ラッカ県の「95%を制圧した」イスラーム国が同県で活動するヌスラ戦線のアミールを処刑したと発表、シリア連絡グループ外相会議ではシリア革命反体制勢力国民連立への支援やジュネーブ2会議の期限設定などが合意(2014年1月12日)

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反体制勢力の動き

シリア国内で活動する反体制政治連合、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、ジャディーダ・チャンネル(1月12日付)に「激しい暴力がシリア社会を引き裂こうとしている。シリアでの暴力停止を求めてきた…委員会の見解が正しかったと皆が再び言うようになっている」と述べた。

Kull-na Shuraka’, January 12, 2014

アブドゥルアズィーム代表はまた「シリアの現政権こそが、その抑圧的な治安対策を通じて、自由シリア軍や武装集団を作り出してしまった」と批判し、「我々は自由シリア軍の自衛行為に限って支持してきた。彼らによる都市の占領を支持してはいない」と強調した。

一方、西側諸国の対応については「シリアの反体制勢力の問題に干渉し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、ジュネーブ2会議をめぐる統一ヴィジョンに関して我々と合意しないよう呼びかけている」と主張、「我々はジュネーブ2会議が利害対立の場になることを望んでいない。我々は出席する人々とともにジュネーブ2会議の開催を支持している」と述べた。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)は声明を出し、「いわゆるムジャーヒディーン軍を構成する…逸脱した武装集団」の活動を「イスラーム国戦闘員と戦い、カリフ制建設への意志を根絶しようとする」行為と批判した。

またイスラーム戦線のシャーム自由人イスラーム運動やシャームの民のヌスラ戦線に対しては「アレッポ、ハマーなどで「覚醒」(評議会)が台頭していると非難する一方、「バラカ州」(ハサカ県)での民主統一党人民防衛隊と、(イラクの)アンバール、ニナワでの「サファヴィーのラーフィドゥーン(ヌーリー・マーリキー政権)の民兵の攻撃」を批判した。

そのうえでこれらすべての勢力を「鉄拳で打ち砕き、イスラーム教徒の血の報いを与え、彼らに戦線を布告することを決意している」と表明した。

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シリア革命家戦線のジャマール・マアルーフ司令官は『シャルク・アウサト』(1月12日付)に対し「戦線は「国民自由軍」結成の第一の中核となるだろう」と述べ、(自由シリア軍に代わる)新たな反体制武装集団の結成をめざし、イスラーム戦線などと協議を行っていることを明らかにした。

マアルーフ司令官によると、「国民自由軍」はアサド政権打倒をめざす一方で、過激なイスラーム主義武装集団(イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との対抗するのだという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)による「すべての違法・侵害行為」を非難、「自由シリア軍の各部隊に、市民革命勢力、地元評議会と協力・調整」を行うよう呼びかけた。

この「自由シリア軍」がどの武装集団を想定しているのかは不明。

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シリア・ムスリム同胞団は、シリア革命反体制勢力国民連立内の対立・不和を緩和するため、同胞団の幹部5人からなる委員会の設置を決定した。

クッルナー・シュラカー(1月12日付)が伝えた。

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シリア人権監視団は、1月3日から11日までのアレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ハマー県、ダイル・ザウル県、ヒムス県でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の反体制武装集団との交戦で、697人が死亡したと発表した。

うち351人が反体制武装集団戦闘員(うち53人が処刑)、246人がダーイシュ戦闘員(うち56人)だという。

また同監視団によると、ダーイシュは、アレッポ県、ラッカ県、イドリブ県、ヒムス県で過去1週間で16件の自爆攻撃を行い、戦闘員数十人を殺害しているという。

複数の活動家によると、この数は過去8ヶ月にダーイシュがシリア軍に対して行った自爆攻撃(13回)を上回っているという。

シリア政府の動き

アサド大統領はダマスカス県ムハージリーン区にあるハマド・モスクで預言者聖誕祭を祝して、午後の集団礼拝に参加した。

SANA, January 12, 2014

礼拝には、ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、アフマド・バドルッディーン・ハッスーン共和国フムティー、ワーイル・ハルキー首相らが同席した。

