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アサド政権バッシングの急先鋒であるカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、ニューヨークで安保理諸国代表らと相次いで会談し、西側諸国と一部アラブ諸国による対シリア安保理決議案への支持を求めた。
また同首相は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長と会談し、政権との対話を求めるロシアの提案の受理の可能性を探った。
アラブ外交筋は、ロシアだけでなく中国の棄権を避けるため、中国とロシアの孤立化を避けるべく配慮を続けている、という。
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安保理は大使級の非公式会合を行い、対シリア安保理決議案に関する審議を続けた。
『ハヤート』(2月2日付)によると、焦点は、アラブ連盟外相会合決議支持にロシアが同意する「見返り」として、アサド政権との対話をシリア国民評議会に同意させられるか否かに集中したという。
これに関して、ガルユーン事務局長は『ハヤート』(2月3日付掲載予定のインタビュー)に対して、「ロシアが決議案を通過させ、拒否権を行使しない用意があるのなら、政府との交渉の関を持ってもよい」と述べた。
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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表大使は、安保理決議案に関して、「安保理の権限は政権交代を呼びかけるものではない。特定の国家にレシピを提示することが安保理の任務ではない」と消極的な評価を行った。
複数の消息筋によると、ロシアは決議案が「別の措置」という文言が武力行使の可能性を完全に排除していないことに異議を唱えているという。
ロシアのインテルファクス(2月1日付)は、ロシアのゲンナジイ・ガティロフ外務次官が、安保理決議案に関して、「シリアへの制裁や、力の行使を許すような文言を依然として含んでいる」ため、受け入れることができないと述べた、と伝えた。
ロンドンを拠点とするシリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県、ヒムス県、ダルアー県なで軍・治安部隊と離反兵の戦闘で、兵士15人、離反兵6人、民間人38人など約60人が死亡した。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が「奪還」したダマスカス郊外県のザマルカー町、アルバイン市、ランクース市などでは離反兵などの掃討作戦が続いている。
またバラダー渓谷で、兵士約30人が離反、軍・治安部隊との戦闘で女性1人を含む民間人21人が死亡した。
一方、SANA(2月1日付)は、バスィーマ地方での武装テロ集団との交戦で、ラージフ・マフムード准将、マーリン・アフマド曹長ら4人が戦死、6人が負傷したと報じた。
またアルバイン市などで武装テロ集団メンバーを逮捕、大量の武器弾薬を押収したという。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、離反兵との衝突で軍・治安部隊兵士15人が殺害された。また少なくとも民間人8人が死亡した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ガーリヤ村東部で軍・治安部隊の掃討作戦で、市民5人が殺害された。
またナワー市、ムサイフラ町、ダーイル町、ヒルバト・ガザーラ町などでも軍・治安部隊の掃討作戦が行われた。
一方、SANA(2月1日付)は、ダルアー市郊外で武装テロ集団の襲撃を受けた軍・治安部隊が11人のテロリストを殺害したと報じた。しかしこの戦闘で大尉1人が戦死、軍・治安部隊2人が負傷したという。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市で市民1人が狙撃兵に射殺された。
またラーミー村で兵士20人が離反したという。
このほかイブリーン村で離反兵が軍・治安部隊の車輌を爆破した。死者数は不明だという。
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SANA(2月1日付)によると、ハマー県ガーブ地方で治安維持部隊が武装テロ集団の襲撃を受け、兵士1人が戦死した。
レバノンのタウヒード潮流のウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)がダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談した。
『ナハールネット』(2月1日付)によると、3時間にわたる会談で、アサド大統領はレバノンの国内の安定に強い関心をよせ、そのことがシリア領内に良いインパクトを与えることを強調した。
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Elaph.com(2月1日付)は、ダマスカスの複数の消息筋から得た情報とした、大統領の弟マーヒル・アサド大佐と義兄アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)の家族が脅迫を受け、両氏の子供たちが通うバシャーイル学校(マッザ区)の警備が強化されたと報じた。
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SANA(2月1日付)によると、アレッポ県アレッポ市マルジャ広場でアサド政権の改革支持、内政干渉拒否を訴える集会が開催された。
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「アフバール・シャルク」(2月1日付)は、政府がシャッビーハに弾圧の報酬を偽札で支払っていることが発覚したと報じた。
またSANA(2月1日付)は、シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁が「大量の偽札が違法なルートで国内市場に入っており、国民経済に打撃を与えようとしている」と警鐘を鳴らした。
『クッルナー・シュラカー』(2月1日付)は、ロシアによるアサド政権と反体制勢力の対話提案への反体制勢力各勢力の反応を報じた。
それによると、シリア国民評議会、民主変革諸勢力国民調整委員会、シリア国家建設潮流はアサド大統領退任前の政府との対話を原則拒否しているという。
またシリア・クルド国民評議会は、対話によって一部の反体制勢力がシリアの将来を独断的に決定することへの懸念を示し、クルド問題への対処の必要を強調した。
3月14日勢力はシリア国民評議会の公開書簡に対する回答を書簡で発表し、「シリアにおける民主的変革は同国発展の歴史的な機会となり、レバノンの独立を保障する」と述べ、支持を表明した。
イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師がシリア情勢に関して初の声明を出し、米国による「干渉」に警鐘を鳴らすとともに、アサド政権の改革を支持するよう呼びかけた。
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「アフバール・シャルク」(2月1日付)は、国連人権高等弁務官事務所の高官がヨルダン政府からのシリア人避難民を受け入れるためのキャンプ設営などに関する同意を待っていると述べたと報じた。
AFP, February 1, 2012、Akhbar al-Sharq, February 1, 2012、Elaph.com, February 1, 2012、al-Hayat, February 2, 2012、Kull-na Shuraka’, February 1, 2012、Naharnet, February
1, 2012、Reuters, February 1, 2012、SANA, February 1, 2012などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
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