イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ報道官は声明で「ゴラン高原南部のイスラエル領空を侵犯したシリア軍のスホーイ戦闘機1機に向かってパトリオット・ミサイルを発射した…。この戦闘機をレーダーで捕捉、イスラエル領空内2キロの深さまで侵犯したため、迎撃した」と発表した。
アドライ報道官はまた、「同地では、早朝数時間前から、シリア領内での戦闘の兆候が顕著となっており、シリア軍航空部隊の活動が活発になっていた…。イスラエル軍は、警戒態勢を敷いており…、1974年の停戦合意への違反への対抗措置を継続する」と付言した。
この声明と前後して、ベンヤミン・ネタニヤフ首相も声明を出し、「我が国の防空兵器が先ほど、ゴラン高原南部の領空を侵犯したシリア軍のスホーイ戦闘機1機を撃墜した」と発表した。
そのうえで、ネタニヤフ首相は、「1974年の兵力引き離し協定に対する露骨な違反」と批判、「我々は、領土であれ、領空であれ、我が国の領域に対するいかなる侵入も許さない」と強調した
イスラエル軍が「領空」と主張しているのは、1974年の兵力引き離し協定に従って設置された停戦ラインの内側だが、同地は1967年にイスラエルが占領したシリア領のゴラン高原。
『ハアレツ』(7月24日付)は、イスラエル北部の住民が、迎撃ミサイル2発の軌跡を目撃、爆発音を耳にしたと伝えた。
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また、イスラエル軍のジョナサン・コンリカス報道官は記者団に対して、撃墜された戦闘機がヒムス県中部のタイフール航空基地(T4航空基地)を離陸、イスラエル軍は同機の動きを捕捉していた、と述べた。
コンリカス報道官はまた、パイロットの消息について、「おそらくシリアのゴラン高原の南部に墜落したと思われる…。操縦士2人の消息について情報は持っていない。パラシュートが観測されたとする報道も承知していない。操縦士が見つかったかも承知していない」と述べた。
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シリア軍消息筋は、SANA(7月24日付)に対して、「イスラエル軍はヤルムーク川河畔地域を見下ろすサイダー(・ジャウラーン村)一帯にある武装テロ集団の拠点をシリア領空から爆撃していた我が軍航空機の1機を狙い、彼らを守っていることが改めて確認された」と述べた。
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スプートニク・ニュース(7月24日付)は、シリア軍消息筋の話として、撃墜されたSu-24戦闘機は、操縦士のウムラーン・マルイー大佐のみが搭乗していたが、マルイー大佐は墜落直後に死亡したと伝えた。
同消息筋によると、同機にはもう1人搭乗を予定していたが、作戦開始直前に搭乗を見合わせていたという。
そのうえで、同消息筋は「撃墜された戦闘機はシリア領であるゴラン高原上空にすら入っておらず、シリア領空で狙われた」と付言した。
AFP, July 24, 2018、ANHA, July 24, 2018、AP, July 24, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 24, 2018、Haaretz, July 24, 2018、al-Hayat, July 25, 2018、Reuters, July 24, 2018、SANA, July 24, 2018、Sputnik News, July 24, 2018、UPI, July 24, 2018などをもとに作成。
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