ダマスカス市で数万人の市民が巨大なシリア国旗を掲げ、アサド大統領とシリアを支持するシュプレヒコールを連呼(2011年6月15日)

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シリア政府の動き

アサド大統領は、オマーンのユースフ・ビン・アラウィー外務大臣と会談し、シリア情勢などについて協議した。

大統領府声明によると、会談でアサド大統領は、「武装集団」によるシリア国内の殺戮行為や治安への悪影響を説明する一方、自らが主導する一連の改革によって「シリア国民の危機脱却能力への信頼はより深まっている」と述べた。

ビン・アラウィー外務大臣は、アサド大統領に「イエメン、リビアなど地域情勢の近況に関するカーブース・ビン・サイード国王の書簡」を手渡すとともに、アサド政権による改革への全面支援を表明するとともに、「シリアの安定を標的とし、国民を脅かす試みに反対し、シリアを支持する」と述べた。

会談にはワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣も同席した。

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ハサン・トゥルクマーニー副大統領補は、アブドゥルファッターフ・アムーラ外務在外居住者省次官とともにトルコのアンカラを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談した。

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ダマスカス県では、数万人の市民が、マッザ・オートストラード地区からダマスカス中心のウマウィーイーン広場に向かって巨大なシリア国旗を広げた。

SANA(6月15日付)によると、この巨大な旗は、ダマスカス以外の都市でも広げられたのち、最終的にはカシオン山に飾られるという。

旗の全長は2,300メートル、幅は18メートルで、26人の男女からなる若者たちがフェイスブック上に立ち上げた「我々と最大のシリア国旗を掲げよう、手に手をとって、明日は我々のもの」と名づけられたキャンペーンでの提案を受けるかたちで作成された。

キャンペーンを組織した女性の一人マイス・アリーさんは『ハヤート』(6月15日付)に対して、同キャンペーンの目的が「シリアの安定を見出そうとするすべての者たちに対抗し、私たちが外国の介入を断固拒否するという姿勢を明確に表明することにある…。偉大な祖国のための小さな発想です」と述べた。

生地はアレッポ県からダマスカス郊外県ヤブルード市に運ばれ、そこで旗として縫い合わされたという。

またアリーさんは、あらゆるシリア人が「一体となって、私たちの国に対するすべての陰謀に立ち向かう意思を確認するために参加した」と述べた。

巨大国旗掲揚の祝典は、シリア国家斉唱をもって始まり、シリア国旗の色(赤、白、黒、緑)の風船がシリア首都の空に放たれ、参加者はアサド大統領の写真、シリア国旗、シリアの地図、政治的なスローガンがプリントされたシャツを身につけ、小さな国旗を振り、顔に国旗の柄を描いて行進した。

シリア・アラブ・テレビ(6月15日付)は、会場とその上空に複数のカメラを設置し、祝典を報じた。

また地元ラジオ局も生放送で、参加者や他の都市からの来賓へのインタビューを放送した。

インタビューに答えた一人は、アラビア語とロシア語でモスクワに向けて、ダマスカスを支持するロシアの立場への謝辞を述べ、マッザ・オートストラードの通り沿いに集まる人々の喝采を浴びる一方、参加者は、「アッラー、シリア、バッシャールのみ」、「国民はバッシャール・アサドを望む」、「アッラーが軍を祝福せんことを、アッラーが軍を祝福せんことを」、(暴徒の鎮圧は)「終わった、終わった」など、アサド大統領とシリアを支持するシュプレヒコールを連呼した。

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

SANA, June 15, 2011

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SANA(6月15日付)と、軍によるジスル・シュグール市完全制圧を受け、市外に避難していた住民が帰宅している、と報じた。

国内の暴力

SANA(6月15日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市郊外に、「反体制テロ集団」によって殺害さあれた軍・治安部隊兵士の遺体が遺棄された新たな集団墓地が発見されたと報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は「シリアをめぐる国連安保理決議の採択をロシアが拒否する立場を決めた」と述べた。

ラブロフ外務大臣は、カザフスタンの首都アスタナで記者団に対して「シリア情勢は一部の人々が考えているように簡単には収まらない。シリアでは多数の武装集団によって複数の町や居住地区が支配され、シリア軍は現在これらの町から武装集団を掃討するための任務についている」と述べた。

そのうえで「シリアで多数の武装破壊分子がおり、シリアの治安武装部隊が平和的デモ参加者と対峙しているというような事態をイメージすべきではない」とし、「こうした武装反乱を黙認する国など世界中どこにもない」と指摘した。

ラブロフ外務大臣はモスクワが「アサド大統領が宣言した改革が実行される機会を与えるべく、あらゆる破壊行為の停止が不可欠だ」との立場を確認し、「反体制勢力や、政府部隊・施設への武力攻撃を行う人々は対話の呼びかけに応えるか、発表された改革についての議論を求めるあらゆる提案を拒否し続けるしかない」と指摘した。

また「武装集団が行う暴力・破壊行為」を非難し、「破壊分子は自らの行動の責任を負うことを悟るべきだ」と付言した。

SANA(6月15日付)が伝えた。

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アフバール・シャルク(6月15日付)は、トルコ赤新月社が、ハタイ県のヤイラダーウ村、アルトゥノズ村で、シリア人避難民のための新たなキャンプの建設を開始したと報じた。

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AFP(6月15日付)は、ヨルダン高官の話として、4月以降閉鎖されていたラムサー国境通行所(ダルアー県)を、シリア当局が部分再開したと報じた。

AFP, June 15, 2011、Akhbar al-Sharq, June 15, 2011、al-Hayat, June 16, 2011、Kull-na Shuraka’, June 15, 2011、Reuters, June 15, 2011、SANA,
June 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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