反体制諸勢力および西側諸国がシリアとの合意に達したアラブ連盟イニシアチブの内容を概ね歓迎、国民対話会合の開催を待つ(2011年11月3日)

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アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、国連安保理常任理理事国各国大使に、緊急外相会合の結果を報告、そのなかで、国民対話会合がカイロで開催されるだろうと述べた。

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シリア問題を扱うアラブ連盟の特別委員会が各国代表によって開催された。

カタール外務省のアラブ関係局のイブラーヒーム・サフラーウィー局長が議長を務め、アラブ連盟のワーキングペーパー実施のための枠組みとして機能することが期待されている。

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アラブ連盟外相委員会(外相使節団)に参加したオマーンのユースフ・ブン・アラウィー・ブン・アブドゥッラー外務大臣は『ハヤート』(11月4日付)に対して、シリアへの軍事介入は「アラブ諸国の合意のもとに拒否されているが、今日の世界では誰も何も禁じることはできない…。米国はイラクを侵略したが、誰もそれを止めることはできず、またそれに制裁を加えることもできなかった」と述べた。

反体制勢力の動き

バスマ・カドマーニー報道官を団長とするシリア国民評議会事務局の使節団がカイロを訪問し、アラビー事務総長と会談した。

使節団メンバーの一人ジブル・シューフィー氏は『ハヤート』(11月4日付)に対して、合意履行までの2週間という猶予期間に関して、「政府による虐殺継続のための猶予ではない」としたうえで、アラビー事務総長に対して、政権移行がシリア国民の要求である旨伝えた、という。

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国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は、アサド政権とアラブ連盟によるワーキングペーパー合意を歓迎し、「もし(ワーキングペーパーにおける)これらの要求が実行され、政府が一字一句それを遵守し、現地で実施したら、我々は会合を開き、政治プロセスに関する次のステップについて協議する」と述べ、国民対話会合に応じる姿勢を暗に示した。

Kull-na Shurakā’, November 3, 2011

Kull-na Shuraka’, November 3, 2011

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地元調整諸委員会は声明を出し、「シリア政府がアラブ連盟イニシアチブの各条項を真剣に受け入れたかは疑いが強い」としたうえで、「あらゆる形態の抗議を継続することで、政府の意図を検証すること」をシリア国民に呼びかけるとともに、「革命諸勢力に対して、包括的なデモ、座り込みのための努力を調整し…、明日金曜日(11月4日)にすべての広場と街頭でデモを行い、体制打倒まで非暴力抵抗を続ける」こと訴えた。

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シリア・クルド・ムスタクバル潮流は声明を出し、アサド政権とアラブ連盟によるワーキングペーパーの合意が、アサド政権への圧力を弱め、弾圧の時間を与える決定と非難した。

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国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、記者会見を開き、アサド政権とアラブ連盟の合意を歓迎し、同合意が「平和的な政治闘争へと国を移行させる門戸となり、すべての勢力が民主主義の段階に至るために参加する移行期間へと移行することを望む」と述べた。

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人民変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表は、シリアの危機を収束させるための正しい方向へのステップとしてシリア政府とアラブ連盟外相委員会の合意を歓迎した。

しかし同時に、ダマスカスが「包括的国民対話会合のための唯一の場所」と述べ、カイロのアラブ連盟本部での国民対話会合の開催に反対した。

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『クッルナー・シュラカー』(11月3日付)は、アサド大統領の「顧問」の一人として、シリアとイスラエルの間接交渉などに関わってきたとされるムルハフ・ジュワイザーティー氏がシリア国民評議会の反体制勢力に参加したと報じた。

アサド大統領の「顧問」で反体制勢力に参加したのは、ニブラース・ファーディル氏(経済顧問と目される)に続き2人目だという。

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シリア・クルド・ムスタクバル潮流は声明を出し、アサド政権がアラブ連盟のワーキングペーパーに合意したのは、圧力の回避と時間稼ぎに過ぎない、と非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(11月7日付)は、11月3日木曜日の晩、ダマスカス県シャアラーン地区、マサーキン・バルザ地区、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市の複数カ所で、反体制活動家がスピーカーを設置し、「バッシャールよ出て行け」といった歌詞の歌を大音量で流した。

