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シリア人権監視団によると、24日から25日にかけてヒムス県、ハマー県で治安部隊によって13人が殺害された(うち12人がヒムスで殺害)。
イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍部隊はトルコ国境近くサルミーン市、ナイラブ村、クマイナース村で突入・逮捕を行い、大規模な治安回復作戦を実施した。
これに先立ち、ナイラブ軍事基地の兵士40人が離反した。
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ヒムス県では、ラスタン市、クサイル市で軍の増援部隊が派遣された。
また避難しようとする市民を阻止するかたちで対レバノン国境地域にも軍部隊が増強され、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア村に接する国境の通行所近くまで軍が展開した。
ヒムス市ハドル地区で数日前に重傷を負った少年が死亡した。
また負傷した後に市内の病院に搬送され、そのまま失踪していた少年の遺体が遺族に引き渡された。
また同市では、シリア人権監視団によると、ヒムス国立病院のハサン・イード外科部長が自宅前で殺害された。シリア・アラブ・テレビは「武装テロ集団」が暗殺したと報じた。
タルビーサ市では数日前に逮捕されていた少年の遺体が遺族に引き渡された。
SANA(9月26日付)は、ヒムス県ジスル・タッル・シュール近くで大量の武器弾薬、爆発物を積んでいた車輌を摘発したと報じた。
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ダマスカス郊外県では、ドゥーマー市に治安部隊が展開した。
また複数の目撃者によるとザアファル市に複数の戦車、兵員輸送車が進入した。タルビーサ市とラスタン市を結ぶ地点に位置する同市では2日前から抗議行動が発生したという。
またハラスター市で9月23日(金曜日)に逮捕された青年の遺体が家族に引き渡された。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市中心のジスル・ミズラーブ近くで28人の男性が帰宅途中に治安部隊の無差別発砲で撃たれて死亡した。
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フェイスブックでは、夜にザイナブ・ヒスニーさんの拷問・殺害に抗議するデモが呼びかけられたが、これに呼応する動きはほとんど見られなかった。
国内で活動を続ける共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表は、『ハヤート』(9月26日付)に対して、今週末にモスクワを訪問する使節団(7人)発足の連絡調整が行われていると述べた。
モスクワでは、外務省、ロシア連邦議会(上下両院)を訪問するという。
「使節団が国内の反体制勢力のみに限定されている点が重要だ」という。
思想家・社会学者のタイイブ・ティーズィーニー氏によると、使節団には、ジャミール氏のほか、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首、アーリフ・ダリーラ氏が含まれるという。
一方、サリーム・ハイルベク氏によると、ファーイズ・サーラ氏は参加を辞退した。
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共産主義者統一国民委員会とシリア民族社会党インティファーダ派によって構成される人民変革解放人民戦線は労働者総連合本部で記者会見を行い、9月23日にトルコのイスタンブールを同戦線の使節団が訪問し、トルコの左派系諸政党10党の代表と会談したことを明らかにした。
ジャミール氏はこの記者会見で、10月21日に、戦線発足を正式宣言し、メンバー構成などを発表すると述べた。
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『ダマス・ポスト』(9月25日付)など複数のメディアは、ロシア高官と反体制勢力との折衝において議論されている危機打開に向けた「ロシア解決案」において、ブルハーン・ガルユーン氏ないしはハイサム・マーリフ氏のいずれかを首班とする構想が浮上していると報じた。
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シリア・クルド青年調整連合はカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市などで反体制デモを呼びかけた。
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「シリア・クルド無所属活動家の声」を名乗るグループが声明を出し、内外の反体制勢力に糾合を呼びかけた。
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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、9月25日に「シリア殉教者の花ザイナブ・フスニー」、27日に「シャイフ・ナウワーフ・バシールへの忠誠」、そして29日に「怒りのラタキア」と銘打ってデモを呼びかけた。
『ジュムフーリーヤ』(9月25日付)は、ワシントン、パリ、ブリュッセルで、バッシャール・アサド政権使節団とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の使節団が秘密裏に会合を重ねている、としたうえで、イスラエルがシリアの現政権の存続を「戦略上、国益にかなっている」とみなしていると報じた。
しかし、同紙が入手したとされる報告書によると、両国の秘密裏の接触は、ナクバ記念日のパレスチナ人による越境デモを通じてアサド政権が発した「メッセージ」を受けるかたちで再開された、という。
その際、ネタニヤフ首相は、シリア国内での弾圧に対する非難に国際社会が翻弄されないことを接触再開の条件とし、第3の当事者として米国やフランスが加わった、という。
またフランスでの接触では、アサド政権に近いレバノン人が仲介に当たっているという。
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『ナハール』(9月25日付)は、アサド大統領がムハンマド・サルマーン元情報大臣との接触を開始したと報じたうえで、この動きが反体制派との(水面下の)対話の始まりになり得るとの評価を下した。
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『クドス・アラビー』(9月25日付)は、アサド政権が国民対話会合に国内の反体制勢力を参加させるべく折衝を行っていると報じた。
