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AP(12月25日付)は、イラク諜報機関が国連職員誘拐を計画していたアル=カーイダのメンバーから押収したとして、シャームの民のヌスラ戦線指導者のアブー・ムハンマド・ジャウラーニーの顔写真を公開した。
この顔写真に関して、AFP(12月25日付)は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がイラクの諜報機関に漏洩したと報じた。
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『ハヤート』(12月26日付)は、イラク・クルディスタン地方のエルビル市で1週間にわたり行われていた西クルディスタン人民議会(民主統一党)とシリア・クルド国民評議会(シリア革命反体制勢力国民連立)の直接交渉が終了した、と報じた。
交渉は、アブドゥッサラーム・アフマド西クルディスタン人民議会議長が代表を務める使節団と、シリア・クルド国民評議会のターヒル・サフーク議長が率いる使節団の間で行われ、マスウード・バールザーニー大統領と、トルコのディアルバクル県知事のオスマン・バイデミル氏が仲介役を務めた。
交渉では、ジュネーブ2会議に関する統一ヴィジョンの案出、統一軍事組織の結成、シリア北西部における自治政府樹立が審議されたが、いずれも明確なかたちでの合意にいたることはできなかった。
ジュネーブ2会議に関する統一ヴィジョンの案出に関して、『ハヤート』(12月26日付)によると、シリア・クルド国民評議会のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ氏(シリア・クルド進歩民主党書記長)、アブドゥルハキーム・バッシャール氏(シリア・クルド民主党パールティ書記長)を統一代表団メンバーに選出することで合意した。
だが、ダルウィーシュ氏は、統一使節団がシリア革命反体制勢力国民連立から独立した代表団をクルド人が派遣することを必ずしも意味しないと述べる一方、クルド最高会議が「活動を停止した死に体」だと評した。
また「クルド人が連邦制を望むとの共同のヴィジョンを提示するが、アラブ人のパートナーにこれを押しつけることはしない。我々は分離独立することなくクルド人の民族的権利を要求する」と付言した。
しかし、西クルディスタン人民議会のズィールザード・ヤズィーディー報道官は、「クルド使節団は他の反体制勢力からは独立しており、このことが実現できないとしても、クルド最高会議で合意された連邦制国家の樹立という共同のヴィジョンが示されねばならない」と述べた。
統一軍事組織の結成については、ダルウィーシュ氏によると、西クルディスタン人民議会が、人民防衛隊の軍事組織の存在を認めないとの立場を明示、拒否の姿勢を示した。
シリア北西部における自治政府樹立については、ダルウィーシュ氏によると「さらなる検討を要することで合意した」と述べ、何らの結論に至らなかったことを明らかにした。
上記の主要議題3点に関して、交渉は平行線のままに終わったが、ハサカ県マーリキーヤ(ダイリーク)市郊外のスィーマルカー国境通行所の開放、政治犯約80人の釈放については合意がなされたという。
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アレッポ県バーブ市一帯で活動する反体制武装集団8組織が共同声明を出し、同市を防衛するための「保護委員会」を設置すると発表した。
共同声明を発表したのは、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線を主導するイスラーム・シャーム自由人運動、シャリーア委員会、タウヒード旅団、バーブ市書記長、バーブ市文民革命評議会、スンナ普及イスラーム・センター。
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シリア国民変革潮流(アンマール・カルビー代表)は声明を出し、ジュネーブ2会議に先だって、カイロでの反体制勢力による全体会合の開催を呼びかけ、民主的変革諸勢力国民調整委員会に同調した。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アレッポ県に対するシリア軍の「樽爆弾」による攻撃に関して「体制とその傭兵がシリア人市民に対して続ける虐殺が見過ごされることに警鐘を鳴らす」としたうえで、攻撃が「国際社会がアサドに間接的に許可を出し、ジュネーブ2会議の開催を促そうとしている」と非難した。
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シリア革命反体制勢力国民連立の保健委員会は声明を出し、シリア軍が樽爆弾5,000発以上を投下し、市民20,000人以上を殺害、10万人以上を負傷させたと主張した。
使用されている樽爆弾には、TNT火薬が詰められ、重量は160キロから1トンにおよぶという。
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シリア革命総合委員会は声明を出し、アレッポ県各所へのシリア軍による「樽爆弾」での攻撃に関して、映像などから「シリア人が間違って「樽爆弾」と名付けている爆弾の正体は、旧ソ連製のFABシリーズの爆弾として知られているものだ」と断じた。
同委員会によると、アレッポ県でもっとも多く使われているのは、FAB250、FAB500だという。
なおこれに関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は15日、シリア軍が使用している「樽爆弾には2種類ある。一つは手製のもの、もう一つは工場で作られたより高度なもので、後者がアレッポ爆撃に使用されている…。樽爆弾は当初は原始的だったが、次第に開発が進み、より大きな破壊力を持つに至っている」と述べている。
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シリア人権監視団は、12月15日以降のアレッポ県でのシリア軍の「樽爆弾」による爆撃での犠牲者数が410人に達したと発表した。
犠牲者の内訳は、子供(8歳以下)117人、女性34人、戦闘員30人以上、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員が9人だという。
