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ワリード・ムアッリム外務大臣は、シリア訪問中のジャコブ・ケレンベルガー赤十字国際委員会総裁と会談した。
SANA(4月3日付)によると、この会談で、両者は、赤十字国際委員会とシリア赤新月社の「人道分野での協力協調態勢に関して合意した、という。
会談には、シリア赤新月社のアブドゥッラフマーン・アッタール会長も同席した。
国内の反体制活動家の重鎮リヤード・トゥルク氏(シリア人民民主党前書記長)は、声明を出し、反体制勢力にアナン特使の停戦案を受諾するよう呼びかけた。
声明のなかで、トゥルク氏は、「シリア革命がその目的を達成したいという我々の望み、そして一連の殺戮、虐殺…を停止させる必要があるとの我々の認識は…我々にアナン特使の案を受諾することを求めている」としたうえで、「シリア国民の流血を避け、国をさらなる恐怖に陥れないため、私は現段階に相応しい政治的解決が、大統領の退任から始められ、シリア国民のいかなる政治的構成要素も排除しない国民対話を実施することにあると考え、そのなかには体制も含まれる」と続けた。
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Elaph(4月3日付)は、アンマール・ワーウィー大尉ら自由シリア軍幹部4人がアレッポで逮捕された政府系のメディア、サイトなどでの報道に関して、ワーウィー大尉が報道内容を否定するとともに、アサド政権が「アナン特使のイニシアチブを実施するはずない」と断じ、「シリア解放旅団指導者として武力により緩衝地域を設置する」と武装闘争継続の意思を表明したと報じた。
リフアト・アサド前副大統領は、BBC(4月3日付)に対して、アサド政権が長く存続できないだろうとの見方を示した。
ハーフィズ・アサド前大統領の実弟のリフアト氏は、「現下のシリアの暴力がバッシャール・アサドやその政府の能力を超えて激しく展開している」としたうえで、「バッシャール・アサドが権力の座に長くとどまることはできない」と述べた。
アサド政権が早晩瓦解するとの主張は、シリア国民評議会や自由シリア軍など在外の反体制勢力、さらにイスラエルのエフード・バラク副首相と共通しており、シリアの反体制勢力のイメージを悪化させるにきわめて効果的だと言える。
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シリア国民評議会はイスタンブールで声明を出し、クルド・ブロックのメンバーの脱会に対処するため、クルド人民のアイデンティティを憲法において認め、その民族的権利を保障することを誓約すると発表した。
クルド・ブロックのメンバーはイスタンブールでの大会で3月末に採択された「未来のシリアのための国民誓約」に自らの要求が加味されなかったことに異議を唱え、脱会していた。
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パリで活動するシリア自由協会なる組織は、軍事情報局パレスチナ課の元高官でフランスに滞在するアミーン・シャッラービー氏が、2008年のサイドナーヤー刑務所での暴動弾圧で戦争犯罪、拷問、強姦を犯した、とフランスの最高裁判所に申し立てた。
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政権を離反したアブドゥー・フサームッディーン前石油省次官は、アラビーヤ(4月3日付)に対して、シリアの友連絡グループ第2回会合(イスタンブール)に対して、シリア経済が制裁と弾圧によって深刻な打撃を受けていることを報告する文書を提出したと述べた。
フサームッディーン前石油省次官によると、シリア政府は最近、100億ドル相当の国債を中国に、50億ドル相当の国債をロシアとイランに売却し、財源確保に努めている、という。
またシリア中央銀行の外貨準備高は170億ドルから45億ドルに減少した、という。
UPI(4月3日付)によると、都市部からの撤退と発砲停止を4月10日までに行うとのシリア政府からアナン特使への通達に受けるかたちで、シリア軍・治安部隊の一部が都市部からの撤退を開始した。
一方、反体制勢力は、イドリブ県、ヒムス県、ダマスカス郊外県ザバダーニー市周辺で軍・治安部隊による掃討作戦と逮捕・摘発が続き、40人以上が死亡した、と宣伝を続けた。
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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市内のバーブ・ドゥライブ地区、バーブ・フード地区、サフサーファ地区、ハミーディーヤ地区、ハーリディーヤ地区に対して軍・治安部隊が砲撃を続け、3人の市民が死亡した、という。
またシリア人権ネットワークによると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区では、軍・治安部隊が激しい攻撃を加えるなか、35人の兵士(第62旅団)が離反した、という。
さらに地元調整諸委員会は、ヒムス市の国立病院で身元不明の遺体75体が発見されたと発表した。同諸委員会は、自由シリア軍が国立病院を制圧したとしている。
一方、ラスタン調整連合によると、ラスタン市郊外のジャルジャスィーヤ村、ヒルブナフサ村、トゥマイン村を軍・治安部隊が抱囲し、逮捕・摘発活動を行った、という。
これに対して、SANA(4月3日付)は、関係当局が対レバノン国境からジューバーニーヤ村に潜入しようとした武装テロ集団のメンバー多数を逮捕したと報じた。
また、ヒムス市ダイル・バアルバ地区で武装テロ集団が女性4人を含む市民多数を誘拐・殺害したと報じた。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ市で軍・治安部隊と離反兵が激しく公選し、兵士4人と市民2人が殺害され、カンスフラ村では治安部隊の発砲で市民1人が殺害された。
一方、SANA(4月3日付)によると、タフタナーズ市で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害、逮捕した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町に治安部隊のバス数十両が到着し、12人を逮捕し、市内の民家7棟を焼き討ちにした。
