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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市では軍・治安部隊の発砲で9人が殺害、20人が負傷。ハーリディーヤ地区のハーリド・ブン・ワリード・モスク周辺、バーブ・スィバーア、バーブ・フード、バーブ・タドムル地区、ハムラー地区通り、バーバー・アムルなどで、軍・治安部隊は重火器を使用し、バーブ・ドゥライブ地区では激しい発砲が行われ、ビルから黒煙が上がった。
また一部の地域では6日晩から地上電話回線が遮断された。
ジスル・クサイルから兵員輸送車20輌が進入し、スーク地区、県庁周辺で激しい銃声が聞こえた。さらにラスタン市からヒムス市周辺に戦車、兵員輸送車が増派された。
一方、地元調整委員会によると、ハマー県方面からも多数の戦車がヒムス市に進入、地上電話、携帯電話回線が遮断されたことを明らかにした。
なお『ハヤート』(9月8日付)は、人権活動家の話として、6日の死者数は少なくとも20人にのぼり、うち17人がヒムス市内で殺害されたと報じた。またヒムス市内で赤新月社の救急車が軍・治安部隊の発砲を受けた。
これに対して、SANA(9月8日付)は、武装テロ集団がヒムス市の軍病院をRPGで砲撃、また同市各所で市民や治安維持部隊を攻撃し、軍・治安部隊兵士8人が殺害、数十人が負傷し、公共財産や私有財産が破壊されたと報じた。またラスタン市で武装集団が、バアス党ラスタン支局指導部のイッズッディーン・ウバイド書記長とアブドゥッラッザーク・ダーリー書記官を誘拐したと報じた。
SANAは軍消息筋の話として、7日晩、軍・治安部隊がヒムス市ハミーディーヤ地区での武装テロ集団の追跡中に戦闘状態には入り、武装テロ集団メンバー複数を殺害、RPGなど武器を押収したと報じた。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヌアイマ村に軍・治安部隊が突入し発砲、複数の住民が負傷した。
これに対して、SANA(9月8日付)は、武装テロ集団がヌアイマ村で治安維持部隊のバスに対する爆弾攻撃を行い、兵士11人、市民4人が負傷し、そのなかには子供も含まれている、と報じた。
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シリア人権監視団によると、イドリブ県サルミーン市で軍・治安部隊は大規模な捜索活動を行った。
ムハンマド・ジャリーラーティー財務大臣は、UAEアブダビでのアラブ財務大臣会議での記者会見で、西側の制裁によって西欧諸国に輸出できなくなった石油をロシア、ないしは中国に輸出計画を進めていると述べ、制裁によって打撃を受けることはないと強調。
しかし、シリアの2011年の経済成長率が反体制デモの影響で1%から2%に落ち込むだろうと述べる。同大臣によると2010年の経済成長率は5.5%で、2011年のGDPは3%増を見込んでいる。西側の制裁に関して、「マイナスに作用するだろうが、改革を通じて困難を克服できると考えている」と述べた。
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『クッルナー・シュラカー』(9月7日付)は、3月以来続く反体制デモに伴う混乱を踏まえ、教育省が初等学校、高等学校の新学期開始の延期を検討しているとの噂が広まっていると報じた。
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SANAは、反体制活動家が運営するウェブサイト「シリア電子軍」を「愛国心」に基づき集い、メディアでの扇動やねつ造に対抗し、シリアで起きていることの真実を伝えようとしている若者たち、と絶賛。
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SANAは、ダルアー県で反体制デモに参加し、軍・治安部隊によって殺害・遺棄された住民の集団墓地に関する情報がねつ造された者だったことを示す「活動家」ハッサーン・アブー・スルーウ(アブー・アラー)氏、ムハンマド・シャルア氏らの通話内容を公開。
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SANAは軍消息筋の話として、武装集団に誘拐されていたマジド・イブン・アミード・ガッサーン・マンスールくんを解放した。マンスールくんは解放時、両手両足を縛られ、身体には拷問の痕跡があった。
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シャッビーハがアレッポ氏のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)を占拠。当局の許可のもとテントを設営、拡声器などを設置し、宴会を開いた。
SANAはシリア政府がアラブ連盟のアラビー事務総長にシリア訪問を延期するよう求めたと報じた。
アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロで記者会見を行い、シリアへの訪問を9月10日に延期すると発表した。
これに関して、反体制活動家のマアムーン・ヒムスィー前人民議会議員は、アラビー事務総長がカイロで、ハイサム・マーリフ氏を団長とする反体制勢力使節団とアラブ連盟本部で会談したと述べ、それとアサド政権による拒否の姿勢がアラビー事務総長のシリア訪問延期の理由だと述べた。
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アラン・ジュペ仏外相は、セルゲイ・ラブロフ露外相と共同記者会見を行った。仏外相は、「シリア政府は人道に対する罪を犯している」との国連人権理事会の決議に賛同の意を改めて示し、ロシアに国連での対シリア制裁決議への支持を呼びかけた。
しかし露外相はこの呼びかけを無視し、「シリアの当事者に対話の機会を与える」ことを呼びかけ、「政府が呼びかける対話に反体制勢力が応じないことは、リビアのシナリオを踏まえると、事態の進展を脅かす」と述べた。
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スーザン・ライス米国連代表は、アサド政権にさらなる制裁を科すための国連安保理決議の採択の必要を強調した。
ロバート・フォード駐ダマスカス米大使はフェイスブック上の米大使館のページ声明を出し、アサド政権によるデモ弾圧を厳しく非難するとともに、現体制内には改革を実施できる者はいない、と断じた。フェイスブックの在シリア米大使館ページはhttp://www.facebook.com/search.php?q=US+embassy+damascus&init=quick&tas=0.48355811513452606#!/syria.usembassyを参照。
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西欧の外交筋によると、EUはアサド政権へのさらなる追加制裁を検討中。追加制裁には、石油部門への投資の禁止、アサド政権に近い衛生テレビ局の放送禁止などが含まれているという。
LBC(9月7日付)が伝えたところによると、レバノンのビシャーラ・ラーイー・マロン派総大司教は訪問中のフランスでニコラ・サルコジ仏大統領らに対して「シリア・ムスリム同胞団の台頭がレバノンのキリスト教徒にとって脅威になる…。アサド大統領はシリアで改革を実施している。彼にチャンスを与えねばならない」と述べ、シリアの反体制抗議行動に消極的な姿勢を示した。
AFP, September 7, 2011、Akhbar al-Sharq, September 7, 2011, September 8, 2011、al-Hayat, September 8, 2011, September 9, 2011、Kull-na Shuraka’, September 7, 2011,
September 8, 2011, September 11, 2011、LBC, September 7, 2011、Naharnet.com,
September 7, 2011、Reuters, September 7, 2011、SANA, September 7, 2011, September
8, 2011などをもとに作成。
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