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クナイトラ県、ダマスカス県などで、ナクサ記念日に有刺鉄線を越え、占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された若者23人の葬儀が行われた。
SNS(6月6日付)によると、このうち、ダマスカス県ヤルムーク区で行われた犠牲者8人の葬儀では、パレスチナ諸派の無策に抗議する会葬者が、参列したパレスチナ諸勢力の指導者らを排除しようとして衝突に発展し、PFLP-GCの民兵が会葬者に発砲した。
クッルナー・シュラカー(6月7日付)によると、これによりパレスチナ人約20人が死亡したという。
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米国務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「シリアがこの手の攻撃を煽動していることは明白だ…。国内の問題から目をそらそうとしている」と批判した。
また「イスラエルは、他のあらゆる主権国家と同様、自衛権がある」と付け加えた。
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フランス外務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、シリア当局にイスラエルとの緩衝地帯を尊重するよう求めたと発表、「同地帯への侵害」とイスラエル側の「過度の力の行使による応戦」への「強い遺憾の意」を示した。
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ロシア外務省は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「新たな緊張につながりかねない事態への強い懸念」を表明するとともに、懸念が「この抗議行動で多くの平和的なデモ参加者が死傷したこと」で高まっていると強調した。
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国連の潘基文事務総長は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「イスラエルによる実弾発砲が負傷者をもたらした」としたうえで、国連監視団が「事実の確認を行っている」と述べた。
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イスラエルのエフード・バラク国防大臣とマタン・ヴィルナイ国防副大臣は、ナクサ記念日(5日)にシリア人パレスチナ人の若者が占領下ゴラン高原に入ろうとしてイスラエル軍に射殺された事件に関して、「アサド大統領とシリアの政権が背後にいる」と指摘、シリア国内での抗議行動弾圧から目を反らそうとしていると批判した。
Damas Post(6月6日付)は、ハサカ県でクルド人への国籍付与申請を違法に仲介していた業者が摘発されたと報じた。
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『ハヤート』(6月7日付)は、アサド大統領とクルド民族主義政党代表との会談が6日に行われたと報じた。
会談は当初6月4日に予定されていた。
これに関して、クッルナー・シュラカー(6月6日付)は、大統領に招待された政党12組織を明らかにした。
同報道によると、招待されたのは、1. シリア・クルド左派党、2. シリア・クルド民主党アル・パールティ・アブドゥルハキーム・バッシャール派、3. 同ナスルッディーン・イブラーヒーム派、4. シリア・クルド・イェキーティー党、5. 民主統一党、6. シリア・クルド・アーザーディー党、7. シリア・クルド国民民主党、8. シリア・クルド平等民主党、9. シリア・クルド民主統一党イェキーティー、10. クルド・シリア民主党、11. シリア・クルド進歩民主党、12. シリア・クルド・ムスタクバル潮流。
シリア・クルド人国民イニシアチブのウマル・ウースー代表は『ハヤート』(6月7日付)に対し、イラクのジャラール・ターラバーニー大統領(クルディスタン愛国同盟書記長)、イラク・クルディスタン知事政府のマスウード・バールザーニー大統領(イラク・クルディスタン民主党党首)が、クルド人の状況改善のためシリア政府との対話に望むことを後押ししていたと述べた。
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SANA(6月6日付)によると、進歩国民戦線中央指導部が会合を開き、国民対話プロセスなどについて協議した。
議長は、スライマーン・カッダーフ副書記長が務めた。
イドリブ県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ジスル・シュグール市およびその周辺一帯での反体制勢力による要撃、襲撃などにより、治安要員と警官約120人が殺害された。
SANA(6月6日付)によると「複数の攻撃で治安要員・警官40人が殺害され、うち20人が要撃により殺害された。またジスル・シュグール市内の郵便局が爆破され、施設の守衛8人が殉職した」。
また「第一報によると、治安部隊と警察は、市民の救援要請に応えるべく、ジスル・シュグール市向かって街道を進んでいた。市民は恐怖にさらされ、家を離れ、警察や治安機関の本部に向かって避難する途中だった」が、武装集団が郵便局のガス管に放火し、同施設を爆破した。
さらに「治安部隊と警察が要撃を受けたジスル・シュグール市の現場に向かっていた増援部隊は、途中で民間人を保護して現場に向かい…、20人がすでに戦死していた」という。
治安部隊と警察は一方、「武装集団が立て籠もる複数の家を包囲」したが、「複数の情報によると、武装集団は戦闘訓練を受けており、中火器や手榴弾で武装し、住民を脅迫し、彼らを人間の盾としていた…。警察・治安部隊はジスル・シュグール市で数百人の武装集団と対峙し、彼らが占拠していた市内の一地区の道路封鎖を解除した」という。
しかし、ジスル・シュグール市にある複数の治安機関拠点への「武装集団」の攻撃によって、別の治安部隊の要員37人が殺害された。
この攻撃でも「武装組織」は中火器、機関銃、手榴弾、RPGなどを使用し、家屋の屋上から民間人、警察・治安要員を狙撃したという。
さらに「武装組織メンバー数百人がジスル・シュグール内の複数の政府施設を攻撃し、守衛3人を殺害した。また同組織はこれらの施設に放火、破壊した…。武装集団は治安・警察要員の遺体を傷つけ、その一部をアースィー川(オロンテス川)の土手に遺棄した。また市内の住民を脅迫し、道路を封鎖し、市民の家を攻撃し、公共施設、民間施設、商店などを襲撃した…裁判所は、武装組織によって二度、破壊・放火にあった。また武装集団は、ワーディー・アブヤド・ダムの施設を攻撃したのち、同施設に保管されていたダイナマイト5トンを盗んだ」という。
