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クッルナー・シュラカー(6月8日付)は、6日から開催されているアサド大統領とクルド民族主義政党12組織の代表との会談に関して、クルド調整委員会を名乗るシリア・クルド・アーザーディー党、シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド・ムスタクバル潮流の3党が声明を出し、アサド大統領との会談を辞退した、と報じた。
各地で軍・治安部隊の弾圧が続くなかで、政権と対話できないというのが理由。
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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官はイドリブ県ジスル・シュグール市での戦闘に関して声明を出し、アサド政権に対する抗議運動が「平和的」だと主張する一方、被害の原因を「武装集団」の暴力に帰せようとするアサド政権の姿勢を「さらなる暴力・殺戮行為を正当化する」口実だと非難した。
声明で同胞団は「我々は…シリア革命が平和的で、国民主義的であることを強調する。ジスル・シュグール地域で市民を脅迫する武装集団が存在するというシリア内務大臣の声明の言説のなかに、罪のない市民へのさらなる弾圧・殺戮行為を正当化する口実があると見ている」と主張している。
また「我らが祖国の民に内務大臣の声明に煽られず…いかなる状況下でも自らの革命を平和的かつ国民主義的に保つよう」呼びかけ、「愛国的な血は汚れなきものであり…、シリア国内における唯一の殺戮者が、分裂と内紛に喘ぐ治安機関の悪党であることを強調する…。我々は国民の平和がレッドラインで、いかなる状況であれ、それに抵触することは誰にも許されないと考える。いかなる勢力、いかなる名目であれ、祖国を内戦に引き込もうとする無責任なすべての呼びかけを非難する」と強調した。
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フェイスブックのグループ「シリア革命2011」は、6月7日を「ナフダの火曜日」と銘打って、反体制抗議行動を呼びかけた。
西側諸国メディアは、ラーミヤー・シャックール駐フランス・シリア大使が、フランス24に宛てた声明のなかで、シリア国内での「一連の暴力」に抗議して辞意を表明し、「民主主義と自由をめざす国民の要求の正当性」を承認すると発表したと一斉に報じた
シャックール大使は声明のなかで、「政府の反応は適切ではない。一連の暴力を支持できない…。デモ参加者の殺害が無視されており、多くの家族が痛みに耐えて暮らしている…。アサド大統領の私設秘書に辞意を伝え、さらなる民主主義と自由に向けた国民の要求の正当性を認め…、私の辞意は直ちに受理されるだろう」と述べた。
しかしBBC(6月7日付)は、シャックール大使が辞意表明に関する報道を否定したと報じた。
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SANA(6月7日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市で7日に殺害された警官の葬儀がダマスカス県の警察病院で行われた。
AFP(6月7日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市での6日の戦闘で治安要員・警官120人が殺害されたとするSANAなどの報道に関して、目撃者らの情報として、「戦闘は軍の部隊と脱走兵との間で発生」し、住民や活動家らが「市内での治安機関本部での反乱」で殺害されたと報じた。
同通信社によると、戦闘の発端となった兵士らの離反は、「自由の子供たちの金曜日」(5月31日)で犠牲者の葬儀に対するさらなる弾圧(30人が死亡)が行われた6月1日に表面化したという。
しかし、ロイター通信(6月7日付)は複数の消息筋の話として「治安部隊脱走の話は真実ではない。警察官や治安要員は破壊行為が行われている最中に武装集団の手によって殺害され、銃弾に曝された。地域住民のなかに武装している者がいる…。同地域で起きているのは武装反乱だ」と伝えた。
またSANA(6月7日付)は、「ジスル・シュグール周辺の村々の住民は武装集団から逃れるため村を離れた。彼が話す残虐行為、犯罪行為は筆舌に尽くしがたく、住民は軍・治安部隊による断固たる介入とこれらの組織への厳罰を求めている」と伝えた。
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アフバール・シャルク(6月7日付)は、ダマスカス県ヤルムーク区で親シリアのパレスチナ組織に殺害されたと見られるパレスチナ人の遺体11体が発見されたと報じた。
英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領が「正統性を失い、改革するか退任せねばならない」と述べた。
ヘイグ外務大臣はまた、アサド政権による弾圧が続いた場合を想定して、英国がEUの加盟国とともにさらなる制裁を科す可能性を検討していると述べた。
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フランスのアラン・ジュペ外務大臣はニューヨークの国連本部で、イドリブ県ジスル・シュグール市での激しい戦闘を非難し、「弾圧の停止」を呼びかる一方、「アサド大統領が統治の正統性を失った」と断じた。
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アムネスティ・インターナショナルは国連安保理に対して、シリアを国際刑事裁判所に提訴するよう改めて求めた。
AFP, June 7, 2011、Akhbar al-Sharq, June 7, 2011、al-Hayat, June 8, 2011、Kull-na Shuraka’, June 7, 2011、June 8, 2011、Naharnet, June
7, 2011、Reuters, June 7, 2011、SANA, June 7, 2011などをもとに作成。
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