ロシア軍がシャーム解放機構支配下のハマー県北部にある病院を爆撃、シリア軍もハマー県、イドリブ県のシャーム解放機構支配地域への砲撃を激化(2019年4月29日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がラターミナ町にある病院を爆撃、住民3人が死亡、10人が負傷した。

この爆撃で、病院の施設も被害を受け、入院患者はイドリブ県カフルナブル市の病院に移送された。

ロシア軍戦闘機は、このほかシャフシャブー山(イドリブ県)に近いクーラ村を爆撃した。

また、シリア軍も、カルアト・マディーク町、シャフシャブー山のトルコ軍監視所に近いシール・マガール村にある避難民キャンプ、サフリーヤ村を砲撃した。

さらに、カルアト・マディーク町一帯では、シリア軍とシャーム解放機構が交戦、シリア軍兵士8人、シャーム解放機構の戦闘員3人が死亡した。

一方、SANA(4月29日付)によると、シリア軍はカルカート村とカルアト・マディーク町を結ぶ街道を移動するシャーム解放機構の車輌を攻撃した。

シリア軍はまた、ラターミナ町、ハスラーヤー村からシリア政府支配地域に潜入しようとした反体制武装集団を撃退した。

これに対し、反体制武装集団はシリア政府支配下のスカイラビーヤ市を砲撃し、民間などに被害が出たという。

こうしたなか、ドゥラル・シャーミーヤ(4月29日付)が複数の活動家の情報として伝えたところによると、シリア政府は県北部のブライディージュ村の住民に退去を要請した。

退去要請の理由は不明だが、ロシア政府がシリア政府にこれを指示したという。

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イドリブ県では、SANA(4月29日付)によると、シリア軍がバシーリーヤ村、フバイト村一帯にあるシャーム解放機構の拠点を砲撃した。

こうしたなか、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県、アレッポ県西部、ハマー県北部で活動を続ける複数の地元評議会が相次いで声明を出し、同地でのロシア軍によるパトロール活動を拒否する意思を示した。

声明を出したのは、イドリブ県サラーキブ市、アレッポ県、ハマー県カフルズィーター市、ラトミーン村の地元評議会。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(アレッポ県1件、ラタキア県1件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を23件(ハマー県11件、イドリブ県7件、アレッポ県4件、ラタキア県1件)確認した。

AFP, April 29, 2019、ANHA, April 29, 2019、AP, April 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2019、al-Hayat, April 30, 2019、Reuters, April 29, 2019、SANA, April 29, 2019、UPI, April 29, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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