シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから1ヶ月目となる5月29日も、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が激しく交戦した。
シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より61人(民間人18人、シリア軍兵士0人、反体制武装集団戦闘員43人)増えて925人となった。
うち、303人が民間人(女性63人、子供72人を含む)、622人がシリア軍兵士(269人)および反体制武装集団戦闘員(353人)。
シリア軍戦闘機による爆撃回数は80回、投下した「樽爆弾」の数は46発を記録、ロシア軍戦闘機も15回の爆撃を行った。
また、シリア軍地上部隊が発射した砲弾は565発以上にのぼった。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が戦闘機でアリーハー市、シャイフ・ムスタファー村、ハーン・シャイフーン市、カンスフラ村、スフーフン村、アービディーン村、サルジャ村、カルサア村、マアッルズィーター村、ムサイビーン村一帯、ウライニバ村、タルナバ村一帯、ナキール村、カフルサジュナ村、マアッラト・ハルマ村、ラカーヤー村、ハッサーナ村、カッサービーヤ村に爆撃を実施するとともに、ヘリコプターでフバイト村、バーラ村、アービディーン村、ナキール村、ウライニバ村、マアッラト・ハルマ村一帯、カフルズィーター市に「樽爆弾」を投下した。
またシリア軍は地上部隊が、県南部各所を砲撃した。
ロシア軍もハーン・シャイフーン市、カフルサジュナ村、フバイト村一帯を爆撃した。
ドゥラル・シャーミーヤ(5月29日付)によると、サルジャ村に対するシリア軍の爆撃で女性5人、子供1人を含む民間人7人が死亡、バーラ村では「樽爆弾」によって子供2人を含む民間人3人が死亡した。
またフバイト村に対する爆撃で、ロシア軍は燃料気化爆弾を使用し、民間人3人が死亡したという。
一方、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(5月29日付)によると、シャーム解放機構の治安部隊が「アサド政権」のために活動する一家3人を拘束したと伝えた。
こうしたなか、ドゥラル・シャーミーヤ(5月30日付)によると、人民抵抗連隊が、反体制派支配地域の境界地帯でシリア軍の進軍に備えるため、「汝のくにを防御せよ」と銘打った作戦を開始したと発表した。
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ハマー県では、SANA(5月29日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のカムハーナ町、シャトハ町、サルハブ市、スカイラビーヤ市を砲撃し、女性1人が死亡、7人が負傷した。
これに対して、シリア軍はイドリブ県のカフルサジュナ村、バーラ村一帯から県北部に進入・展開したシャーム解放機構に対して砲撃を加えた。
一方、シリア人権監視団によると、シリア軍は戦闘機でクマイナース村に爆撃を実施、地上部隊が県北部各所を砲撃した。
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ラタキア県では、ドゥラル・シャーミーヤ(5月29日付)によると、トルコの支援を受ける国民火砲戦線がカルア山にあるシリア軍拠点複数カ所を襲撃し、兵士多数を殺傷した。
一方、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が県北部各所を砲撃した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が、県西部各所を砲撃した。
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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(ラタキア県10件、ハマー県1件)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を4件(ハマー県2件、アレッポ県1件、イドリブ県1件)確認した。
AFP, May 29, 2019、ANHA, May 29, 2019、AP, May 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, May 29, 2019、May 30, 2019、al-Hayat, May 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, May 29, 2019、Reuters, May 29, 2019、SANA, May 29, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, May 29, 2019、SOHR, May 29, 2019、UPI, May 29, 2019などをもとに作成。
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