリア政府が、改革路線を進むと改めて強調し、人民議会選挙が「今年末」までに実施されるだろうと述べた。
**
社会問題省は、人民諸組織、職業諸組合、慈善団体の職員給与の約25%の引き上げを決定。
**
レバノン軍事裁判所の検事長は、3人を武器麻薬密輸容疑で起訴。ソリデール社が所有・経営するベイルート港内のマリーナからバーニヤースに武器密輸。ソリデール社は声明を出し、ベイルート港のマリーナから武器密輸が行われていたとの報道を知らなかったとしたうえで関与を否定。
『サフィール』6日付によると、3人のうちの2人、ワースィム・タミーム氏とサリーム・タミーム氏はいずれもトリポリ市出身で「国民議会の元与党」(ムスタクバル潮流)のメンバーだという。2人は5日に逮捕されたが、これまでに30回以上も武器を密輸していたという。
トリポリ市のタッル広場で夜、アサド政権の弾圧に反対するデモが行われ、数千人が参加。
アッカール県ドゥーサ村にシリア人避難民約100世帯が避難。
**
GCC諸国は、3月半ばにシリアで抗議行動が始まって以来初めてシリア情勢に関して声明を発表した。このなかでGCC諸国はシリアでの「過剰な力の行使」に対して「大いなる懸念と激しい遺憾の意」を表明し、「流血の即時停止、必要な改革の実施」を呼びかけた。
一方、クウェートでは一昨日晩、シリア国民との連帯を訴えるデモが発生し、デモ参加者たちは「シリア大使追放」、駐ダマスカス・クウェート大使の召還を叫んだ。デモは数百人からなり、クウェート市南部のシリア大使館近くにまで接近した。
米ホワイト・ハウスは、バラク・オバマ米大統領、ニコラ・サルコジ仏大統領、アンゲラ・メルケル独首相が、バッシャール・アサド政権に対する「追加制裁」の発動を検討している、と発表した。また米国はシリアに在留する米国民に緊急退避勧告。
国連の潘事務総長は午後、アサド大統領と電話会談を行った。会談で、潘事務総長は民間人に対する過剰な暴力行使に対する「国際社会、とりわけ安保理の懸念」を伝えた。事務総長の報道官が明らかにした。西側諸国は、潘国連事務総長に対して、シリアへの特使の派遣を求めているが、米国はこの案に未だ慎重だという。潘国連事務総長との電話会談で、シリアへの特使派遣について協議されたかどうかは不明だという。
トルコのアフメット・ダウトオール外務大臣は声明を出し、駐ダマスカス・トルコ大使を召還することは検討していない、と述べる。
フランスのラジオ局はUNHCRが、イランとヒズブッラーがデモ弾圧のための発砲を拒否したシリア軍兵士の殺害に関与しているとした20ページからなる報告書を近く発表すると報じる。
ドイツ外務大臣は「アサド大統領には、シリアにおいて政治的未来はもはやない」と述べる。
カイロ、クウェートのシリア大使館でそれぞれ数千人が参加し、シリア国民との連帯を訴えるデモを行う。
アムネスティ・インターナショナルは、アサド政権によるデモ弾圧を強く非難、国連安保理議長声明では不十分とし、さらなる対応を求める。
AFP, August 6, 2011、al-Akhbar, August 6, 2011、Akhbar al-Sharq, August 5, 2011、August 6, 2011, August 7, 2011、AKI, August 6, 2011、al-Hayat, August 7, 2011、Kull-na Shuraka’, August 6, 2011、Naharnet.com, August 6, 2011、Reuters, August 6, 2011、SANA, August 7, 2011、al-Safir, August 6, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, August 6, 2011などをもとに作成。
(C)青山弘之All rights reserved.
ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…