シリアのガッサーン・ウバイド化学兵器禁止機関(OPCW)副代表とロシアのアレクサンドル・シュルギンOPCW代表は、オランダのハーグにあるOPCW本部で共同記者会見を開き、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で発生した塩素ガス使用疑惑事件に関して、ロシアとシリアの代表が、同市の住民を証人として招き、加盟国に対して説明会を開いたことを明らかにした。
証人は、ホワイト・ヘルメットが事件発生直後の映像だとして発信していたビデオ映像に登場していたハサン・ディヤーブくん(11歳)を含む17人で、記者会見に同席した。
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ウバイド副代表によると、彼らの出席によって「シリアへの攻撃に参加した国々のウソが暴かれた…。これらの国は真実が明らかになることを望まず、調査を妨害しようとしている」と述べた。
また、ホワイト・ヘルメットに関しては、化学兵器使用事件が起きたとされるすべての捏造映像に登場している。彼らは子供たちを殺す犯罪者で…、治療など行っていない」と非難した。
シュルギン代表も、ドゥーマー市での事件がホワイト・ヘルメットや西側メディアによる捏造と指摘、事件を口実に攻撃に踏み切った米英仏を国際法に違反していていると非難した。
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共同記者会見に同席したハサンくんの父親のウマル・ハサン氏は次のように述べた。
「子供や妻は、地下室にいた。そのとき、「ポイント1」、つまり病院に逃げろ、という声が聞こえた。地下室を出ると、炎に包まれた建物の骨組みや煙が立ちこめており、テロリストが、息子のハサンを含む子供達を病院に連れて行った。それから彼らは息子達、そして妻に水を掛け始めた。私も病院にはいたが、子供たちを連れ帰ることは許されなかった」。
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ハサンくん自身も「病院で水を掛けられた…。どうしてなのか分からなかった」などと述べた。
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救急医師のハッサーン・ウユーン氏は「事件当日、15~20人が軽い呼吸困難をきたして、病院に搬送された。症状は軽度のものから、中程度のものだった。我々は臨床検査を行ったが、そのときには非通常兵器の使用を示す症状は見られなかった」と証言した。
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外科医のヤースィル・アブドゥルマジード氏は「病院の手術室に入ってきた一人が、2歳くらいの幼児を連れてきて、「毒ガスか化学兵器に曝された」と主張した…。だが、診察しても、有毒ガスの症状は見られなかった」と述べた。
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医師のハリール・ジャイシュ氏も、「病院に搬送された患者からは化学兵器によるとされる症状は見られなかったが…、ビデオに登場しているホワイト・ヘルメットのメンバーとされる男性らが、患者に対して水をかけ始めた」と述べた。
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医師のムムターズ・ハンシュ氏は、「ホワイト・ヘルメットが配信したビデオが撮影される直前に、地元の医療チームと連携せずに活動していると思われる、訓練を受けていないボランティア複数人が病院の救急センターに入ってきて、化学兵器が使われたと大声で叫んだ」と証言した。
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看護師のムワッファク・ナスリーン氏は、「覆面をした男性が「化学兵器だ…化学兵器だ」と叫んでいた」と証言した。
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救急科の職員アフマド・カッシューア氏は、見たことのない複数人が、患者が水をかけられ、救急センター内で混乱が生じている様子を撮影していた、と証言した。
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ドゥーマー市住民のアブドゥッラフマーン・ヒジャーズィー氏は、「ホワイト・ヘルメットに病院で患者に対して患者に水を浴びせるよう頼まれた」と証言した。
ドゥーマー市の病院の検査技師を務めていたサイード・ダッアーシュ氏も、「化学兵器だ…、化学兵器だ」という叫び声が上がったあと、患者に水がかけられ、混乱が生じたさまを証言した。
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SANA(4月26日付)、『ハヤート』(4月27日付)などが伝えた。
AFP, April 26, 2018、ANHA, April 26, 2018、AP, April 26, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 26, 2018、al-Hayat, April 27, 2018、Reuters, April 26, 2018、SANA, April 26, 2018、UPI, April 26, 2018などをもとに作成。
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