『オマーン』紙はアサド大統領との単独インタビューの記事を掲載「我々はアイデンティティ危機にある…。単一のアイデンティティ、単一の帰属を持たねばならない」(2018年12月9日)

オマーンの日刊紙『オマーン』(12月9日付)はシリアのバッシャール・アサド大統領との単独インタビューの記事(http://www.omandaily.om/651815/)を掲載した。

インタビューはサーリム・ビン・ハマド・ジュムフーリー記者が最近になってシリアの首都ダマスカスで行ったもので、アサド大統領は、オマーンがシリアでの危機発生後も外交関係を維持したことを高く評価するとともに、今後のシリアのありようをめぐって、多様性に富んだシリア社会の連帯の重要性を強調、国土回復への意欲を示した。

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

’Uman, December 9, 2018

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「オマーンの政治的関与を特定の時期に限ったり、アラブ世界、中東地域、そして世界で起きている事件の一部だけに限って評価することはできない…。だが、イランで革命が起こり、80年代のイラクとの戦争が発生した際も、オマーンはイラン政府と断交せず、戦後も国交を維持している…。オマーンはまた、アラブ諸国、域内諸国、諸外国とは異なり、7年にわたる一連の事件のなかでも、シリアと断交しなかった。オマーンがシリアで起きていること、そしてその世界戦争としての側面を深く理解しているからだ…。オマーンはそれゆえ代わることのない確固たる関与をしている」。

「(イドリブ県の情勢に関して)シリア政府の支配下にある領土に関して、シリア政府は明確な姿勢を示している。それは、戦争を通じてであれ、和平を通じてであれ、その支配を回復するというものだ…。我々は今、政治的取り組みが行われるよう機会を与えている。この取り組みは、我々が軍事行動に訴えようとしていたのを受けて行われるようになったもので、我々は作戦に向けた準備を中止し…、非武装地帯が設置された…。(非武装地帯設置にかかる)合意は武装集団支援者(トルコ)にとって最後のカードだ…。これらの領土は必然的に国家に復帰するだろう…。我々はシリアの領土がいかなる組織のため、あるいはいかなる名称のもとに分割されることを受け入れない」。

「戦争は情報戦の性格が強かった…。シリアに対する戦争は20年前に始まったものだが、2011年に始まった事件は以前とは異なっていた。1967年から、いわゆるSNSが社会に浸透を始め、それが2000年以降ピークを迎え、我々アラブ人に対して悪用されるようになり、印象操作が行われ、先入観が作り出されていった」。

「多様性に富んだ社会の連帯が、シリアを守り、シリア軍の努力を支えた…。もちろんいくつかの出来事への取り組みに関して亀裂はあった。一部の当事者がこれを利用して、デモが戦闘へと発展した…。武装集団を資金、メディアといった面で支援した当事者が多くの人やモノを動員し、(シリア社会の分断という)目的を達成しようとした…。しかし我々は、こうした試みによって生じた結果を活かして、今後社会を強化していくだろう…。シリア人は祖国に、かつてと同じ、あるいはかつてよりも良い生活を取り戻す能力がある」。

「我々は後ろを向くのではなく、未来に目を向けることに集中したい…。我々は、この地域においてシリアが果たしてきた役割を回復し、この時代の基準に基づいて人間開発をしたい。また、我々の価値観を高めるような世界の成功例も活かしたい。我々には今後に関して、発想力に富んだ意義のあるヴィジョンがある…。今のシリアは事件発生以前のシリアではない。7年間の出来事を通じてシリアが経験したことのなかには良い面もあれば、悪い面もある…。そのなかには、活かすことや立脚することができるものがあり、今後の発展に資するものとなろう」。

「私はアイデンティティ危機があると見ている。これはアラブ民族主義のなかで取引されるようになっている悪しき武器のようなものだ。なぜなら、それは(放っておけば)、ベルベル人、クルド人のアイデンティティのようになってしまうからだ。我々は諸々の危機を通じて創り出されたさまざまなアイデンティティを知っている。アラブ性と、シリア正教徒やクルド人のアイデンティティはどのような関係にあったのか? もちろん、こうしたアイデンティティは存在していた。アラビア語はシリア語から発展し、今のようなになった。アラブ人、世俗主義者、イスラーム教徒などについて語られる際、危機が創り出したさまざまなアイデンティティがあることに気づくが、ほとんどのアラブ諸国でそうしたアイデンティティの濫用、そして腐敗が見て取れる。我々は単一のアイデンティティ、単一の帰属を持たねばならない…。こうした状況に取り組まねば、この先の戦争はより深刻なものになる。シリアでの戦争は通過点に過ぎない。問題は個々の紛争よりも根深い」。

「危機を煽ってきた国外の要因がなくなれば、我々はこの戦争を数ヶ月で終わらせることができる。我々は国内情勢については楽観的だ。なぜなら、多くのシリア人が国家とともにあるからだ。こうした状況は、ダルアー県、ハマー県郊外、ヒムス県郊外、アレッポ市東部といった地域の解放など国土回復を開始するのに資するものだった…。我々がダイル・ザウル市を解放したとき、外国の干渉が本格化し、これを受けて一部の武装集団が一部の地域を手にした。しかし、こうした発想は失敗してきた…。米国はダイル・ザウル市が解放される寸前に、介入し、同地の山岳地帯を爆撃することを余儀なくされた…。イドリブ解放が迫るなか、武装集団の支援者たちには…シリアに留まる選択肢は残されておらず…、シリア領内での居場所を失うことになるだろう」。

AFP, December 9, 2018、ANHA, December 9, 2018、AP, December 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 9, 2018、al-Hayat, December 10, 2018、Reuters, December 9, 2018、SANA, December 9, 2018、’Uman, December 9, 2018、UPI, December 9, 2018などをもとに作成。

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