同報道によると、歌が流れると、治安要員や警察がただちに機材を撤去、周辺の店などを捜索した。またアレッポ市やタルトゥース市でも同様の活動がなされたという。

反体制運動掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市各地区(タッル・シュール地区、ワーディー・イーラーン地区、バーブ・アムル地区、インシャーアート地区、バーブ・ドゥライブ地区、バイヤーダ地区、ハーリディーヤ地区、カラム・ザイトゥーン地区)に軍・治安部隊が激しい砲撃を加え、民間人20人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、デモが続いており、8人以上が逮捕された。

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ダマスカス郊外県では、ハラスター市でアラブ連盟での合意を歓迎するデモが夜間デモが発生し、1人が逮捕された。デモには約120人が参加したという。

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俳優のジャマール・スライマーン氏はカタールの首都ドーハでの映画祭に出席後、エジプトに避難。滞在中にジャズィーラのインタビューに応じて、シリア情勢を報道することへの謝辞を述べたことを受け、暗殺予告の噂が広まっていたため。

アサド政権の動き

SANA(11月4日付)は、タルトゥース県タルトゥース市の地中海岸でアサド政権の改革支持と外国の干渉拒否を求める集会が開かれ、約50万人が参加した。

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SANA, November 3, 2011

『ザマーン・ワスル』(11月3日付)は、バアス党ヒムス支部が「人民諸委員会」と呼ばれる政治・社会団体に資金・物資を支援し、自由シリア軍といった離反兵との戦闘で減少したシャッビーハを補い、武力弾圧を継続しようとしていると報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(11月3日付)は、統一地方選挙の立候補者数が伸び悩むなか、携帯電話での立候補受付を解禁したと報じた。

諸外国の動き

NNA(11月3日付)は、レバノン軍事裁判所検事は、武器密輸容疑でシリア人3人の逮捕状を発行した。

サウジアラビアで働いている3人(うち2人が身柄拘束中)は、湾岸国の一つで働く別のシリア人らから資金援助を受け、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方の農園所有者から武器を購入し、シリアに密輸していたという。

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NNA(11月3日付)は、負傷したシリア人1人がベカーア県バアルベック郡カーア地方の国境を越えレバノン領内に入り、クバイヤート市のサラーム病院に搬送された。

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中国外交部報道官は記者会見で「中国は、シリアの危機可決のための作業文書にシリアとアラブ連盟が合意したことを関係する…。我々はシリアのすべての当事者が暴力停止と、対話を通じた問題解決のための環境整備に努力することを望んでいる」と述べた。

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キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表も、シリア政府とアラブ連盟の合意を歓迎したうえで、「完全かつ早急な」実施を求めた。

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ベルリン訪問中のトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相との会談後、「我々、少なくともドイツは、国連などで強く非難することを望む」と述べた。

一方、エルドアン首相は、シリア情勢に関して「我々は手をこまねいている訳にはいかない」として、制裁の意思を改めて示した。

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国連の潘基文事務総長は、シリアとアラブ連盟の「合意の可能な限り早急な実施」を求めた。

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ビクトリア・ノーランド米国務省報道官は、ワシントンは計画実施の可能性に懐疑的である、と述べた。

また中国とロシアがアサド政権に弾圧継続の機会を与えるなかで、シリアがアラブ連盟が危機打開のための計画に応えなければ、国際社会でさらに孤立するようになるだろうと警告を発した。

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西側高官によると、国連では英仏独が国連総会第三委員会にシリアでの人権状況に関する決議案を提出した。

同高官によると、この動きはアラブ諸国が採決に同意することなく採決にかけられないという。

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『シャルク・アウサト』(11月3日付)は、トルコの複数の消息筋の話として、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相が近く、シリアの民間人保護と暴力停止のために何らかの措置を講じるだろうと報じた。

AFP, November 3, 2011、Akhbar al-Sharq, November 3, 2011, November 4, 2011, November 6, 2011、al-Hayat, November 4, 2011, November 5, 2011、Kull-na Shuraka’, November 3, 2011,
November 7, 2011、Naharnet, November 3, 2011、NNA, November 3, 2011、Reuters,
November 3, 2011、SANA, November 4, 2011、al-Sharq al-Awsat, November 3, 2011、Zaman al-Wasl, November 3, 2011などをもとに作成。

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