ロシア国防省は声明を出し、ヨルダン北東部のルクバーン・キャンプで「強制的に引き留められている」難民を自発的な帰国を実現するため、シリア政府は、ロシアとの連携のもとに、2019年3月1日付で、「人道移送団」を結成すると発表した。
また、キャンプ北に位置するヒムス県南東部のタンフ国境通行所一帯地域(55地帯)を違法に占領する米国に対して、反体制派に難民を強制的に引き留めるのを止めさせ、55キロ地帯に「人道移送団」が通行可能な状況を作り出すことで、難民帰還を促すよう求めた。
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ロシア国防省は声明のなかで、ロシアの当事者和解調整センター(ラタキア県フマイミーム航空基地)はシリア政府とともに、2019年2月19日にルクバーン・キャンプから帰国する難民を受け入れるため、ヒムス県のジャバル・グラーブ(グラーブ山)に通行所を開設したと改めて強調、ルクバーン・キャンプの難民帰国に向けた取り組みが、国連、ヨルダンの支持を受けており、UNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)はさらなる帰還に向けた包括的な計画を作成中であることを明らかにした。
これに対して、ルクバーン・キャンプや55キロ地帯で米国の支援を受けて活動を続ける革命特殊任務軍(Mahavir as-Saura)は、帰国を望む難民を強制的に引き留め、ルクバーン・キャンプを去ろうとする難民に法外な金銭の支払いを要求していると批判、また、難民の状況は困窮し、さまざまな病弊に苦しんでおり、「食糧奴隷」と化していると懸念を表明した。
しかし、米国はこうした難民の惨状がシリアとロシアの責任だと主張し、両国が難民への人道支援を妨害しているとの誤った情報を国際社会に発信していると批判した。
声明によると、ルクバーン・キャンプへの2度目となる人道支援搬入に際して、国連とシリア赤新月社が難民にインタビューに行ったところ、95%がキャンプを去ることを、83%が避難前に居住していた地域に戻ることを望んでいると回答、このうちシリア政府支配地域への帰還を望むのは80%、反体制派支配地域は3%は、「決めていない」と答えたのは17%だったという。
また、難民が帰国を望んでいる地域のうち、アレッポ市ハーリディーヤ地区(アレッポ県)、ヒムス市アマーラ地区(ヒムス県)、マヒーン町(ヒムス県)、カルヤタイン市、ダマスカス郊外県、ラッカ県は受け入れ態勢が整っており、シリア政府は帰国者の身の安全を保証、帰国にかかる書類の再発行の手続きを簡略化しているという。
なお、2019年3月1日付で結成される「人道移送団」は、上記の地域への難民の帰還を実現するためのもので、55キロ地帯の通過は、国連の協力のもとに行われるという。
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SANA(2月27日付)によると、ヨルダンで避難生活を送っていたシリア難民数十人がダルアー県のナスィーブ国境通行所を経由して、シリアに帰還したと伝え、写真や映像を公開した。
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