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ダマスカス県では、地元調整諸委員会は、カダム区の街道で大きな爆発があり、道路が一時封鎖となったと発表、マッザ区やドゥーマー市・ダマスカス県間の街道で若者がタイヤを燃やし抗議運動を行う映像をユーチューブで配信した。
またダマスカス革命指導評議会は、パレスチナ・キャンプで女性が体制打倒を求めるデモが発生した、と発表した。またマッザ区のイラン大使館前でもデモが発生した。
一方、SANA(4月3日付)によると、マッザ区で爆発があった。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で軍・治安部隊と離反兵が交戦、ザバダーニー市では、治安部隊が大規模な逮捕・摘発を行ったほか、フライラ村を戦車53輌が包囲したという。
また、ハラスター地区でも激しい衝突があったという。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町で軍・治安部隊が大規模な逮捕・摘発を行った。
ナジーブ・ミーカーティー内閣で、ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)がシリア人避難民への人道支援のための1億レバノン・ポンドの追加予算を要求したが、否決された。
『ナハール』(4月4日付)によると、閣議において、マルワーン・シルビル内務大臣は、シリア人避難民の数が25万人に上るとしたうえで、レバノン国内での犯罪発生率が最近急増し、それらの95%がシリア人によるものだと指摘、人道支援に消極的な姿勢を示した。
マルワーン・ハイルッディーン国務大臣(レバノン民主党)は、追加予算がレバノンに負担を与えると懸念を表明した。
ニコラー・ファットゥーシュ国民議会担当国務大臣(心のザフレ・ブロック)はシリア人避難民への人道支援はシリア大使館の義務だと主張した。
ガービー・ライユーン文化大臣(自由国民潮流)は、レバノン国内の病院で治療を受けているシリア人の一部は「シリア国内でテロを行った犯罪者」だと非難した。
国連安保理では、スーザン・ライス米国連代表大使(4月の安保理議長)が、アナン特使に対して、4月10日以降、安保理でブリーフィングを求める意向である、と述べた。
また安保理では、都市部からの撤退と発砲停止を4月10日までに行うとのシリア政府からアナン特使への通達を受け、アナン特使のミッションを支持するための新たな安保理議長声明案に関する審議が専門家レベルで行われた。
複数の安保理筋によると、同決議案は、アナン特使の6項目停戦案への安保理の全面支持を確認するとともに、6項目のうちの3項目(シリア政府による都市部での発砲停止、都市部からの撤退、重火器の使用停止)の最終履行期限を4月10日とするとの同特使による行程を支持する文言が盛り込まれている、という。
またシリアの反体制勢力に対しても、アサド政権の要求に応えるかたちで」4月10日以降48時間以内に」上記3項目の履行を求めている。
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コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使付報道官のアフマド・ファウズィー氏は、国連監視団の先遣隊が48時間以内にシリアに派遣されると発表した。
同先遣隊は5~6人から構成され、アナン特使の停戦案に基づく監視団の展開の準備を行うという。
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米国務省は声明(現地時間で4月2日)を出し、国際社会のパートナーとともにシリアでの人権侵害に関する情報収集のための機関の設立をめざすとし、125万ドルを「シリア制裁情報収集センター」に供与すると発表した。
「シリア制裁情報収集センター」はイスタンブールでのシリアの友連絡グループ第2回会合において、ヒラリー・クリントン米国務長官が設立を提唱した機関名。
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アラビーヤ(4月3日付)によると、イラン・イスラーム革命防衛隊副参謀長のマスウード・ジャザーイリー准将はイランの「ヘズボッラー・ニュース」サイト(http://siminbill.blogfa.com/)に対して、「シリアの混乱に与する外国勢力の鼻をへし折る時が来た…。シリアの破壊に手を貸したアラブの反動勢力や諸外国は諸圧されるべきだ」と述べた。
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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はブリュッセルで記者会見を開き、シリアの反体制勢力の武器供与に関して、「地域全体に武器を拡散させる」と述べ反対の意思を示した。
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在ダマスカス欧州委員会代表部は声明を出し、アサド政権に対して、活動家のマーズィン・ダルウィーシュ氏(2月16日逮捕)らの「迅速な」釈放を求めた。
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ヨルダン政府は、シリア人学生の受け入れのためのUNICEFからの支援金160万ドルの受入合意に署名した。
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サウジアラビア外務省次官は、シリアのサウジ大使館をヨルダンのアンマンに移転すると発表した。
AFP, April 3, 2012、Akhbar al-Sharq, April 3, 2012、Alarabia.net, April 3, 2012、BBC, April 3, 2012、Elaph.com, April 3, 2012、al-Hayat, April 4, 2012、Kull-na Shuraka’, April 3, 2012、al-Nahar, April 4, 2012、Naharnet.com, April 3, 2012, April 4, 2012、Reuters, April
3, 2012、SANA, April 3, 2012、UPI, April 3, 2012などをもとに作成。
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イドリブ県では、テレグラムの「…
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