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シリア訪問中の国際赤十字委員会のピーター・マウラー総裁は、ダマスカスでワーイル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、サアド・ナーイフ保健大臣、ムハンマド・シャッアール内務大臣と個別に会談した。

SANA(1月12日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は会談で、「武装テロ集団の犯罪や人道支援への妨害にかかわらず、支援を必要とするすべてのシリア人に人道支援を継続するため、国際赤十字委員会と協力を続ける」と改めて強調した。

マウラー総裁はこれに対し、国際赤十字委員会の活動支援に歓迎の意を示すとともに、さらなる協力調整を求めた。

国内の暴力

ラッカ県では、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州(ウィラーヤト・ラッカ)がツイッターを通じて声明を出し、同県で活動するシャームの民のヌスラ戦線のアミール、アブー・サアド・ハドラミー氏を処刑したと発表した。

またロイター通信(1月12日付)は、複数の活動家の話として、ダーイシュが県内のほとんどの拠点を奪還し、イスラーム戦線やシャームの民のヌスラ戦線の残党との戦闘を続けていると報じた。

アブー・ハーリド・ワリードを名乗る活動家によると、イスラーム戦線シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員の多くが、ラッカ県の「95%を制圧した」ダーイシュとの戦闘を行わないことを選択したという。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、軍が県北部のイスラーム戦線タウヒード旅団拠点を爆撃した。

同活動家らによると、軍はその一方で、ウマル・シーシャーニー氏が率いる同県のイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点への爆撃を避けているのだという。

ハラブ・ニュース(1月12日付)によると、アレッポ氏北部のブライジュ交差点近くにあるダーイシュの拠点で、「自由シリア軍」の戦闘員の遺体約50体が遺棄されている集団墓地が発見された。

一方、シリア人権監視団によると、軍はナッカーリーン村を制圧、反体制武装集団が奪還を試み戦闘を続けた。

また軍はバーブ市、フライターン市を爆撃した。

他方、SANA(1月12日付)によると、サフィーラ市北東部に位置するスバイヒーヤ村を軍が制圧、治安を回復した。

またザルズール村、アレッポ中央刑務所周辺、タアーナ村、バヤーヌーン町、マルジャ村、サーリヒーン村、ラトヤーン村、アナダーン市、マアーッラト・アルティーク村、バービース村、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ラスム・アッブード村周辺、アレッポ市イザーア地区、カラム・トゥラーブ地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア人権監視団によると、バーブ市とターディフ市を軍が爆撃し、反体制武装集団の戦闘員21人が死亡した。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、軍がサラーキブ市のイスラーム戦線シャーム自由人イスラーム運動拠点を爆撃した。

アレッポ県同様、軍はイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の拠点の爆撃は行っていないのだという。

またシャーム自由人イスラーム運動の戦闘員によると、ダーイシュは自爆攻撃によって、戦闘員だけでなく、一般市民をも標的にしているという。

一方、SANA(1月12日付)によると、ザーウィヤ山周辺、サルジャ村、タッル・マルディーフ村、サラーキブ市、マアッルディブサ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス県関係当局は、「捜査の結果殺人を犯していないことが判明し、今後、シリアの治安に抵触するいかなる行為も行わないと誓約した25人」の身柄を釈放した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月12日付)によると、カーミシュリー市南部に迫撃砲弾5発が着弾、リハーブ・ニュース(1月12日付)によると、市民3人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月12日付)によると、ダーライヤー市、マダーヤー町、ヤブルード市、アドラー市(旧市街)、アーリヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またドゥーマー市のガソリン・スタンド近くの街道で反体制武装集団が市民を狙撃し、1人が負傷した。

このほか、マダーヤー町では、反体制活動家約350人が、国民対話委員会の説得に応じ、関係当局に投降した。

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ダマスカス県では、SANA(1月12日付)によると、カーブーン区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またバグダード通りの赤十字病院に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾した。

