国連安保理で、シリア情勢、とりわけシリア軍による攻撃が間近に迫っているとされるイドリブ県情勢への対応をめぐる会合が開かれた。
会合はロシアの呼びかけによるもの。
会合では、米国のケリー・エッケルズ=クリー国連経済社会理事会代表が、イドリブ県で開始されようとしているシリア軍の攻撃とロシアによる支援に懸念を表明、これを非難した。
また、シリア政府が国民に対して再び化学兵器を使用しようとしていると指摘、英仏とともにこうした攻撃に対しては適切な対抗措置を講じると脅迫した。
フランスのアンヌ・ゲゲン国連大使が、市民を殺戮し、学校や病院を破壊するシリア軍の軍事作戦を止めるべきだと主張、国際社会に対してシリア政府に緊張を悪化させないよう迫るべきだと訴えた。
ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、ロシアのイニシアチブのもとに、シリア政府の支配下に復帰した地域で難民、避難民の帰還が進んでいると強調する一方、「UNHCR・・・。はシリア人の帰還を支援するのではなく、なぜホワイト・ヘルメットを支援している」と批判した。
また、米国が違法に占領下に置いているシリア南部に航空基地の建設を進め、同地をテロリスト数百人が拠点・避難所としていると指摘、これを避難しない国際社会の二重基準を非難し、「具体的支援」を改めて求めた。
一方、ロシア国防省がシリア軍による化学兵器使用を隠蔽しようとしているとの英国国連代表大使の指摘について、「滑稽」だと反論、「良識ある人々は三カ国(米英仏)の報復の危険があるような無目的の軍事手段を使わない」と述べ、シリア軍を擁護、欧米諸国が、シリアのアル=カーイダであるヌスラ戦線(シャーム解放機構)などのテロ組織を支援していると逆に批判した。
8月の議長国である英国のカレン・ピース国連代表は、「現状のままでは…シリアのための「マーシャル・プラン」はない」と述べ、西側諸国によるシリア復興支援に消極的な姿勢を示した。
また、ホワイト・ヘルメットと英国が化学兵器攻撃を捏造しようとしているロシアの指摘をプロパガンダだと非難した。
シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、シリア政府がUNOCHAによる人道支援に協力していると主張する一方、「この部屋の巨象」(西側諸国)が、テロ組織に対する戦争における自らの責任を認めようとせず、その代わりにホワイト・ヘルメットを駆使して新たな化学兵器攻撃を捏造し、シリアに対する敵対政策を継続しようとしている、と批判した。
AFP, August 29, 2018、ANHA, August 29, 2018、AP, August 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, August 29, 2018、al-Hayat, August 31, 2018、Reuters, August 29, 2018、SANA, August 29, 2018、UPI, August 29, 2018などをもとに作成。
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