なおジスル・シュグール市での戦闘に関して、シリアのムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣は「断固として法に従って行動し、国家の治安を標的としたいかなる武力攻撃にも沈黙しない」と述べた。
これに対し、反体制活動家はAFP(6月5日付)に「(ジスル・シュグールの)軍事情報局本部で爆発音が聞こえたのは発砲の後だった。破壊工作が終わったあとに爆発が起きたようだ」と述べた。
同活動家はまた「事件は日曜日、治安部隊の狙撃手が市内のデモ参加者に発砲したことをきっかけに始まった。この発砲ではデモ参加者10人が死亡したが、その直後に、デモ参加者が軍事情報局前に集まった」と主張した。
また別の活動家は、軍事情報局前で発砲音を聞いたとしたうえで、「彼らはデモ参加者への発砲を拒否した警察官を処刑したのだと思う…。殺戮は治安部隊内で発生した」と主張した。
他方、シリア人権監視団などによると、ジスル・シュグール市で治安維持・軍事作戦による市民や命令拒否を理由に殺害された治安要員の死者数が37人に達しているという。
同監視団によると、ジスル・シュグール市は軍・治安部隊の包囲を受けており、「軍突入の恐怖に曝されている」という
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同じくイドリブ県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、イドリブ市で6日晩に反体制デモが発生し、1,500人が参加したが、治安部隊によって強制排除された。
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ラタキア県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ジャブラ市で、市民2人が治安部隊に撃たれて死亡した。
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ダイル・ザウル県では、『ハヤート』(6月7日付)によると、ダイル・ザウル市内のバアス党本部前で反体制デモが発生し、治安部隊が参加者に向けて発砲、シリア人権監視団によると3人が死亡した。
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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(6月6日付)によると、人民議会議事堂前で座り込みを行った女性11人が治安当局によって逮捕された。
IAEAの天野之弥事務局長は、2007年にイスラエルが破壊した原子炉とされるダイル・ザウル県キバルの施設をめぐって、シリア政府に対して、約束に従い「具体的な成果」を示すよう求めた。
天野事務局長はウィーンでのIAEA理事会開会で、同機構が入手した情報に基づき、シリアのダイル・ザウル県キバルの施設が同機構に「申告すべき原子炉だった」と述べた。
天野事務局長はまた「IAEAはシリア政府に、ダイル・ザウル(の施設)をめぐって完全な協力を行う猶予を与えたが、シリアはそれに応えなかった」と付け加えた。
天野事務局長はさらに「我々は結果を出すに充分な情報を得た。我々が現段階で達した結論を加盟国に申告するのが適切だと考える。このような状況が無期限に続くのを許すことは、いかなる当時者にとっても利益にならない…。未解決の問題を解決するためシリアとともにさらなる行動をとっていきたい」と述べた。
シリアは先月、天野事務局長に書簡を送り、IAEAに「完全なる協力」の意思を示していた。
しかし、天野事務局長はIAEAがこの書簡を受け取る前にシリア高官と会談したが、何らの結論にも至らなかったと指摘、「意思表明だけでは不十分だ。我々は具体的な結果を見たい」と述べた。
一方、天野事務局長は「イスラエルによるとされる空爆で施設が破壊され、IAEAが調査する機会を与えられなかったことに深い遺憾の意」を示し、「力を行使するのではなく、IAEAに問題を提訴せねばならなかった」と述べた。
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ヨルダン・ムスリム同胞団は、シリア情勢に関して、「眉をひそめたくなるような恐るべき犯罪」と評し、「無防備の国民に発砲を命じ、表現の権利を奪い、鉄拳により行動を抑える指導者は、その存在と支配の正統性を失っている」とアサド政権を非難した。
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世界イスラーム教徒ウラマー連盟(ユースフ・カラダーウィー代表)は声明を出し、アサド政権に対して「殺戮の停止、都市・村に対する包囲解除、軍および戦車の都市・村からの撤退」を求めた。
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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、ワシントンDCで、アサド大統領が「シリアを統治する正統性を失った」と述べた。
ジュペ外務大臣はまた、フランスがシリアでの暴力行使を非難する安保理決議の即時採択をめざしていることを明らかにするとともに、予想されるロシアの「拒否権」発動に関して、「我々は、ロシアがシリアに関するあらゆる決議に拒否権を発動するだろうということを知っている…。彼らが拒否権発動を選択した場合、彼らが責任を負わねばならない。決議に安保理の11カ国が賛成していることを彼らが目の当たりにしたら、見解を変えるだろう。リスクはあるが、我々にはそれに対する備えがある」と述べた。
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『デイリー・テレグラフ』(6月6日付)は、英国外務省の複数消息筋の話として、シリアのデモ弾圧にイランが協力していることを示す信頼できる情報がある、と報じた。
同報道によると、イランは弾圧に使用する装備のほか、イラン・イスラーム革命防衛隊関係者が技術支援を行っているという。
しかし、イランがアサド政権を支援するために技術者などを実際に派遣しているかどうかは定かではなく、ヒズブッラーはアサド政権を支援するために弾圧に参加することを躊躇しているという。
AFP, June 6, 2011、Akhbar al-Sharq, June 6, 2011、The Daily Telegraph, June 6, 2011、Damas Post, June 6, 2011、al-Hayat, June 7, 2011, June 8, 2011、Kull-na Shuraka’, June 6, 2011、June 7, 2011、Naharnet,
June 6, 2011、Reuters, June 6, 2011、SANA, June 6, 2011、SNS, June 6, 2011などをもとに作成。
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ナハールネット(11月21日付…
イドリブ県では、テレグラムの「…