国連安保理で、シリアでの化学兵器使用に関する調査を行う国連および化学兵器禁止機関(OPCW)の合同査察機構(Joint Investigation Mechanism、JIM)の任期延長にかかる審議が行われた。
審議では、米国とロシアが任期延長を求める決議案をそれそれ提出し、採決が行われた。
いずれの決議案も、2017年11月17日に任期が終了するJIMの任期を2018年11月17日までの1年間延長することを定めていた。
だが、ロシアの決議案はこれに加えて、JIMの調査態勢の見直しや、2017年4月4日のイドリブ県ハーン・シャイフーン市での化学兵器使用疑惑事件へのシリア政府の関与を断定したJIM報告書の凍結が盛り込まれていた。
また、米国の決議案も、シリア国内での化学兵器使用に関与した者への制裁を求めていた。
米国の決議案は採決が行われたが、ロシアが拒否権を発動したほか、ボリビアが反対票を投じ、また中国、エジプトが棄権し、廃案となった。
一方、ロシアの決議案は、ロシア、中国、カザフスタン、ボリビアが賛成票を投じたが、米国、英国、フランスが拒否権を発動、日本、セネガル、ウルグアイ、ウクライナが反対、エジプトとエチオピアが棄権し、同じく廃案となった。
これにより、2017年11月17日に任期が終了するJIMは活動を停止することが確定した。
なお、任期延長を求める決議案の採決は10月24日にも行われたが、ロシアの拒否権発動、中国、カザフスタン、エチオピアの棄権、ボリビアの反対により、廃案となっていた。
SANA(11月16日付)、『ハヤート』(11月17日付)などが伝えた。
AFP, November 16, 2017、ANHA, November 16, 2017、AP, November 16, 2017、ARA News, November 16, 2017、Champress, November 16, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 16, 2017、al-Hayat, November 17, 2017、November 18, 2017、al-Mada Press, November 16, 2017、Naharnet, November 16, 2017、NNA, November 16, 2017、Reuters, November 16, 2017、SANA, November 16, 2017、UPI, November 16, 2017などをもとに作成。
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