同報道によると、シリア共産党ファイサル派のフナイン・ニムル議員と経済学者のムニール・ハムシュ氏が、国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表と会談し、国民対話会合への参加を促した、という。
アサド政権は、同調整委員会が第2回大会(9月18日)で発表した声明内容において、外国の干渉と混乱が拒否されたことに満足しており、「三つのいいえ」を国民対話会合において審議する意向を示したという。
一方、アブドゥルアズィーム氏は、声明において提示した諸要求が満たされることを国民対話会合出席の条件とする構えを見せた、という。
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SANA(9月26日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、オマーン、スーダン、キューバ、ウクライナの外務大臣とそれぞれ会談した、と報じた。改革実施や国民対話への決意を伝えた。
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ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣はヒムス県のアブドゥッラッザーク・バラカート警察署長を解任し、アドナーン・マフムード警部補を後任に着任させた。
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SANA(9月26日付)は、シリア青年議会(旧青年慈善活動委員会、イーハーブ・ハーミド議長)の主催により25日から全国各地でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始されたと報じた。会合は22カ所で行われ、9月27日まで続く。
各地で行われた会合では、憲法改正、政党法や情報法の実施・尊重、複数政党制など多角的に議論が展開された。
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EUの追加制裁に備えるかたちでシリア政府が発表した自動車・装飾品などの輸入禁止措置に関して、ダマスカス県サブウ・バハラート地区で自動車業を営む商人は匿名を条件に国内のビジネス界で「ショック」を引き起こしたと述べ、さらなる損害を被るだろうと懸念する者も現れたと危機感をあらわにした。
彼はまた「取引はない。状況は悪い。商人やビジネスマンはキャッシュでもクレジットでも物が買えなくなってしまっている…。この措置(自動車などに対する輸入規制)は、状況をさらに悪化させ、不確実性を増大させるだけだ」と述べた。『ハヤート』(9月25日付)が報じた。
またロイター通信(9月25日付)は、ビジネスマンの話として、シリア当局は、原材料、穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制したと報じた。
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『アフラーム』(9月25日付)はイラクの消息筋の話として、シリア当局がイラク軍に対イラク国境に位置するダイル・ザウル県へのブーカマール市での密入国阻止を目的とした軍事行動を許可したと報じる。
国連総会出席のために訪米中のレバノンのムハンマド・サファディー財務大臣は、ワシントンDCで、クリスティン・ラガードIMF専務理事、チャールズ・コリンズ米財務次官、サウジアラビアのイブラーヒーム・アッサーフ財務大臣らと相次いで会談した。
ラガードIMF専務理事との会談では、EUによる追加制裁(石油部門への新規投資禁止など)など西側諸国による対シリア制裁に関して意見が交わされ、そのなかでサファディー財務大臣は、「レバノンがシリアの”肺”のようにみなされることはレバノンにとって有害だ…。国際社会がシリアへの制裁を望むのであれば、レバノンは代償を払わねばならない…。レバノンの銀行は、国際社会に反することを行わないよう措置を講じてきた」と述べた。
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AFP(9月26日付)は、シリア国境に接するレバノンの北部県アッカール郡ブカイア村(ワーディー・ハーリドを包摂)の経済、シリアでの反体制デモに伴う混乱、経済制裁で打撃を被っていると報じた。
現地住民の話によると、レバノンでもっとも貧しい地域の一つであるブカイア村は、シリアと舗装されていない数十の道で結びついており、この道を通じて日々行われる日用雑貨やサービスなどの「違法」な取引によって生活が支えられていた。
しかし数ヶ月前に、シリア軍がこれらの通路を制圧して以降、密輸は不可能となった。
またシリアから毎日訪れていた顧客も姿を見せなくなっているという。
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レバノン北部県のアリーダム村住民は、アサド政権支持者が乗るバス2台のシリアからの入国を阻止した。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はCNNのインタビューに応え、アサド大統領に向けて「あなたはこのような残酷な行為によっては権力の座にとどまることはできない。国民の要求に答えることはできない」と述べた。
また「この動きはもう少し続くだろうが、遅かれ早かれ収束する。人々はシリアでさまざまなことを決め、それらは行われるだろう。シリア国民は、エジプト、チュニジア、リビア同様自由を欲している…。独裁体制は炎上し、崩壊する」と述べた。
AFP, September 25, 2011、al-Ahram, September 25, 2011、Akhbar al-Sharq, September 25, 2011, September 26,
2011、Damas Post, September 25, 2011、al-Hayat, September 25, 2011, September 26, 2011、al-Jumhuriya, September 25, 2011、Kull-na Shuraka’, September 25, 2011, September 26,
2011、al-Nahar, September 25, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 25, 2011、Reuters, September 25, 2011、Syria News, September
25, 2011、SANA September 25, 2011, September 26, 2011などをもとに作成。
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