SANA(6月24日付)によると、ロシアのNTVが26日に(一部)放映したアサド大統領のインタビュー(http://www.ntv.ru/video/1609060/)の全文(英語、https://sana.sy/en/?p=140830)およびアラビア語全訳(https://www.sana.sy/?p=771978)、ビデオ映像を公開した。
インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:
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「我々は(現下の危機の)国内的症状と国外的症状を区別しなければならない。国内的症状は、我々は、地域の他の国の社会と似た問題を抱えている…。我々は戦争前、この問題を解決する能力を欠いていたかもしれないし、欠いていなかったかもしれない。これはすべてのシリア人に様々な視点から捉えるべきものだ。一方、国外的症状について話したいというのであれば、それはこの戦争をもたらした極めて重要な問題だ。なぜなら、この地域のどの国も同じような戦争は起きていないからである…。湾岸諸国のように自由がまったくない国は、より深刻な問題を抱えているにもかかわらずだ」。
「もし国内的要因が理由なら…、なぜこれらの国(湾岸諸国)で戦争は始まらなかったのか? つまり、シリアで起こったのは国内的な問題ではない。なぜなら同じような問題は数十年前から存在し、一部は数世紀にわたって存在したからだ。つまり、この問題は外的要因によるもので、それははっきりとは見えなかった。なぜなら…その計画はシリアではなく、米国、フランス、英国といった西側諸国で作られたからだ。トルコ、サウジアラビア、カタールといった一部衛星国も当初から計画に加わり、資金を提供した」。
「(シリア軍が自国民に対して化学兵器を使用した欧米諸国が主張するのは)化学兵器の話が、彼ら(欧米諸国)のシリア政府への非難の主要な部分をなしているからだ。だが、彼らがこの話を利用するようになったのは、彼らの部隊、彼らのプロキシであるテロリストがシリア国内の各地域で敗北してからだ。彼らはこうした作り話を口実にして、直接軍事介入し、シリア軍を攻撃しようとした」。
「我々は(化学兵器を)保有していない…。だがこのことを度外視して、仮に持っていたとしても、勝っている時には使用しない…。実際、我々が勝利を収めるたびに、彼らはこうした作り話を利用した」。
(シリア軍が化学兵器を使用したとする欧米諸国の挑発を防げるか、との問いに対して)「それはできない。なぜなら、それは我々の現実から作り出されるのではなく、彼らの想像、彼らのメディアの産物だからだ。彼らのメディアが作り出し…、インターネットなどを通じて世界に拡散される…。米国はウソをついて、攻撃するだけだ。国際法が尊重されず、国連が効果的に機能しなければ、挑発は防げない」。
「シリアが分断されてしまったと言いたいのなら、地理についてはそうだが、社会はそうではない。社会は統合されている…。シリア国民が一つである限り、シリアは統合されている…。分断されてしまっているというが、それは占領だ。さまざまな地域が、米国とその同盟国からなる西側の支援を受けるテロリストによって占領されている。シリアの将来について話すのであれば、我々はこうしたテロリストは考慮しない…。我々は国内に関することで他国の国益を考慮しない…。この戦争について言うなら、これは今や国際戦争になっている…。それはもはやシリア政府だけの問題ではない。シリア政府は独立しており、ロシア、中国といった国と良好な関係を築いている。だが、米国は世界地図を政治的、そしておそらくは軍事的に書き換えようとしてきた。だから、シリアは、この地図書き換えの主戦場の一つとなった…。この戦争はこうした大国どうしの戦いだ。テロリストを支援し、覇権を追及する米国とその同盟国と、テロと戦い、国際法を守ろうとするロシアとその同盟国の戦いなのだ」。
(なぜシリアが主戦場となったのか、との問いに対して)「いろいろと理由があるが、シリアが、イラン、北朝鮮、ロシア…とともに独立していると考えているからだ…。西側は独立した状態を受け入れないのだ…。さらに我々は小国だ…。我々には「Yes」としか言えないのだ…。第2に、シリアの地政学的位置、歴史的役割がある。シリアは小国だが、活断層でもある…。この地域(シリア)を支配すれば、それ以外の中東地域も支配できる…。だから大国は、太古の昔から現在まで大国はシリアを支配しようとしてきた」。
「我々は(ロシアに)二つのことを期待している。シリアとロシアには、両国、そして世界のあらゆる場所で、テロと戦い、これを打ちのめすという共通の利益がある。こうすることが第1の期待だ…。第2の期待は長期的なものだ。ロシアは地球規模のバランスにとって極めて重要だ…。シリアのような小国にとって、このバランスは非常に重要だ。我々はロシアに、テロとの戦いとともに、地球規模のバランスを維持することを期待している」。