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ヒムス県では、SANA(1月12日付)によると、アブー・アラーヤー村、ヒムス市バーブ・フード地区、ワアル地区、タルビーサ市、南マシュジャル村、スルターニーヤ村、ハドムルー村、サラーム・ガルビー村、ハッターブ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市グータ地区、カラム・シャーミー地区、ザフラー地区に、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民20人が死亡した。

このほか、ヒムス県関係当局は、「捜査の結果殺人を犯していないことが判明し、今後、シリアの治安に抵触するいかなる行為も行わないと誓約した25人」の身柄を釈放した。

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ダルアー県では、SANA(1月12日付)によると、シャイフ・マスキーン市、ダルアー市各所で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー大統領は、エルビル市駐在の各国領事らと会談、ジュネーブ2会議に関して、シリアのクルド人は合同使節団を派遣し、参加するだろう、と述べた。

リハーブ・ニュース(1月12日付)が伝えた。

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イラキー・ニュース(1月12日付)によると、アンバール県の治安部隊と地元警察部隊は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠していたラマーディー市第60通り地区を奪還、地元警察と部族民兵が自爆ベルトを装着した自爆犯2人を殺害する一方、同市東部で、警察官4人が道路に仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれ死亡した。

諸外国の動き

シリア連絡グループ(ロンドン11)外相会議がパリで開催され、『ハヤート』(1月13日付)によると、参加各国は、シリア革命反体制勢力国民連立を支援することを合意する一方、ジュネーブ2会議に関して期限を設定して、和平プロセスを進めるべきだとの点で一致した。

al-Hayat, January 13, 2014

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は会議後、「シリアでは、一方に政権、もう一方にテロがあるのではない。政権こそがテロを行っているのだ。テロを終わらせるには、政権を終わらせねばならない」と主張した。

イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は「我々が話しているこの間も村々、そして住民が爆撃を受けている。アサド政権と席をともにし交渉することは困難だ…。しかし、それが危機に対処する唯一の手段だ」と述べた。

ドイツのフランク・ヴァルター・シュタインマイアー外務大臣は「我々は反体制勢力に大会への不参加は対話の頓挫、ないしは大会中止につながると説明した。我々が彼らを説得できたことを希望する」と述べた。

一方、ジョン・ケリー米国務長官は声明を出し、「私は個人的にシリアの反体制勢力がジュネーブに来ると信用している」と発表した。

他方、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は「会議での最大の成果は、シリアの未来がアサドとその家族のためのものではない点で皆が合意したことだ」と述べた。

会議で採択された共同声明(全14項目)において、各国はジュネーブ2会議を通じて、ジュネーブ合意を実施し、「真の政治的解決を通じて権威主義的な体制に歯止めをかける」ことをめざすと表明した。

また「ヒズブッラーなどによる政権支援」、「樽爆弾」による爆撃を非難、ロシアとイランに対して、アサド政権に民間人への攻撃を停止し、逮捕者を釈放するよう圧力をかけることを求めた。

一方、国内でのアル=カーイダの台頭に関しては「ヒズブッラーやイランに支援された部隊であれ、過激派集団の戦闘員であれ、シリアにおける外国人戦闘員の存在を非難する」と強調した。

AFP(1月12日付)などが伝えた。

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AFP(1月12日付)は、トルコ高官の話として、アンカラ国際空港で当局が11日に離陸予定だったパキスタンの貨物機の臨検を行うため、離陸を一時禁じたと報じた。

同機は中国のNGOからシリア赤新月社に送られる予定の毛布などが積まれており、武器弾薬などは発見されず、12日に離陸を許可されたという。

AFP, January 12, 2014、AP, January 12, 2014、Champress, January 12, 2014、Halabnews.com, January 12, 2014、al-Hayat, January 13, 2014, January 14, 2014、Iraqinews.com, January 12, 2014、Kull-na Shuraka’, January 12, 2014、Naharnet, January 12, 2014、NNA, January 12, 2014、Qanat al-Jadida, January 12, 2014、Reuters, January 12, 2014、Rihab News, January 12, 2014、SANA, January 12, 2014、al-Sharq al-Awsat, January 12, 2014、UPI, January 12, 2014などをもとに作成。

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