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クッルナー・シュラカー(12月25日付)は、アレッポ県アイン・アラブ市一帯でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と民主統一党人民防衛隊の戦闘再開を受け、ダーイシュが11歳から15歳にかけての子供に軍事教練を行い、戦闘に参加させようとしている、と報じ、その写真を公開した。
写真はクッバ村の小学校で撮影されたという。
一方、人民防衛隊は、18歳以下の青年・子供の従軍を禁止する決定を下しているという。
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自由シリア軍のクルド人戦闘員がビデオ声明を出し、イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領に対して、シリア国内のクルド人どうしの戦闘を回避するため、責任をもって対処するよう呼びかけた。
クルド人戦闘員は声明で、「民主統一党の人民防衛隊が武力行使に関する決定を独断的に行い続ければ、クルド人革命家は同部隊が制圧する地域を解放するために介入する」と述べ、同部隊が防衛するカーミシュリー市、アフリーン市のシリア軍・治安機関拠点に「鉄拳」を下すと脅迫した。
石油鉱物資源省は、ダマスカス県内の同省本舎でロシアの石油採掘会社ソユーズネフチェガス(Soyuzneftegaz)社と、地中海のシリア領海地域(約2,190平方キロメートル)での石油ガス探査に関する契約を締結した。
AFP(12月25日付)などが伝えた。
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SANA(12月25日付)は、ダマスカス県の聖ギルギス教会、聖イリヤース教会、聖マリアム教会、ヒムス県、イドリブ県、スワイダー県など各地のキリスト教教会で、クリスマスに合わせて、紛争の犠牲者の追悼ミサが行われたと報じた。
聖ギルギス教会(シリア正教会)のミサでは、シリア正教会総主教イグナティウス・ザッカー1世イワースのメッセージが代読された。
このメッセージのなかでイワース総主教は、「我々はシリアにおける危機の当初から、武器や殺戮という言葉とは無縁の対話と平和的解決を呼びかけてきた…。我々は、息子達が曝されている現状が、キリスト教徒に危害を加え、シリアから追放するためのものだとの一部の人々の主張を強く拒否する…。我々はすべての国がジュネーブ2会議に参加し、シリアをシリア人に託すことを呼びかける…。中東そして世界のすべての政治指導者に、この混乱を抑え、努力を結集し、すべての当事者が満足するような解決策を案出することを求める」と述べた。
また、聖マリアム教会のミサには、ギリシャ正教アンタキア総主教区のヨハネ10世ヤーズジー、共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師が出席した。
礼拝後、ハッスーン師は、「イエスがもたらした慈愛と平和の光、慈悲の教えを広め、平和と慈悲を愛するシリアで子供や無実の人々を死に至らしめる憎しみと殺戮の炎を打ち消しましょう」と呼びかけた。
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クッルナー・シュラカー(12月25日付)は、ラタキア県ラタキア市ファールース地区とカタール通りが最近、「殉教者アフマド・フィダー中佐通り」に変更された、と報じた。
アフマド・フィダー中佐はイドリブ県ジスル・シュグール市で戦死した軍治安関連施設長の名前。
また同報道によると、ダマスカス県のアブドゥルアズィーズ国王通りも変更が検討されている、という。
ダマスカス郊外県では、AFP(12月25日)などによると、反体制武装集団が籠城し、軍に包囲されていたムウダミーヤト・シャーム市で、両者の間に休戦合意が結ばれ、25日付で発効された。
この合意に基づき、26日から人道物資の配給が開始されるとともに、反体制武装集団が武装解除し、シリア軍に武器を引き渡すという。
なおこの合意によると、シリア軍は同市には進駐せず、政府当局が避難民の帰宅を許可することで完了するという。
ムウダミーヤト・シャーム市の地元評議会高官のアブー・マーリク氏によると「水曜日に休戦は発行し、住民は善意を示すため、市内の給水塔にシリアの国旗を72時間掲揚することに合意した」。
アブー・マーリク氏はまた「明日木曜日にムウダミーヤト・シャーム市に食糧物資が届けられることが決まった。事態がうまく進めば、(反体制武装集団が)重火器を引き渡すことになっているが、シリア軍は我々の町には進駐しないだろう」と述べた。
アブー・マーリク氏はインターネットを通じて「最終段階において、避難民が逮捕されることなく、帰宅を許され、市内の検問所が撤去されるだろう」と明言した。
また「市内にとどまる数千の市民が依然として合意をめぐって意見対立を続けている」としたうえで、「ムウダミーヤト・シャーム市の住民に食糧支援が届くことが重要だと考えている市民がいる反面、勝利するまで政権との戦いを続けたいと考えている者もいる」と述べた。
これに対し、シリア政府に近い消息筋も合意成立について認めたが、軍の撤退については言及しなかった。同消息筋によると「軍部隊はムウダミーヤト・シャーム市に進駐し、すべての重火器が引き渡されたかを確認する」という。
一方、SANA(12月25日付)によると、シャイフーニーヤ村郊外、アルバイン市、ワーディ・アイン・タルマー、ムライハ農場、スバイナ町・フーシュ・バラーシュ市間で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、サアド・ブン・イバーダ・ハズルジュー旅団メンバー、チャド人、カタール人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(12月25日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国がラッカ市の検問所で、反体制活動家の機関紙『タラア・ナー・ア・フッリーヤ』1,000部以上などを焼却した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サーフール地区、ジャバル・バドル地区、ズィヤーラ村、ナッカーリーン村に対して、軍が「樽爆弾」を投下した。
またナッカーリーン村周辺では、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などと交戦したという。
