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SANA(5月23日付)は、EUによる追加制裁の決定に関して、公式筋が「シリア・アラブ共和国の名のもとに」、「目に余る内政干渉…、その治安を乱し、現在および未来における人民の決定に覇権を及ぼそうとしている」と非難した。
またこの決定がサイクス・ピコ合意後にイスラエル国家を建設した「古びた植民地主義」が果たした約束を想起させるとしたうえで、シリアに対する「計略」、「イスラエルのユダヤ性を強化する前提」と断じた。
そのうえで「改革プログラムの貫徹の意思」と「国民的決定の独自性、完全なる主権、国民の治安および人民の未来への熱意を確固として」守る姿勢を強調、制裁への対抗措置が「犠牲のいかんにかかわらず、シリアを国民的・民族的方法から逸脱するものではない」と主張した。
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ワリード・ムアッリム外務大臣兼在外居住者担当大臣は、シリア・アラブ・テレビ(5月23日付)とのインタビューで、「EUによる追加制裁の決定が、シリアの国益を損ねるだけでなく、欧州の国益を損ねるだろう」と述べた。
また「今日シリアが(欧州を)必要としているのと同様、欧州がシリアを必要としている」と付言、欧州が「経済制裁を通じて、自らをシリア国民と対立させている」と非難した。
さらに「煽動を目的としているような制裁発動は間違っている」と指弾し、EUの決定が「古びた植民地主義国であるフランスと英国の積極的努力の末になされ、バルフォア宣言以来これらの国が果たしてきた植民地主義的役割を思い起こさせる」と述べた。
そのうえで「現在起きていることで得をするのはイスラエルではないのか?」と問いかけ、「イスラエルが和平実現を求める気運から身を引き、入植政策を継続し、パレスチナの土地を侵略しているのに、世界では誰もイスラエルを非難していない」と主張した。
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クッルナー・シュラカー(5月23日付)は、23日に予定されていた「シリア殉教者追悼支持」組織委員会による追悼デモは、内務省の開催許可を得たが、安全上の理由で中止を通達されたと報じた。
アフバール・シャルク(5月23日付)によると、ベイルート県ハムラー地区で「シリア革命殉教者追悼支持」を求めるレバノン人とシリア人のデモ行進に、アサド大統領を支持するシリア人、レバノン人が対抗、小競り合いとなった。
いずれのグループも数十人の若者からなっていた。
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ワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は、党機関紙『アンバー』(5月23日付)で、「シリアは自国だけでなく、レバノンや地域全体に影響をもたらすような歴史的段階に来ている」と述べ、アサド大統領に改革実施を呼びかけた。
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北部県トリポリ市のサラフィー主義シャイフ、イスラーム・シャッハール氏がシリア国民との連帯を宣言した。
アフバール・シャルク(5月23日付)が伝えた。
EU外相理事会はブリュッセルの会合で、アサド大統領を含む10人の高官に制裁(資産の凍結、入国査証取得の禁止)を拡大することを決定・発表、またEU投資銀行に対して「現段階でシリアへの投資事業に合意しないよう」求めた。
声明で外相理事会は「最上層部における高官(アサド大統領)をさらなる対象とすることで、この制裁措置を強化する決定を下した」と述べた。
そのうえで「EUは、シリアの指導部が現状路線の転換を選択しない現下において、さらなる措置を延滞なく実施することを決定した」と続けた。
制裁対象となるアサド大統領とシリアの高官9人の24日にEUの官報で発表される。
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EU外相理事会はまた別に声明で、アサド政権に、国連の人権調査団や人権団体の入国許可、政治犯の即時釈放、すべての分野を包摂する国民対話の実施、真の政治改革の実施を「具体的な行程に基づき延滞なく」行うよう呼びかけた。
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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領らへの制裁拡大が「正しい判断」だと述べ、「シリアでの弾圧は続いており、重要なのは平和的に行動する権利、政治犯釈放、弾圧によらない改革路線が見られるようになることだ」との見解を示した。
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ヒラリー・クリントン米国務長官は、国外相との共同記者会見で約千人がシリアで殺害されたと主張、「この蛮行は停止されねばならず、シリア国民の合法的な希望は尊重されねばならない」と述べた。
また「ヘイグ外務大臣と私は、アサド政権に宛てた書簡に関して、完全に意見の一致を見ている…。殺戮、拷問、逮捕を止め、すべての政治犯と抗議行動参加者を釈放せよ。包括的で信頼できる民主的変革プロセスのため、対応すべき要求に応えることから始めよ」と付け加えた。
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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、外相理事会に先立って、シリアの体制が「真の包括的政治改革」を実施する望みがあるとの見方を示し、「(シリア)政府は今行動せねばならない」と述べた。
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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は「改革の道を進めば」、アサド大統領がこの制裁を回避できると述べた。
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オランダのウリ・ローゼンタール外務大臣は、シリアで「抜本的変革」が行われるため、圧力を継続することが重要と述べた。
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ヨルダン国王のアブドゥッラー2世は、NBC(5月23日付)のインタビューに応じ、そのなかでアサド大統領に国民との対話を行うよう呼びかけた。
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ヨルダンの首都アンマンにあるシリア大使館前で、ヨルダン人青年組織のメンバーら数十人がデモを行い、抗議デモに対するシリア政府の対応を非難した。
『ハヤート』(5月23日付)によると、デモはヨルダン人のみによって行われたという。
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ヨルダン・イスラーム行動戦線は声明を出し、シリアでのアサド政権によるデモ弾圧を「犯罪」と非難した。
AFP, May 23, 2011、Akhbar, al-Sharq, May 23, 2011、May 25, 2011、al-Hayat, May 24, 2011 、Kull-na Shuraka’, May 23, 2011、Naharnet, May 23, 2011、Reuters, May 23, 2011、SANA, May 23, 2011などをもとに作成。
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