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シリア軍を離反した士官・兵士がトルコで「声明第1号」を出し、「自由将校運動」を結成したと発表した。
「自由将校運動司令評議会」の名で出された声明では、国内外の反体制勢力との協調、統合を通じて、「平和的な政権移譲」を目出すと表明する一方、国連安保理に対して民間人保護のための飛行禁止空域の設定を呼びかけた。
またフサイン・ハルムーシュ大佐を報道官に任命すると発表した。
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3月半ばに反体制抗議行動を開始した活動家のグループ(の一つ)と目されるシリア革命調整連合は声明を出し、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に疑義を呈した。
声明で調整連合は「誰一人として、殉教者の血や逮捕者の痛みを犠牲にして、体制に正統性を付与してはならない」と主張、「シリアの街頭で行動を続ける」と強調した。
また「革命家のなかに会合を望む者がいるのなら、逮捕、拷問、あるいは粛清を免れるために行うべき治安・予防措置が数十とある…。街頭活動に身を置いていると主張する会合の開催の仕方が疑問を呈されるのは当然のことだ。我々は(「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」開催許可を通じて)シリア政府が…対話に基づく文明的で合法的な存在だとのイメージを作り出そうとしていると見ている。政府にはそうした資質がまったくないにもかかわらず、である」と続けた。
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人権活動家のアンワル・ブンニー氏は、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、「大会は二つの真実を確立することに成功した。第1に、すべてのシリア人が祖国において合法的かつ公に集う権利があるということ。そして第2にすべてのシリア人が、体制に反するものであったとしても、逮捕や脅迫を受けずに自らの意見を明確かつ率直に表明する権利があるということ」と述べた。
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米国などで活動する在外反体制活動家の使節団(シリア変革大会使節団)が、ロシアを訪問し、ミハイル・マルゲロフ・アフリカ担当大統領特別代表兼ロシア連邦議会国際委員会議長と会談、シリア情勢について協議した。
使節団は、ラドワーン・ズィヤーダ氏、ムルヒム・ダルービー氏、ナジーブ・ガドバーン氏、ラドワーン・バーディーニー氏、サリーム・ムンイム氏からなっている。
反体制活動家は会談で、ロシア政府に「歴史の正しい側につく」よう求め、国連安保理でのシリア非難決議採択を拒否し続けるロシア政府の姿勢が、アサド政権に「間違ったシグナルを与える」とのメッセージを伝えた。
これに対してマルゲロフ特別代表は、「ロシアにとってシリア国民こそが友人である」と強調、「指導者は現れては消える」と述べるとともに、シリアでの「あらゆる形態の暴力」の停止と政治的交渉の実施を支持するとの立場を示した。
一方、使節団はリア・ノーヴォスチ(6月28日付)の取材に対し、27日にダマスカスで開催された反体制活動家の「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」大会に関して、「政権と集う者は我々を代表していない」と批判した。
ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官はスカイ・ニュース(6月28日付)に、「我々は暴力を非難しているが、反体制勢力も軍・治安部隊への武装集団の暴力を非難しなければならない」と述べるとともに、政府が平和的デモを問題視しておらず、民主化に向けた改革に向けた準備はできている、と強調した。
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SANA(6月28日付)によると、ダマスカス県ユースフ・アズム広場、ザバダーニー市(ダマスカス郊外県)、ダルアー市、ハサカ市、アフリーン市(アレッポ県)で、アサド大統領の包括的改革プログラムを支持するデモが行われ、各会場には数千人の市民が集まった。
またタルトゥース市では、デモ弾圧の任務中に殺害された治安部隊隊員の遺族が座り込みデモを行い、国民統合を訴えた。
シリア人権監視団によると、ヒムス県、ハマー県、イドリブ県、ラタキア県、ダイル・ザウル県などの複数の都市で、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に抗議するデモが行われ、数千人が参加し、アサド政権との対話に拒否の姿勢を示し、アサド政権の打倒が主唱された。
ヒムス市では数千人が、ハマー市では7.000人から10,000人が、ダイル・ザウル市では5,000人から7,000人がデモに参加したという。
またラタキア県ではジャブラ市、ラタキア市でデモが行われ、ダマスカス県のカーブーン区、バルザ区でも当局との対話拒否の行進が行われたという。
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これに対して、治安当局はダマスカス郊外県、イドリブ県、そしてトルコ国境の村々で数十人を逮捕、軍はイドリブ県の対トルコ国境地帯の軍備を増強し、数百人の兵士をさらに展開させた。
米国務省は、「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、「正しい方向への一歩」だと述べつつ、「さらなる実行が求められる」との留保を設けた。
そのうえで、多くの反体制活動家が在シリア米大使館と連絡をとっていることを明らかにした。
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英外務省報道官は「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して、『ハヤート』(6月29日付)に対して「慎重ながらも歓迎する」と述べた。
そして「集会の自由、表現の自由は、あらゆる政治的対話の基礎をなす。我々はシリアの当局にこれらの権利を尊重するよう強く求めてきた」と続けた。
しかし、英国外務省は、抗議行動を支援した駐英シリア人活動家がシリア当局の脅迫を受けたとの報道を受けて、サーミー・ハイミー駐英シリア大使を呼び出し、抗議を行った。
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フランスは「民主的市民国家のもと、シリアはみんなのもの」に関して「前向きな一歩」と評し、「国民対話の出発点」の設定により、危機解決の余地が生まれることへの期待感を表明した。
AFP, June 28, 2011、Akhbar al-Sharq, June 28, 2011、al-Hayat, June 29, 2011、Kull-na Shuraka’, June 28, 2011、Naharnet, June 28, 2011、Reuters,
June 28, 2011、SANA, June 28, 2011、Sky News, June 28, 2011などをもとに作成。
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