これに関して、シリア革命総合委員会は、ナッカーリーン地区での軍などの攻勢に対して、イスラーム戦線がコンクールス(対戦車ミサイル)などで応戦し、戦車1輌を破壊、兵士20人以上を殺害したと主張した。
一方、SANA(12月25日付)によると、クワイリス村、アルバイド村、ザルズール村、カッフィーン村、アアザーズ市、マーイル町、フライターン市、アウラム・クブラー町、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市(工業団地地区)、ファーフィーン村、ダイル・ハーフィル市、ハッズーン村、カースティールー街道、カフルナーハー村、マアッラト・アルティーク市、マンスーラ村、ハーン・アサル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またアレッポ市では、ジャミーリーヤ地区、スライマーニーヤ地区、サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、ジュダイダ地区などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
このほか、クッルナー・シュラカー(12月26日付)によると、アブー・アマラ中隊が、アレッポ軍事裁判所のイサーム・フサイン判事を襲撃、同判事を含む数名が負傷した。
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ダマスカス県では、SANA(12月25日付)によると、カーブーン区、カダム区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、マフディー、大隊の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(12月25日付)によると、ラスタン・ダムを襲撃しようとしたイラク・シャーム・イスラーム国を軍が撃退、戦闘員を殺傷した。
また、ヒムス市バーブ・フード地区、キースィーン村、ラスタン市、ガースィビーヤト・ナイーム村、ドゥワイル村、ムハイビル地方、ダール・カビーラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イラク・シャーム・イスラーム国の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(12月25日付)によると、スカイラビーヤ地方のタッル・バーカッルーで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(12月25日付)によると、サルミーン市近郊などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(12月25日付)によると、ダルアー市各所、ウンム・アウサジュ村、ズィムリーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
クッルナー・シュラカー(12月25日付)は、レバノン・タウヒード潮流のウィアーム・ワッハーブ代表(ドゥルーズ派)が、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長の指示に従い、クナイトラ県のドゥルーズ派の若者を武器・資金を供与し、同県の「自由シリア軍」に対抗させようとしていることで、同県のスンナ派住民とドゥルーズ派住民の対立が高まっている、と報じた。
自由パレスチナ運動のヤースィル・カシュラク代表は、自由パレスチナ通信(12月25日付)に「過去数ヶ月にわたる会合や検討の末、我々はシリアのバッシャール・アサド大統領の次期大統領選挙運動を全力で支援するための活動を開始した」と述べた。
カシュラク代表はこの支援運動を「忠誠によって忠誠に応えよ」と名付け、「シリアが、現下の困難を克服し、アラブ諸国の陰謀に勝利し、力を回復することを望む」と述べた。
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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、アレッポ県での軍による「樽爆弾」投下に関して、「深い懸念」を表明、爆撃の即時停止を呼びかけた。
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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、アレッポ県での軍による「樽爆弾」投下に関して、シリア政府に攻撃の即時停止を求めるとともに、国連安保理に包括的停戦に向けた責任ある対応をとるよう呼びかけた。
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イラクのアーリヤ・ヌサイフ国民議会議員(自由イラク・ブロック)は声明を出し、アンバール県西部でイラク・シャーム・イスラーム国の掃討作戦を続けるイラク軍・治安部隊に対し、「彼らを投獄し、送り出し国から身柄引き渡しの圧力を受けないよう、彼らを直ちに処刑しなければならない」と述べた。
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イラク国民議会のクサイ・スハイル第一副議長は声明を出し、アンバール県砂漠地帯でのイラク軍・治安部隊によるイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討作戦を支持すると発表した。
AFP, December 25, 2013、AP,December 25, 2013、FPA, December 25, 2013、al-Hayat, December 16, 2013, December 26, 2013、Iraqinews.com, December 25, 2013、Kull-na Shuraka’, December 25, 2013, December 26, 2013、Naharnet, December 25, 2013、Reuters, December 25, 2013、Rihab News, December 25, 2013、SANA, December 25, 2013、UPI, December 25, 2013などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…