「シリアの復興に参与の一部にはならない、これこそ、この戦争における西側のベストの発言だ。理由は単純で、我々はそれを許さないからだ…。我々には西側は必要ない。西側はまったく誠実ではない。彼らはただ奪うだけで、与えることはない…。戦争にもかかわらず、我々には自国のあらゆるセクターを再建する人的資源がある。そのことについて何ら心配していない」。
「資金だが、戦争前に債務はなく、友好国からの貸し付けで国を建設してきた。資金はないが、友好国の貸し付けを得る音ができるし、在外居住者、国内居住者、そして政府には資金はある。だから、この点についても心配はしていない…。多くの西欧人が復興に参与したいと話しているが、彼らはシリアを助けるためではなく、収益を得るためにやって来ようとしている。多くの西欧の企業が我々に門戸を開放するよう連絡してきている…。もちろん、西欧諸国の支援を受けて連絡してきているのだ。彼らにはシリアという市場が必要なのだ」。
「まず言いたいのは、我々は内戦下にはないということだ。なぜなら内戦とは、宗派、エスニシティ、宗教などの区分に基づいているものだからだ。そうしたものはシリアにはない…。シリアの多様な社会は戦争前よりも統合されるようになった…。これに対して、テロリストの支配下にある地域において、テロリストはこうした多様な社会のどの部分も代表していない。彼らは自分達を育んだ保育器(過激派イデオロギーのこと)を代表し、人々に彼らの支配地域で住む以外の選択肢を与えていないだけだ…。国民が撃ち合っているのではない。傭兵、テロリストと戦っているのだ」。
「大統領職については、二つの要素がある。第1に私の意志だ。そして私の意志は第2の要因に基づいている。それはシリア国民の意志だ。まだ3年ある。2021年に、シリア国民は大統領を受け入れる用意があるかどうか? もしないのなら、なぜ私が大統領になれるというのか?… もしあるのなら、そのとき私は検討したい」。
「いかなる憲法改正であれ、それは大統領ではなく、政府、そして国民にかかわる問題だ…。それは国民投票を経て決せられる…。もし国民投票でシリア国民が新憲法を支持すれば、我々はもちろんそうする(憲法改正を行う)。だがそれは国連、外国の意思とは関係ない」。
「我々は、敵であれ誰であれ、議論したり、話し、合ったり、交渉したりすることが生産的だと信じている。だが…、我々は1974年に米国と初めて交渉を行って以来、何も達成していない…。米大統領の問題は、彼らがロビー、大手メディア、巨大企業、金融機関、石油会社などの人質に成り下がっていることだ。彼らは耳障りの良いことを言ってくるが、まったく逆のことをする…。(ドナルド・)トランプ(米大統領)はその典型例だ。だから、訳もなく、そして成果が得られないのに、米国と話し合ったり、議論することは時間の無駄だ。米国人だから彼らと対話を快く思っていないのではない。我々は生産的な誰とでも議論する用意がある」。
「西側の問題は、もはや政治家がいないということだ。政治家、そして真の政治の代わりに、フェイクの政治があり、フェイクの政治はフェイクのストーリーを必要とする。化学兵器の話はこうしたフェイクのストーリーの一部だ…。西側の政治には…モラルも、価値観も皆無だ」。
「彼ら(ダーイシュ(イスラーム国)やシャーム解放機構などのアル=カーイダ)は戻ってくるだろう。なぜなら、西側列強は彼らを何度も利用するからだ。だが、彼らは異なったブランドを身につけて戻ってくるだろう。30年前のアフガニスタンでは「聖戦士」(ムジャーヒディーン)と呼ばれており、テロリストとは呼ばれていなかった…。彼らは現在テロリストと呼ばれている…。10年後、彼らは異なったブランドで世界のどこかで利用されるだろう。同じ製品だが、この製品には異なったブランドが与えられるのだ。それや西欧の道具なのだ」。
「もしこうしたテロリストがロシアで成功したら、私は脅威に曝される。彼らはシリアなど他の国にやって来ることになろう。逆も同じだ。だから、シリア人を守ることがロシア人を守ることにもなるのだ」。
(トルコと米国によるシリア北部の占領をいかに食い止めるか、との問いに対して)「二つの方法を採用してきた。第1のそして主要な方法とは和解だ。これは成功してきた…。もう一つは、テロリストを攻撃し、和解に参加させるというものだ…。これは我々が好んで行っている方法ではないが、国の支配を回復する唯一の方法でもある」。
AFP, June 24, 2018、ANHA, June 24, 2018、AP, June 24, 2018、al-Durar al-Shamiya, June 24, 2018、al-Hayat, June 25, 2018、Reuters, June 24, 2018、SANA, June 24, 2018、UPI, June 24, 2018などをもとに作成。
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