YPG主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会の代表団がシリア政府との交渉のため首都ダマスカスを初訪問(2018年7月27日)

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治主体であるシリア民主評議会のリヤード・ダッラール共同議長はAFP(7月27日付)に対して、「シリア政府の要請を受け、シリア民主評議会の代表団がダマスカスに初の公式訪問を行う」ことを明らかにした。

ダッラール共同議長は「我々には交渉の前提条件はない。我々は協議が前向きなものとなり、シリア北部の状況を完全なかたちで議論したい」と述べた。

代表団は、シリア民主評議会のイルハーム・アフマド前共同議長が団長を務め、ダッラール共同議長ら幹部からなるという。

al-Hayat, July 28, 2018

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ダッラール共同議長はまた『ハヤート』(7月28日付)に対して「政権との対話は最近になって、ユーフラテス・ダム(タブカ・ダム)、電力といったインフラ関連の問題をめぐって開始された…。シリア民主軍は、クルド的な性格を廃し、シリア分割を拒否し、(さまざまな)社会集団の権利を擁護したい」と述べたうえで、「協議は正しい方向に進んでいる…。シリア民主軍は、ダマスカスの中央政府が直接支配を行わない、分権的で民主的なシリアの建設が必要だとの姿勢を今も持っている」と強調した。

議題に関しては「オープンだ。福祉、政治、軍事といった問題も含まれる」と述べた。

一方、「シリア民主軍はシリア人の部隊で、万全の準備を整えている。シリア全土に対する我々の国民的義務を果たすため、スワイダー県のダーイシュ(イスラーム国)を根絶するために支援する用意がある。また、政権を含むあらゆる当事者と過激派撲滅のために協力する」と表明した。

だが、イランからの武器供与を阻止するためにシリア民主軍がシリア・イラク国境を封鎖したとの一部報道を否定、「米国とロシアの方が、イランの問題をフォローする能力がある」と付言した。

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ロシアの消息筋によると、シリア民主軍の公式訪問は、ロシアがシリア政府に働きかけることで実現したという。

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これに関連して、バスニュース(7月27日付)は、「自治政府(ロジャヴァ)の代表団はシリア政府高官と、治安問題、さらにはラッカ、ダイル・ザウルの状況について議論する」としたうえで、「民主統一党(PYD)の代表団は、米国の要請のもと、トルコに対する米国の圧力を緩和するため、シリア政府に複数の地域の自治を新たに移譲するだろう」と伝えた。

AFP, July 27, 2018、ANHA, July 27, 2018、AP, July 27, 2018、Basnews, July 27, 2018、al-Durar al-Shamiya, July 27, 2018、al-Hayat, July 28, 2018、Reuters, July 27, 2018、SANA, July 27, 2018、UPI, July 27, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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