8月2日(火曜日)も、ダマスカス郊外県、ヒムス、ダルアー、ダイル・ザウルなどで合わせて数万人が夜の礼拝後にデモを行い、各都市での弾圧に抗議、軍治安部隊が弾圧を断行した。
一方、国連安保理緊急非公式会合では、西側諸国がシリア非難決議の採択をめざすなか、ロシアがシリアに制裁や圧力を科さない決議であれば反対しないと若干態度を軟化させた。
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シリア人権監視団によると、複数の都市で合わせて24人が殺害された(『ハヤート』によると27人)。うち10人は夜の礼拝後のデモへの参加中に殺害。
死者の内訳は、ハマー市で10人(『ハヤート』によると13人)、ブーカマール市で2人、ヒムス県で3人、ラタキア市で2人、アラバイン市で6人、ムウダミーヤト・シャーム市で1人。ムウダミーヤト・シャーム市の犠牲者はモスク内で治安部隊に銃殺された。
またアラバイン市でのデモで14人以上、ムウダミーヤト・シャーム市で5人、ラタキア市で11人以上、ヒムス、ザバダーニー市、キスワで多数が負傷した。
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シリア人権監視団によると、アラバイン市では数千人がデモに参加。またキスワ市ではアブドゥッラー・ブン・ラワーハ・モスクで始まったデモが排除された後、治安部隊が殉教者広場に展開した。ヒムス市でも夜の礼拝後に数千人が市内各所で街頭でデモを行った。ザバダーニー市でも夜の礼拝後に数千の若者が街頭に出て、軍のバリゲードに迫るや、無差別発砲を受けた。
軍治安部隊の弾圧がもっとも激しいとされるハマー市では、シリア人権監視団によると、数千人が市を去り、ダマスカス、アレッポ、ラタキアなどに避難した。
シリア人権監視団によると、3月15日以降の死者数は1992人、うち1618人が民間人、374人が軍人・治安要員。
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クルド対話無所属委員会はシリア国内のクルド民族主義勢力全体の活動方針を決するための大会を8月に開催することを呼びかけた。
この大会はクルド民族主義勢力各党の代表、無所属の活動家、そして青年らが組織する調整委員会の代表が参加するという。この呼びかけを受け、クルド民族主義勢力各党(クルド国民行動憲章連立、シリア・クルド・ムスタクバル潮流、シリア・クルド改革運動)は共同声明を出し、大会開催を承認。
一方、シリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長は、国民民主変革勢力国民調整委員会への不参加が、①反体制派の分裂を回避し、②クルド人の権利が明確かつ具体的に承認される必要があったため、と述べた。
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シリア民主的自由人権擁護諸委員会(CDF)、シリア・クルド人権一般的自由擁護機構(DAD)、シリア国民人権機構、シリア人権機構(Maf)、シリア・アラブ人権機構、シリア・クルド人権委員会(監視団)が共同声明を発表。アサド政権による弾圧の停止を求めた。
ドイツ通信社(DPA)によると、アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は、ハマー市での軍治安部隊による弾圧を「バッシャール・アサド体制の終わりの真の始まり」とみなしたうえで、「シリア国民の平和的デモが武力に訴えていないなか、国際社会はあらゆるかたちでシリア国民を庇護せねばならない」と述べた。ハッダーム前副大統領は現在、在外反体制活動家の政治同盟シリア国民救済戦線を指導する。
レバノンの首都ベイルートでバッシャール・アサド大統領を支持するシリア人数十人がデモ行進を行う。また反体制活動家約30人がベイルート内ハムラー地区になるシリア大使館前で抗議行動を行ったが、会場に駆けつけたアサド政権支持者と衝突した。この衝突で少なくとも1人が負傷した。
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アサド大統領は在イタリア・シリア人使節団と会談。
内務省はハマー、ダイル・ザウルの住民に対して、シリア・軍が分裂したなどといった「武装集団が発信する虚偽の噂」に耳をかたむけないよう呼びかける。
情報省によると、武装テロ集団はハマー市で破壊行動を継続し、公共財産、私有財産を破壊、道路を寸断し、国民を脅迫していると発表。また市内の裁判所、ハマー市議会を襲撃・放火したほか、農業銀行、財務局など複数の福祉施設を襲撃したと非難。さらに武装テロ集団は、ハマー市で治安維持部隊の兵士2人を、ダイル・ザウル市でも治安要員3人を誘拐、ハマー市では警官1人の遺体が発見された。
SANAによると、ジスル・シュグール避難民のうち166人が帰国。
