ロシア南部のソチで、ヴラジミール・プーチン大統領、イランのハサン・ロウハーニー大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が首脳会談を行い、プーチン大統領提案によるシリア政府と反体制派の和平協議「シリア諸国民大会」(シリア国民対話大会)」をソチで開催することで合意した。
会談は非公式で行われ、まず三カ国の大統領が協議、その後各国の外務大臣、国防大臣が加わった。
会談後に発表された閉幕声明は、アサド政権、「領土の統一性を遵守する反体制派」に対して大会に建設的参加をするよう要請した。
「領土の統一性を遵守する反体制派」という表現で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)を主導する民主統一党(PYD)は事実上排除された。
また閉幕声明では「シリア諸国民大会」の開催日程については発表されなかった。
首脳会談では、このほかにも、①国連監視下での自由で公正な選挙の実施、すべてのシリア人が支持し得る新憲法の起草、②緊張緩和地帯の設置・維持を通じた暴力の軽減、人道被害の解消、難民発生阻止、難民帰還の準備に向けた活動、③緊張緩和地帯の維持、人道支援、地雷撤去、遺跡文化遺産保護、インフラ復旧に向けた国際社会への支援要請が確認・合意された。
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会談後の共同記者会見で、プーチン大統領は、「シリア国内でのテロ組織に対する大規模な軍事作戦は終わりを迎えつつあり、困難な7年を経て、シリア国民の苦しみを終わらせるための真摯な機運が強まっている」と述べる一方、シリア内戦の政治的解決については、「シリア国民が自らの未来を決めねばならない…。政治プロセスは容易ではなく、シリア政府を含むすべての当事者には多くの譲歩が求められる」と強調した。
プーチン大統領はまた、「シリア復興のための包括的プログラムを策定する必要がある」と指摘し、「ソチでの首脳会談にいたるこれまでの合意がシリアにおける治安回復、平和構築、主権と領土の一体性の強化に確実に貢献する」と述べた。
ロウハーニー大統領は、ソチでの首脳会談によって、シリアの危機終息に向け新たな地平が開けたと述べるとともに、ダーイシュ(イスラーム国)が壊滅した今、危機を終わらせるための政治プロセスを立ち上げるべきだと強調した。
しかし同時に、「複数の国が近視眼的な自らの目的を実現しようとテロを利用し、シリア危機の当初から外国の干渉を支持、武装集団を支援してきた…。ダマスカスの合意を得ない外国の部隊が駐留することに正当な理由はない」と述べ、サウジアラビアや米国を暗に批判した。
エルドアン大統領は、首脳会談が「シリア人の流血を止めるうえで決定的」な役割を果たすと強調した。
『ハヤート』(11月23日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(11月22日付)、SANA(11月22日付)などが伝えた。
AFP, November 22, 2017、ANHA, November 22, 2017、AP, November 22, 2017、ARA News, November 22, 2017、Champress, November 22, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 22, 2017、al-Hayat, November 23, 2017、al-Mada Press, November 22, 2017、Naharnet, November 22, 2017、NNA, November 22, 2017、Reuters, November 22, 2017、SANA, November 22, 2017、UPI, November 22, 2017などをもとに作成。
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