シリアでの人権侵害を調査するための国際調査委員会(パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長)は、アサド政権による都市部への包囲と食糧封鎖などを非難する最新報告書を公表した。
2013年7月から2014年1月のシリア情勢を調査した同報告書は、ダマスカス郊外県東グータ地方、ダマスカス県ヤルムーク区などで、「25万人以上が、シリア国内で軍によって包囲され、空爆・砲撃にさらされている。彼らは人道支援、食糧医療支援を受けることができず、飢餓か降伏の選択を迫られている…。シリア政府は、包囲や、水、食糧、避難所、医療といった必需品を戦略として利用している」と指摘している。
報告書はまた、軍などによる住民の逮捕、拷問についても非難している。
報告書はさらに、反体制武装集団についても、アレッポ県ヌッブル市、ザフラー町、ハマー県ガーブ渓谷を包囲していると指摘するとともに、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が優勢なラッカ県で、体系的な逮捕、拷問などが行われていると非難している。
なお、反体制武装集団に関して、パウロ・セルジオ・ピネイロ委員長は「我々はもう「反政府勢力」という言葉は使わない。なぜなら、彼らによる暴力のレベルは政府軍に対する軍事行動のレベルを超えているからだ」と述べ、今後は「反体制勢力」ではなく「非国家武装集団」という用語を採用すると述べた。
一方、報告書は、2013年8月21日の東グータ地方での化学兵器攻撃に関して、化学物質の性質、種類、量に関する検査により、「犯罪者」がシリア軍の武器庫に進入して、化学兵器を入手した可能性が高く、大量の化学兵器を安全に取り扱う経験と機器を保有していたと指摘した。
しかし、この「犯罪者」が誰かは特定していない。
また2013年3月のアレッポ県ハーン・アサル村での化学兵器攻撃に関しても、東グータ地方で使用されたのと同じ特性の物質が使用されていたと指摘している。
報告書は最後に、シリアの紛争当事者による一連の違反行為、戦争犯罪を放置し続ける国連安保理の責任を追及、国際刑事裁判所での審理を求めた。
AFP, March 5, 2014、AP, March 5, 2014、ARA News, March 5, 2014、Champress, March 5, 2014、al-Hayat, March 6, 2014、Iraqinews.com, March 5, 2014、Kull-na Shuraka’, March 5, 2014、Naharnet, March 5, 2014、NNA, March 5, 2014、Reuters, March 5, 2014、SANA, March 5, 2014、UPI, March 5, 2014などをもとに作成。
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