イスラーム教ウラマー、モスクの説教師らが、アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣が出席した夜の礼拝後の会合で、武装集団による「蛮行」を非難。
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国連安保理緊急非公式会合で、ロシア外務省中東北アフリカ局長は「決議案は決して受け入れない」としながらも、「制裁などの圧力を科さない限りにおいて」シリアを非難する安保理決議に反対しないとの立場を示し、若干態度を軟化させた。
一方、ロシアのミハイル・マルゲロフ国会外交関係委員長;国連安保理決議1973号(対リビア制裁)に似た国連でのシリア制裁決議が採択され、「シリア上空が封鎖されれば、(東アラブ地域)全体が戦争状態になる」と警鐘。
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西側諸国が非難決議を準備する一方、シリアへの内政干渉に反対するブラジルも対案(決議・議長声明)を準備。この案では、「安保理は、非武装の民間人に対する軍事力行使、週亜主義的暴力、武装部隊への攻撃などあらゆる形態の暴力に反対する」としたうえで、(国内の)すべての当事者に即時暴力停止、国際人権法の尊重、報復の抑制を求める一方、シリア政府に対して国際社会の人道基準を遵守するよう求めている。また政治プロセスを通じた事態の収束を呼びかけ、シリア政府による対話の呼びかけや改革政策に一定の評価を下している。
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シリア政府は、8月の安保理議長国であるインドに対して、非難決議採択を回避するよう求めた。
ファイサル・ミクダード外務次官はニュース・エックスのインタビューに答え、3日間のインド訪問で、「インドの指導者たちに、現実とは異なるメディアの情報ねつ造に警戒するよう求めるためにここに来た」と述べた。
またCNN-IBNのインタビューでも副大臣は、「西側諸国が国連を利用してテロ・過激派、無実の人々を殺害する者を支援することを許さないようインドに期待する」と述べた。
国連の潘事務総長は火曜日、ニューヨークで記者団に対し、アサド大統領が「人間の感情を失った」と非難。
ヒラリー・クリントン米国務長官はワシントンで、シリアの反体制派使節団と会談。会談には一時帰国中のロバート・フォード在シリア米大使らも同席した。
反体制派使節団はラドワーン・ズィヤーダ氏、マラフ・バカーイー氏、ムハンマド・アブドゥッラー氏ら在外のシリア人反体制活動家からなり、約45分間行われた会談で、ズィヤーダ氏は、「オバマ大統領がアサド大統領に即時退任を求める」ことを反体制派が望んでいると伝えた。
イラク訪問中のマイケル・モーリン米合同参謀議長は、バッシャール・アサド大統領に対して「国民の要求に応えるためのステップを踏む」よう求めた。
EUが8月1日に発動した追加制裁に関して、『サフィール』、『ハヤート』紙などは、制裁リストに新たに追加された5人が、アリー・ハビーブ国防大臣、ムハンマド・ムフリフ軍事情報局ヒムス支部長、タウフィーク・ユーヌス総合情報部内務課長*(准将)、ムハンマド・マフルーフ氏(ラーミー・マフルーフ氏の父)、アイマン・ジャービル共和国護衛隊付少将(マーヒル・アサド大佐に近く、シャッビーハを組織しているとされる人物)と報じた。この5人を含めEUは30人・機関を制裁対象としている。
AFPによると、フランス外務省報道官は記者団に対して、「シリアでの弾圧をめぐる国際社会メンバーの姿勢には、軍事的な選択肢は含まれていない」と述べ、リビアとシリアのケースの違いを強調。
イタリア外務省は、在ダマスカス・イタリア大使を召還。民間人への弾圧をめぐって協議するため。
*「ムハーバラート」(現代東アラブ地域の政治主体に関する包括的研究:非公的政治空間における営為を中心に)によると総合情報部内務課長はフアード・ナースィーフ(・ハイル・ビク)氏。
AFP, August 2, 2011、Akhbar al-Sharq, August 2, 2011, August 3, 2011、CNN-IBN, August 2, 2011、DPA, August 2, 2011、al-Hayat, August 3, 2011、Kull-na Shuraka’, August 2, 2011, August 3, 2011、Naharnet.com,
August 2, 2011、News X, August 2, 2011、al-Safir, August 2, 2011、SANA, August 3, 2011, August 4, 2011などをもとに作成。
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